何故だか「普通」がスゴイと感じる。ナベヤの木工バイス HW150

投稿者: | 2017/02/14

決して木工バイスの定番ではないのだけど

ナベヤのモッコーバイス(台下型)HW150過去に小型の作業台を自作した時にこのバイスを取り付けた事がある。丁度 3年前だ。そしてこのバイスは 2台目。2代目ではなく 2台目である。最初の 1台は雨が直接当たりはしないが、屋外に放置したままの自作作業台に取り付けてある。そんな環境に置いていても錆びることなく、また歪んだりすることもなく、今でもしっかりとよく働いてくれている。型式は HW150で、一つ上のサイズとしてHW175がある。

張ってあるシールに少し変わった書体で書かれた「モッコ-バイス」の文字が見える。書体と言い、木工ではなくカタカナで「モッコー」と印刷されているのは昭和の時代の名残なのだろうか。リードバイスと共に、精密治具メーカーとなった切っ掛けの一つ、ある意味、現在のナベヤの原点の一つと言っていい。

ナベヤのモッコーバイス(台下型)HW150の裏側このアングルから見た姿が最も恰好イイ。何と言うか、メカ好きは、単純な構造や機構であっても、見るとそれに惹かれ、理由も無く感動してしまう。歯車で動く機械を見るのも楽しいが、これもまた見ていて楽しい。

能の静止は息づいている。

日本ではある時期から廃業する鋳物メーカーが増え、ナベヤのような企業は貴重な存在となった。普段あまり見ることが無くなった鋳肌が美しい。

同じような構造を持ったバイスは他社からも発売されている。触れてみると何かが違う。やはり華奢なのだ。

と言っても、このナベヤのバイスが非常に高い精度で作られた部品を使っているとか、過剰な程の剛性を持っているかというと、そうではない。極々普通の材料を使い、必要最低限の部品で構成され、可能な限りコストダウンが図られている普通のバイスなのだ。高度成長期であった昭和の時代の高い品質の製品はこうした極普通の器械を使って作られていた。手作りの時代である。極普通のモノを選び出すのが難しい時代が今。普通のモノを手に入れた事を喜びと感じてしまう時代が今。

日曜大工には過不足のないバイス

ナベヤのモッコーバイス(台下型)HW150のスクリュウお馴染みの台形ネジ。三角ネジに比べ小さな回転力で大きな軸方向の力が得られるのが特徴。送りネジと呼ばれる通り、摩擦抵抗が小さく摩耗も少ない。太いネジのの割には、人差指一本でクルクルと軽く回り、緩める際もそれ程力を要しない。

このバイスの2本のガイドとスクリュウの材質はSS400で、その上に硬質クロームメッキが施されている。また、可動体及びスクリューヘッドはFC250。自慢できるような優れた材質と言うわけではない。共に広く使われる汎用材だ。

世の中には粗悪な材料を使っている製品が存在し、バイスのような力を加えることが目的である器械の場合、それらは短期間の使用で破断したり割れたりする。汎用材と言えど、明記してある事自体が信頼性に結びつく。

ナベヤのモッコーバイス(台下型)HW150 口開DIYで木工をやる人は、海外製のより大きなバイスを好むようだ。あるいは、より堅牢なガイドロッドとクランプを部品として購入し、それぞれ工夫を凝らして自作している方もいる。そんな大型の作業台をお持ちの方を正直羨ましく思う。

一方で、自作の作業台を設置出来る場所があるだけでも幸せ者であるとも感じる。身の丈に合った DIY環境で身の丈に合った物を作製する。これ重要。

そして、この木工バイスもそんな自分の環境に適した道具の一つである。今までに、これ以上大きなバイスを必要と感じた事は無く、バイスとしての基本的な機能にも不満を持ったことがない。自分にとって身の丈の範囲内のバイスなのだろう。

ところでこのバイス。どんな人が購入しているのだろう。ネットで検索しても、なかなかヒットしてくれない。もしかしたら使っている人が少ない?

情報があまりに少なく、1台目を購入する際に少々不安になった記憶がある。でも、実際に使ってみると全く不安、不具合、不足は無く。予想以上に活躍してくれている。

形状だけを先駆者を真似たものではなく、考え抜いて設計された製品なのでこれだけ息の長い製品になっているのだろう。気に入ってしまったので、全く懲りもせず 2台目を購入。





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