KIRA ボール盤 KND-8 の分解整備

投稿者: | 2013/10/27

ボール盤の主軸付近からわずかな異音が

KND-8 外観

色々と機械・工具を揃えてきた。ボール盤もその中の一つ。

でっ、先日、そのボール盤の電動機のベアリング交換してみたところ、主軸側からもわずかばかり異音が発生していることに気付いた。こちらも早めに対処したほうが良い。

そして昨日(2013/10/26)。注文してた交換部品(ベアリング)が届いた。ところで、ボール盤の分解整備は今回が初めてである。整備方法が間違っている可能性大なので、ご承知置きを、、

到着した部品はベアリング 4つ。全部で1000円程度。

キラ・コーポレーションの webサイトに KND-8分解パーツリストが PDFで公開されている。それによると

  • プーリー主軸ベアリング:6204LLB(内径20mm、外径47mm、幅14mm)
  • スピンドルベアリング:6201LLB(内径12mm、外径32mm、幅10mm)

となっている。それぞれ二つ。そのままの型式で注文。

主軸の取り外し

プーリー側ベアリングの取り外し

やっと本題。主軸側プーリーをはずすと、3つのネジで固定されているプレートが出現。このプレートをはずすと、ベアリングが2つ装着されたプーリー側主軸を抜き取ることが出来る。このプーリー側主軸ユニットは、ボール盤ヘッドにことさらきつくは圧入されているわけでは無いようで、錆や腐蝕が発生していなければ手で抜き取れる。はめ合いはh7あたりだろうか。

抜き取ると、ヘッド側にスピンドルが見える。錆の発生、ホコリの侵入も無く、綺麗なものだ。ヘッドのプーリー側主軸下端位置付近にC形止め輪が見える。ベアリング交換に際し、このリングを取りはずす必要は無い。穴の深い位置にあるので、はずすときは先の曲がっていない穴用スナップリングプライヤーが必要となる。あるいは先が細めのラジオペンチ。

昇降ピニオンシャフトの取り外し

スピンドルの取り外し

スピンドルは、ダブルナットで固定されている昇降スプリングユニットをはずし、昇降ピニオンシャフトをハンドル側から抜き取れば、ヘッドの下側から抜ける。

スプリングユニットをはずすと、スピンドルを上に持ち上げる力が無くなり、スピンドルがストンッと落ちスピンドル先端あるいはチャックを痛めることになるので注意を。また、ピニオンシャフトを抜くときもスピンドルが落下するので手で支えておくこと。

主軸ベアリング抜き

プーリー側主軸ベアリングの抜き取り

プーリー側主軸からベアリングをはずすのに、ベアリングセパレーターを使った。そのままセパレーターで隙間を広げてしまっても良いが、カラーは内径が大きいのでカラーがわずかに動く程度広げてさえあげれば、カラーをずらすことでプーラーの爪が引っかかる隙間が得られる。

爪の先端が薄いプーラーを持っているのであれば、セパレーターを使わずに、プーラーの爪をベアリングとカラーの隙間に爪を当て、バイスで爪を挟み押しつけて広げても良い。

スピンドル側には、動力をスピンドルに伝える縦長の穴が空いた樹脂製ガイドが挿入されている。動力伝達に樹脂製部品が使われているのには正直驚いた。過負荷になったとき、チャックが外れるか、ベルトが滑るか。それで対処不能な負荷が掛かったときは、スピンドルがねじ切れるのを防ぐためにこの樹脂製ガイドが破損してくれるのだろうと想像。

樹脂製ガイドは、プーリー側主軸の内側に切られた溝にはめられた同心止め輪で固定されている。先の細いラジオペンチもしくは、太めの裁縫針で取りはずせる。器用な方は指でも。

樹脂製ガイドの穴が変形したり大きくなってくると、回転方向のバックラッシュが大きくなってくる。この部品は消耗品か。次回整備するときは交換する予定。

スピンドルの取り外し

スピンドル側ベアリングの取り外し

スピンドルは、ラックスリープ上部のベアリング固定カラーを外した後、スピンドルの上部をプラスチックハンマーで下方に向けて叩けば抜ける。ラックスリープに残ったベアリングは、内掛け式のプーラーで引き抜く。

スリープに対するベアリングのはめあいはそれほどきつくはない。内掛け型のプーラーが無くとも、力業でなんとかなるかも。

ベアリング圧入

ベアリング装着

ベアリング装着は色々方法がある。油圧プレスを使ったり、ベアリングヒーターを使ったり。当然そんな高級な機器は持っていないので、今回は主にシャフトカラーや木片、それと塩ビパイプを使った。

ベアリングを軸に圧入するときはベアリング外輪やシールに力を掛けてはいけない。なので、ベアリング内径と同じ内径のシャフトカラーをベアリングの上に載せ、シャフトカラー経由で軸に通した塩ビパイプの上端を叩くことで対処した。ちなみにシャフトカラーは一つ100円~200円程度で買える。使用したのは片山チェン製シャフトカラー。
一方ベアリングを穴に圧入するときは、ベアリングの内輪に力を掛けてはいけない。今回は、手持ちのベアリングインストーラを用いた。インストーラ先端は、ベアリング外径と同じ径のプレートの先に、ベアリングの穴にピッタリ差し込める芯ずれ防止の軸が飛び出ている。ベアリングにセットし、そのままスリーブ穴に打ち込めば安全に圧入出来る。これはスズキの二輪車整備用純正工具の一つ。

そう言えば、昔持ってたトヨタ純正工具のプーラーセットはかなり重宝した。トヨタの部品センターで20000円程度で買えたのだが、一般市販品で揃えたら数十万はすると思われる代物。今でも手に入るのだろうか?

なお、インストーラー工具を持っていなくとも、今回のように穴端とベアリング端面が同一面となるよう装着する組み合わせであれば、木片を当てつつ、そのままプラスチックハンマーで叩き込むのも有効。っと、ベアリング装着完了。

コラムヘッドとベースプレートの洗浄

パーツ洗浄

以前、リードバイスの錆落とし洗浄を行った時、オリジナル塗装まで剥がしてしまったことがある。今回はウエスに灯油を染みこませ、拭き取る程度にとどめた。

ちなみに、ベアリング交換するだけであれば、コラムからヘッドを取りはずす必要は無い。

配線材の交換(2018年9月23日追記)

キラ ボール盤 KND-8の電源ケーブル交換  ケーブル劣化

追記なので、以前と写真サイズが異なっている点についてご容赦ください。

気にはなっていたのだけど、数年間配線の劣化を放置していた。見て見ぬフリをしていたのだ。

ここ最近ボール盤の稼働率がやたらと高かったので、プーリーベルト交換など手間の掛からないメンテナンスを行った。そして、何の気無しにモーターの端子箱を開けてしまった。何の気なしに開けただけで、そのまま蓋をしてまたもや見なかったことにしようかと考えていたのだが、流石にここまで劣化していると、見て見ぬフリなど出来なかった。

ビニル被覆はひび割れ、白い被覆であるはずが黄色く変色している。これをこのまま放置して運転するとそのうち短絡事故につながること間違いなし。

キラ ボール盤 KND-8の電源配線材交換  機内ケーブル劣化

機体内側のケーブルをチェック。

こちらは問題無さそう。が、しかし、前のオーナーが交換したのだろうか。スイッチと電源の間の配線サイズが細い気がする。この ACコードはどう見ても 0.75㎟である。プラグには 125V 7Aの表記がある。
単相 100V 200Wの電動機の推奨配線サイズは 2㎟なので、これをこのまま使うと配線がアッチッチになる。

一方、スイッチとモーターの間のケーブルは 2㎟。端子ボックスの口出し部に緑の塗料が付着していることから、この配線はメーカー出荷当時のものだと思う。

使い方からすれば、モーターからスイッチまでは VCT(ケーブル)。スイッチから ACプラグまでは VCTF(コード)を選択するのが良いものと思われる。
が、今回はコスト重視で、2芯 2㎟ ACプラグ付きのみの条件で配線材を選定した……

キラ ボール盤 KND-8の電源ケーブル交換  2芯 2mm2キャプタイヤコード

そんな訳で、ケーブルを買いに秋葉原に。

購入したのは、2㎟長さ 2mのキャブタイヤコード(VCTF)。差し込みプラグ付きである。
830円。

2mのうち、50cmを電動機とスイッチの間に。残り 1.5mを AC電源ケーブルとして使った。

キラ ボール盤 KND-8の電源配線材交換 モーター側配線処理

モーター端子箱側は、裸圧着丸端子に絶縁キャップで対処。端子はニチフの R2-4S。2㎟用、穴サイズ 4mm。
滅多に出番は無いのだが、無いと絶対に端末処理が出来ない。久々に圧着工具を使う。

この後、絶縁キャップは外れないように接着剤でくっつけた。

キラ ボール盤 KND-8の電源配線材交換 機内配線処理

純正のスイッチへの接続には棒形裸圧着端子を使った。端子はニチフの TC2-16。2㎟用、棒部長さ16mm。
残りは、サイズ CE5の絶縁被覆付閉端子で対処。元の配線は、絶縁被覆付圧着スリーブが使われていた。どちらでも良い。

話は逸れるが、絶縁被覆付閉端子は機器の内部配線用である。ジョイントボックス内に入れ込むことなく屋内配線に使ってはならない。
滅多に無いが、町の電気屋さんに屋内配線の変更や敷設をお願いしたとき、カバーを取付けもせず絶縁被覆付閉端子を使われてしまう場合がある。それアカン奴や!等と指摘するともの凄く嫌な顔をされる……はず。屋内配線は、なるべく資格を取って自分でやってしまおう。

キラ ボール盤 KND-8の電源配線材交換 機内配線

端子をスイッチに取り付けるとこんな感じに。良い感じに。

あとは、モーター端子箱に配線を接続し、スイッチを元通りにするだけ。

キラ ボール盤 KND-8の電源ケーブル交換後

完成。
これで、短絡の心配もなく、さらに末永く使えるようになった。と言うか、本来は、気がついた時点で直ぐさま交換するべきである……

試運転

ここまで組み付ければ後は取り外した時と逆の順序でグリスを塗布しつつ組み立てるだけ。調整しなければならない箇所は、昇降スプリングの反力、プーリー高さ位置とVベルトの張り。

そして試運転。

全箇所のベアリング交換とグリスアップ。効果絶大!

分解組立作業は夜中に行ったのだが、勇気を出して、試運転も夜中のうちに済ませてしまった。穴孔け作業は無理だが単に回すだけなら問題無い騒音。隣室で寝ている女房が起き出して、雷が落ちることは無かった(笑)

PCに囲まれた部屋も良いけど、今日は先日塗装したリードバイスとこのボール盤を横に置いて寝る予定。良い夢見れそう・・・

整備後の KND-8独断評価(2013/10/29追記)

総重量 33kgはなんとか一人で移動できる重さの限界。これ以上大型のボール盤は分解して運ぶこととなる。ある意味個人的趣味で気軽に扱えるボール盤のギリギリの重さとサイズか。

パーツ自体に一部樹脂が使われていて不安が残る。特にVベルトカバーが樹脂製なのはいただけない。ヘッドの下のコラムに取り付けられているヘッド落下防止用のカラーも樹脂製。共に金属パーツとすることで、格段に強度が上がるはず。是非とも改善いただきたいところである。

スパナ、メガネなどの一般的な工具に加え、小型のプーラーさえあれば、工夫して分解できる。また組立も、繊細な調整が必要な箇所がないため、自分のような素人であっても問題無く組み上げられる。手順を間違わなければ、自然に各部品が適正な状態で組み上がっていく。

穴孔け精度はホームセンターで売られているボール盤とは比較にならないほど高い。要するにガタが無いのだ。あっちの世界にはもう二度と戻れない、

と言っても、カタログに唱っている通り、6.5mm以下に限って言えばだ。最近では 6.25mmの六角シャンクの先に大口径の刃が付けられたキリが販売されているが、KND-8の場合 6.5mm以下の穴孔を想定しているので、どうしても回転数過多となる。スリーブとスピンドルに取り付けられたベアリングは深みぞ玉軸受のみで、スラストベアリングは組み込まれていない(これより大型の、重量が 70kg以上のボール盤は大抵スラストベアリングが追加で組み込まれている)。さらに、スピンドルが異様に細い=ベアリングが小さい。

したがって、大型のボール盤と同じような感覚でワークにキリを強く押しつけて穴穿けしようとすれば、どこかしら無理が生じる。鉄、ステンレスへの大口径の穿孔は機械を傷めるので避けるべきと感じた。小さな鉄工所であっても KND-8が単独で置かれているのはよほど特殊なケースで、大抵1ランクもしくは2ランク以上のボール盤がセットで使われていると聞く。この意味がわかった気がする。本職から見れば、あくまでサブなのだ。

中古だと、三万円以下でこの穴孔け精度のボール盤が手に入る。多少異音を発していても、ベアリングさえ交換すれば大抵は復活する。

元来、ホームセンターで売られているボール盤と比較すること自体、無理があるのかもしれない。新品で買えば、価格が 5倍前後異なるのだから。小物主体で何かを製作するには打って付けのボール盤である。すなわち DIYには丁度良いボール盤。

はぁ、穴孔けの腕をもっと上げねば・・・・・若干宝の持ち腐れ状態。穴穿け100本ノックやるべきか真剣に考え中


<以下 2017/03/20追記>

KIRAボール盤 KND-8の諸元

販売終了製品となり、公式サイトから削除される可能性があることから、仕様を転記。

形式 KND-8
振り 254mm
ドリリング能力 S45C:Φ2~5/FC200:Φ2~6.5
主軸のとテーブルとの最大距離 289mm
主軸とベースとの最大距離 383mm
主軸の上下動 60mm
主軸端のテーパ JT No.1
コラムの直径 Φ60mm
テーブルの大きさ □196mm
テーブルの上下動 289mm
主軸回転速度 50Hz:850 / 1750 / 3400 // 60Hz:1000 / 2100 / 4100 
電源 単相100V / 三相200V
電動機 0.2kW 4P(開放)
Vベルトの寸法 M-33
機械の総高さ 687mm
機械の質量 33kg
ベースの大きさ(左右×前後) 210×362mm

<以下 2017/11/16追記>

ボール盤を扱う上での注意事項

労働安全衛生規則第111条には、
「ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない」
との記載がある。

これは意外と知られてないこと。

また、切り屑を掃除する際は、ボール盤のキリを完全に停止させた後、手袋を着用し行うのが正しい作業の仕方である。

実は2代目キラボール盤 KND-8購入、整備中(2019-12-27)

<以下 2017/06/25追記>

ブログ読者による KND-8のメンテナンス

本ブログ読者様より、KND-8のメンテナンスに関わる貴重な情報と写真を提供いただきました。2017/04/20にコメント欄から問い合わせいただいたサンバ氏からのものです。

メンテナンス対象のボール盤は、自分が持っている型より古く、ヘッドに金色の KIRAロゴが打ってあるタイプ。一見同じように見えても、分解し、組み立ててみると細部が微妙に異なっています。特に、装着されていたモーターはかなり古い規格によるもので、いざ換装しようと試みるも、加工が必要となり、苦労されたようです。

サンバ氏より写真の掲載許可をいただけましたので、こちらに追記いたします。
貴重な写真や情報を提供いただたサンバ氏に、この場をお借りし、心よりお礼申し上げます。

旧型 KND-8のメンテナンスの開始

サンバ氏によるKIRAボール盤KND-8のメンテナンス 分解状況

ここより先は、コメント欄から問い合わせいただいた以降のサンバ氏による作業の紹介となります。

写真は、コラム、ヘッド、テーブル以外の部品を取り外した直後のもの。

自分がそうであったように、サンバ氏もボール盤の整備は初めての経験で、右も左も皆目わからない状態からのスタート。

物語はここからはじまりました。(本ブログ記事のコメント欄より)

サンバ 2017/04/20 2:47 PM より:
すみません、パーツ番号46番のナットを外した後は、45番のプーリはどのように外すのでしょうか。
引き抜こうにもビクともせず、回そうともシャフトが固定しにくいので、どうにもならない状態です。

KND-8の分解と洗浄そして部品交換

サンバ氏によるKIRAボール盤KND-8のメンテナンス 分解洗浄

ヘッドやテーブルまで外したところで、各部品のチェックと洗浄作業を行っています。

結構な数の部品となりますが、KIRA社の公式サイトには、部品リストや分解組み立て図が PDFで公開されていて、その図面は、手書きでありながら部品一つ一つが確実に判別できるほど正確で、どんなに細かく分解しようとも図面を参考に間違うことなく組立てることが出来ます。

「買った時は、ブレや振動などが有り、とんだ中古品を買ってしまったと思いました・・・」

のような状況だったらしく、当然の事ながら、主軸とスピンドルベアリングをここで交換。軸ブレや異音がかなり改善したようです。

KND-8の組立

サンバ氏によるKIRAボール盤KND-8のメンテナンス 仮組状況

仮組写真。

この写真が送られてきた時、ものすごく驚きました、、
コラムがピカピカで鏡のよう。樹脂製のプーリーカバー、テーブルやベースが汚れ一つ無い程に磨かれていいました。

正直、持ち主としての思い入れの強さを比較されそうなので、このボール盤の隣には決して自分のボール盤を並べたくありません。

KND-8の付属モーター内部の点検

サンバ氏によるKIRAボール盤KND-8のメンテナンス モータ内部 引き込み線のシース劣化

メンテナンスが順調に進むと思われる中、一つだけ気になる箇所を発見。

モーター内部を覗いてみると、その電源引き出し線のシースが劣化していて、一部は被覆が剥がれ、中の銅線が見えてしまっています。この部分の導体はエナメル線ではないのです。
ビニルキャプタイヤケーブルのシースは経年による劣化は避けられず、高温となる電動機内部ではなおさらです。

モーター内部の配線交換は、一つ間違うと事故につながる恐れがあるため、結局今回はモーターを交換することとなりました。ただ、オリジナルモーターは、将来修理に出し、復活させることも考え、手元に保管することに。

付属モーターの寸法規格

サンバ氏によるKIRAボール盤KND-8のメンテナンスオリジナルモーター取り外し

新しくモーターを購入しようと、交換モーターを物色していたところ、モーター取付脚の寸法が現在発売されているモーターのものと異なることが発覚。

モーターは、通常、取付脚の下端から軸中心までの距離の数値である枠番号が一致さえしていれば、出力が違えど大抵は換装が可能。装着されているモーター銘板をみると、枠番号 A707と記載されている。一方、現在の単相 200Wの汎用モーターは 新JIS規格である 71。枠番号 A707をネットで検索するも、なかなか情報が出てこない。それだけ古いモーターのようです。ムムムッ

モーターブラケットの加工

サンバ氏によるKIRAボール盤KND-8のメンテナンス モータブラケット加工

装着されていたモーターがかなり古く、ネットの無い時代の製品であることから、寸法やその他の資料そのものを探すのに困難を極め、仕方なく、現物のモーターから寸法を割り出し、新JIS規格のモーター寸法と比較し装着方法を検討することに。

調べてわかったことは、軸端と反負荷側のモーター取付脚にあけられた穴位置は同じで、負荷側(軸側)のモーター取付脚にあけられた穴位置が異なること。

なので、少々荒っぽいけど、ボール盤側のモーターベースに新JIS規格モーターに合う穴を新たにあけることで対処。
写真赤丸部分がモーター取付脚を写し取ったもので、新たな穴あけ箇所。

換装モーターの選定

日立製単相200W防振モーター外観

DIYにとって、作業の際に発生する騒音や振動問題は切実。苦情一つで、以降、何の作業も出来なくなる可能性があることから、一般の工場以上に万全な対策を取る必要がある。

今回、その対策の一つとして、日立産機システムの防振モーターを使ってみることに。

防振モーターは、軸端側のブラケット部分にアブソーバと呼ばれる振動吸収機構を備えた製品で、モーターの発する振動を機械側に伝達しにくくなっていて、精密研磨機や、一般的な工作機械にも用いられている製品。それなりに効果があるらしい。

このモーターを使うこと自体、ある意味冒険であるが、副作用があるとも思えなかったため、採用。

幸せなボール盤

サンバ氏によるKIRAボール盤KND-8のメンテナンス完了

完成写真。
お見事の一言に尽きます。

数十年も前に製造されたボール盤です。余生どころか、廃棄されても文句一つ言えない位に古い製品です。それをここまで整備されているのですから、やはり見事としか言いようがありません。

プーリーを外すことさえ難しく、ベアリングを外す工具さえ持っていなかった状態からはじまったボール盤のメンテナンスは、経験もなく、教科書もない中、ほとんどの作業は手探りとなり、その作業の一つ一つが壁として立ちはだかります。それを乗り越え、こうして生まれ変わったこのボール盤は、その持ち主により末永く使われていくことでしょう。

幸せなボール盤です。

最後に、防振モーターの効果について、サンバ氏のインプレッションをほぼそのまま引用させていただきます。

「・・・メンテナンス完了後に動かしたところ、動作音も非常に静かになり、防振モータの効果で振動もほとんどなくなりました^_^
モータを触ると振動があるのに対して、本体のヘッドやテーブルを触ると振動を殆ど感じません。防振モータの効果だと思われます。でも、いい状態の knd-8の動作音や振動の程度がわからないので、これがいい状態なのかそうでないのかがよくわからないのです。ただ、メンテ前よりも格段に良くなったので・・・」







KIRA ボール盤 KND-8 の分解整備」への11件のフィードバック

  1. しんいち

    はじめまして

    同型機を購入して自分も整備を始めています。

    質問なのですが、主軸上部のネジなかなか外れずにいます。

    ネジはナットでは無く、円形で横に穴が
    空いています。

    ピン型の引っ掛けレンチは購入してます。
    ネジの外す場合は、右ネジ方向でしょうか?。
    外す場合のコツなどがありましたら
    教えて頂けないでしょうか?

    どうぞよろしくお願いいたします。

    返信
    1. futsutsukamono

      大変申し訳ございません。コメントチェックしておりませんでした。

      株式会社キラ・コーポレーションの公式ウエブサイトよりKND-8の「分解図・パーツリスト」が落とせます。↓
      http://www.kiracorp.co.jp/product/support/support-ball/support-ball-02/687.html

      パーツはどの番号でしょうか?
      ネジであれば、パーツリストの備考欄にサイズとネジピッチ等が記載されておりますので、参考にされるのが良いと思われます。

      また、特に分解する際は逆ネジが切られていた覚えはありません。

      >>横に穴が空いています。
      であれば、イモネジで止められている可能性もあります。(電動機側のプーリーがそうでした)

      参考にならない返答で申し訳ございません。

      KND-8は、仕事でも使える精度とコンパクトなサイズがDIY向けとしてはとても良いボール盤で、生産終了になってしまったのが本当に残念です。今では、中古市場でも中々出回らないらしいです。
      大事に使って行きましょう。

      返信
      1. しんいち

        しんいちです。
        ご返信ありがとうございます。

        パーツ表で確認したところ、46番になります。
        しかし六角ではなく円形になっていまして、横に穴が
        あります。

        ピン型のひっかけスパナを購入して回す準備はできました。
        あまりにも固いので、潤滑剤を塗布しました。

        普通のねじ方向で回して分解してみたいと思います。

        >KND-8は、仕事でも使える精度とコンパクトなサイズがDIY向けとしては…

        大変気に入っています。
        モータからの異音が気になり、試しにベアリングを交換したところ、ブーンという音だけになりました。

        1万円ほどで購入でき、部屋の中に設備できる範囲では
        手頃なサイズなので、これから大事に使っていきます。

        また分解方法でわからない箇所がありますので、ご質問する事もあるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

        返信
        1. futsutsukamono

          しんいち様 ご連絡有り難うございます。

          先程現物見てきました。

          パーツ表46番なので、こちらでしょうか?(暗い中で撮りましたので画質悪いです。ご容赦ください。)
          https://rarak.jp/wp-content/uploads/2016/11/machine-nut01.jpg

          自分は、ウォーターポンププライヤを使いました。で、今外してみました。
          https://rarak.jp/wp-content/uploads/2016/11/machine-nut02.jpg
          プーリーはキーで止まっているので、このナット自体はそれほど締め付け力を必要としないものと思われます。

          外すとこのようになります。(逆ネジではありませんでした。)
          https://rarak.jp/wp-content/uploads/2016/11/machine-nut03.jpg

          以上参考になれば幸いです。

  2. サンバ

    すみません、パーツ番号46番のナットを外した後は、45番のプーリはどのように外すのでしょうか。
    引き抜こうにもビクともせず、回そうともシャフトが固定しにくいので、どうにもならない状態です。

    ご教授頂けますと幸いです。

    返信
    1. futsutsuka

      コメント有り難うございます。

      パーツ番号45のプーリーは、キーにて回り止めされてます。プーリーの固定自体は上のナットのみで、軸がテーパーになっているわけではありません。したがいまして、プーリーを回すことなく真っ直ぐに上に持ち上げれば引き抜けるはずです。(自分のボール盤は、ナットを取り外したあと、手でプーリーを持ち上げただけで引き抜けました)

      ただ、長期間プーリーをはずすことなく運転していた場合、固着している場合がありますので、その時はその名の通りギヤプーラを使って引き抜くこととなります。

      構造については下の写真が参考になるかと思います。真ん中の写真のユニットの軸にプーリーが取り付けられています。最上部にはネジが切ってあり、そこにナットが取り付きます。その下には、キー(パーツ番号47)が確認出来ますが、リストにあるように平行キーです。

      https://rarak.jp/wp-content/uploads/2013/10/shaft.jpg

      プーラーを使えば、多分あっけない程簡単に外すことが出来る気がします。

      以上、参考まで

      返信
      1. サンバ

        ご回答どうも有難うございます。ネットにも情報が少なく、近くに相談できる人がいないので非常に助かります。

        手で引き抜こうとしましたが、硬くてピクリとも動きませんでした。固着しているものと思いますので、ギアプーラを購入して試したいと思います。

        ちなみに現在格闘中のものは、中古で購入したのですが軸フレが激しかったため、整備を試みています。フレを抑えるためどこから攻めたら良いの分からないのですが、先ずはこちらの記事を参考にベアリングの交換を試みていますが、他に何か先に試した方が良いことがあればアドバイス頂けると幸いです。

        昨日は、46番のナットを外すのに2時間ほどかかり、45番のプーリと1時間格闘し力尽きました。。。
        この後もいろいろと壁が出てきそうですが、これも勉強と思いチャレンジしたいと思います。
        また、何かありましたらご相談させてください。

        返信
        1. futsutsuka

          KND-8は精度が悪化した際の調整箇所はありません。調整機構があるのはアシナのボール盤と記憶しています。
          調整箇所が無い分、分解/組立も難しくないので DIYには持ってこいのボール盤だと思っています。

          さて、軸ブレの原因箇所ですが、大抵はチャックの劣化によるものです。ボール盤を購入した中古業者さんからは、チャックは消耗品と言われました。

          チャックを交換し、ベアリングを入れ替えた後でも軸ブレがあるようであれば、それはかなりの重症と言えます。部品交換と言う手も考えられますが、交換したとしても精度が戻る保証はありません。辛い選択となりますが、購入し直すのも一つの手となります。

          尚、ドリルチャックはジャコブステーパタイプの JT.No.1ですので、標準の 6.5mm以外に 8mmのチャックも取り付け可能です。交換を検討される時は、選択肢の一つとして加えられるのも良いかもしれません。
          ————
          さぞ悪戦苦闘されていると思われますが、整備が完了し、時が経てば、楽しい経験であったと思えるようにきっとなります。自分がそうでした。
          負げずに頑張ってください。

  3. サンバ

    ご返信本当にありがとうございます。
    励ましの言葉に、涙が出そうになりました(本当です)。

    チャックもかなり古そうなので、今回の整備で合わせて交換したいと思います。

    昨日は何度か心が折れそうになりましたが、こちらでやり取りさせていただいて、元気が出てきました。
    引き続き整備、頑張ってみます。

    返信
  4. ごんぞう

    最近当方もKND-8購入することが出来、当ブログを参考にさせて頂き復元作業中です。オリジナルに近い状態までやりたいと思っていますが、一部の部品が欠品しており頓挫しております。知り合いの部品屋さんとか色々当たりましたが、取扱しているところがありません。部品の購入先などご存知でしたら教えて頂けませんでしょうか。

    突然のコメントで申し訳ございません。

    返信
    1. futsutsuka

      当ブログにお越しいただきありがとうございます。

      部品の入手については、KIRA社の公式サイトに代理店の案内がございますので、一度そちらに問い合わせされてみてはいかがでしょうか。お近くの工具店・工具販売商社を紹介いただけると思います。
      http://www.kiracorp.co.jp/product/product-ball/puroduct-ball-01/1120.html

      なお、自分はこの中古品を購入する際、その購入先(中澤機械)で部品の調達は可能と聞きましたが、現在までに購入したことはございません。
      http://www.y-n.co.jp/index.htm

      あまりお役に立てる情報が提供出来ず申し訳ございませんが、今後ともよろしくお願いいたします。

      返信

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