クール・ビズのおかげで夏の風物詩となった卓上扇風機
事務所衛生基準規則 第5条 3項にこう書かれている。
事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。
クール・ビズの呼び掛けでほぼ定着してしまった冷房時の目安としての室温は 28℃。事務所衛生基準規則で定められた室温の最大値だ。
夏場の軽装による冷房節約には賛同するが、何も最大温度を目安にしなくても良いのではないかと思う。
そもそも、日本の太平洋側の夏は高温多湿になりがちで、蒸し暑さを表す不快指数は激上がる。室温だけに着目するクール・ビズは、どう考えても快適な環境を提供するものとは思えない。
そんな訳で、湿度が考慮されずに空調設定されたオフィスは、快適と言うにはほど遠い環境となっている場合がある。
とりもなおさずクール・ビズ以前にはあまり見掛けなかった卓上扇風機が、オフィスの夏の風物詩となっているのがその証拠で、快適とは程遠い環境である為、体感温度を下げるべく体に風を当てたくなるのだ。
PCケースファンはとても優秀な扇風機になる
PCの自作歴がある程度長くなると、使わなくなったパーツが増えてくる。PCケースファンもその一つ。
この PCケースファンは、卓上扇風機用途として静音性や風量的にとても適していて、実際に使ってみると、ファンカバーが付いていない分、圧倒的に静音で、市販されている卓上扇風機以上に快適だった。
写真は Noctua NF-A15 PWMを自作アルミプレート架台に載せた卓上扇風機。
ファンスタンドを使って卓上扇風機に
写真は、長尾製作所 N-FSTAND-5V USBケーブル付 ファンスタンド。
以前なら間違いなく自作していたのだが、こうした作りがしっかりした既製品が安価に販売されているのを見つけると、一切悩むことなく、購入してしまう……
取り付けたファンは SCYTHE(サイズ)の S-FLEX SFF21F (1600rpm)。
PCケースファンとしては回転数が高目で、そのまま使用すると風切音が大きく、結局は使わずに引き出しの奥に保管していたもの。
ただし、電圧を落とし、回転数を下げて使うとほぼ無音で運転できるので、今回の用途にはピッタリであった。
PCケースファンを卓上扇風機に使う場合の注意事項
長尾製作所のファンスタンドには、写真の USBケーブルが付属するタイプの他、ペリフェラル4ピンコネクタケーブルが付属するタイプがある。USBの出力電圧は 5V。ペリフェラル4ピンはファンの定格電圧である 12V出力。
手軽に使えるのは USBケーブルタイプだが、電圧が 5Vと低く、ファンによっては起動できないものがある。
また、回転したとしても回転数が低くなり、思っていたより風量が得られない場合もある。
市販の卓上扇風機は安全性を考慮して、指がファンに触れないようカバーが取り付けられている。
ただ、これも USBケーブルタイプを使う場合に限り、回転数もトルクも抑えられているため小指 1本で簡単に止めることが出来る。はっきり言ってカバーの必要性を感じない。
長尾製作所 N-FSTAND-5V USBケーブル付 ファンスタンドのレビュー
ついでなので、簡単にファンスタンドをレビューしてみる。
ちなみにこうした季節商品は、季節外に購入するのがお勧め。価格が大幅に違ってくる。
自分は、850円で購入。
ファン傾斜角度70°と90°が選べる
机上に置いた場合、ファン傾斜角度 70°だと、顔に風が当たる。90°にすると胸の辺り。
90°位置に取り付けても、下にボールペンを差し込めば、ほぼ 70°になるので、自分は、90°垂直に立てて使っている。
長さ 35㎜の M5ネジが付属する。付属するネジを使って傾斜角度 90°の垂直プレートに取付ける場合、ファンはプレートの背面側の位置になり、若干ながらバランスが悪くなる。
写真は、垂直プレートの表側から 六角穴付きボルト長さ 10㎜の M5を使って固定している。底板の中心付近にファンが搭載できる。バランス的にはこの取付け方のほうが良い。
厚さ1.6㎜の鉄板製で安定性抜群
80㎜ 92㎜ 120㎜のファン取付け穴があり、それぞれ M5のタップが切ってある。
最近の PCケースファンの主流は 14㎝になりつつあるので、今後は 14㎝ファン対応版の商品化を望みたい。
このスタンドの良いところは、ファンを取付けた時の圧倒的な安定性。1.6㎜厚の鉄板が使われているが故の重量。
焼付塗装がほどこされ、傷にも強い。
自作卓上扇風機用の架台
PCケースファンを卓上扇風機として利用する場合、そのままだと安定性に欠けるので架台に取り付ける必要が出てくる。
こちらは自作例。
ステンレス板を使った卓上扇風機用の架台
こちらは厚さ 8mmのステンレス板の端材に L型金具を取り付けて 14cmファンを背負わせたもの。
厚さ 25mmの 120mm以上のファンは、少し触れただけで倒れてしまうので、架台部分の重量を増して安定化を図った。
物凄く重たい……
その重たさ故、防振効果がありとても静か。
産業用 ACファンを使った卓上扇風機用の架台
PCケースファンではないのだが、サーバーラック冷却ファンの予備部品としてとっておいた産業用 ACファンを使った卓上扇風機。
取付け穴位置等は PCケースファンと同じ。
ACファンの良いところは別途 ACアダプタを準備する必要が無いこと。
架台はステンレスアングル 3×20×20の端材を使った。
使った工具はグラインダーよボール盤。
120mmファンなら 厚さに関係なく使えるので重宝している。