在宅勤務に快適な居住空間を
コロナ禍により、在宅勤務の比率がとんでもないことになっている。自分が勤める会社では、まん延防止等重点措置の下では、出社率 60%。緊急緊急事態宣言下においては、出社率 30%の目標が設定された。
この状況は、ワクチンが行き渡るまでしばらく継続しそうな気がしてならない。
ところで、人がその空間に居ればいるほど発生するホコリの量は増えていく。それは布団や衣類から発生する綿ボコリであったり、センベイやポテチを食べた際に床に落ちていく欠片など。
何の対策もしていない部屋は、仕事に勤しむにはかなり劣悪な環境であると言える。
そこで空気清浄機の出番である。
こちらは、家で使っている空気清浄機の一部。
右のパナソニック F-PXC50(古い機種なので National銘板)は 2007年製。
使いだしてから 14年近く経つが、何の不具合もなくホコリを捕集し続けてくれている。各フィルターは現在でも入手可能だ。
左は三菱電機の MA-PV90Aで 2020年製で、今回のレビュー対象。
家ではこの MA-PV90Aを、1台は 8畳部屋に、もう 1台は 18畳のダイニングキッチンに、パナソニック F-PXC50は 8畳寝室に置いている。
空気清浄機の選び方のヒント
今の空気清浄機は、加湿機能がついた製品が主流。中には除湿機能まで装備している製品もある。
なぜこうした空気清浄機を選ばなかったかと言うと、機能を追加することによるメンテナンス性の悪化。それに尽きる。
たとえば、
- 加湿機能が付くと、以下を要求される
- 加湿タンクに水道水を入れてください。
- 加湿フィルターを 1カ月に 1度つけおきしてください。また 1シーズンに一度クエン酸水溶液に漬け置きしてください。
- 加湿タンクを給水する都度、水で洗浄してください。場合によっては、ブラシを使って汚れを落としてください。
- 加湿トレーを 1カ月に 1度、水で洗浄してください。
- さらに除湿機能が付くと、もれなく次の作業が付いて回る
- シーズン中は 1~ 2日に 1度、除湿タンクからの水の排出。
- 除湿タンクを 1カ月に 1度、水で洗浄。場合によっては、ブラシを使った汚れ落とし。
風の流路の途中に加湿や除湿のための部品を取付けると、どうしても圧力損失が生じて風量が落ちてしまうのだ。
特に、大きな風量にしたときに顕著で、騒音が極端に増大する。
メーカーは様々な機能を付けて差別化を図りたがるけど、本来の機能や使い勝手を悪化させてまでつけてほしいとは思っていないのは自分だけだろうか。
三菱電機の空気清浄機MA-PV90A
三菱電機の空気清浄機は、以前同社群馬製作所で製造され、2005年に三菱電機ホーム機器に製造移管された商品。
いまどき珍しい、Made In Japaneである。日本製である。
特徴は大きな風量。9.0㎥/minは、市販されている家庭用空気清浄機の中で最大クラス。
イメージとしては、家庭で使われる 20cmと 25cm換気扇の間位の風量。
自分の場合、この最大風量での運転は、掃除の最中とその後の 30分間。それ以外は基本的に 「自動運転:標準」モードに設定している。また、大枠としては24時間連続稼働。
ただし、キッチンで調理中の時は運転を止めている。オイルミストはフィルターに大きなダメージを与えるものだから。
珍しい正面吸気するフロントカバー
フロントカバーはパンチングメタル。材質はアルミ。
一般的な空気清浄機はパネルの左右および下側から吸引する方式が多い。こちらは左右と上下に加え正面からも吸気するタイプ。
パネルの色がシルバーで、事務所向けに思えるが、無着色のアルマイト加工なので壁紙が白の部屋にもよく似合う。また、パンチングメタルは筐体を小さく見せる効果があるため、寸法ほどの圧倒感・圧迫感はない。
自動掃除機構が組込まれたプレフィルター
フロントカバーを外すとプレフィルターが現れる。
プレフィルターは、後段の集塵フィルターの寿命を延ばすためのものでとても重要なパーツ。メインフィルターに辿り着く前に、粗いホコリやダストを捕集してくれるのだ。
日本電機工業会(JEMA)によれば、集塵フィルター交換の目安は次の通り。
集塵能力としては、空気を清浄する時間が初期の2倍以上になるまで。
脱臭能力としては、においの除去率が半分になるまで。
最近、空気清浄機のカタログに、フィルター寿命 10年の記載を見かける。
が、実際のところ使用する環境や状況に寿命は大きく左右される。
例えば、三菱電機の MA-PV90Aにはフィルター交換時期を知らせるランプが搭載されていて、取扱説明書には次のような説明がなされている。
「弱」運転では約 8年。「強」運転では約 1.6年の使用で点灯します。
集塵フィルターの劣化は、フィルターに付着したホコリ等により圧力損失が増えることが原因で、風量低下と騒音の増加を招く。
と言う事で、空気清浄機の性能維持には、プレフィルターの装着は必須で、且つフィルターの定期的なメンテナンスが必須なのだ。
そして、この三菱電機の MA-PV90Aには、そうした煩雑なメンテナンス作業の負担を軽減してくれる機能が搭載されている。
その名もプレフィルター自動お掃除機能。
このプレフィルター自動お掃除機能により、通常1~2週間に一度必要だったフィルターの清掃作業が、4カ月に一度にまで手間を省くことができる。
ブラシでかき集められたダストやホコリはダストボックスに貯めらる。ダストボックスの手入れ時期はランプ点灯で知らせてくれる優れモノだ。掃除忘れの心配がなくなる。
お掃除機能は、自動的に運転時間が一定の時間を超えた次のタイミングで、プレフィルター 2回転分の約 2分 40秒行われる。
- 「強」運転では約 24時間に一度
- 「弱」運転では約 120時間に一度
集塵HEPAフィルターは製造打切後10年供給を約束
本格的な HEPAフィルター。
筐体の高さ 547mm × 横幅 425mmに対し、高さ 475mm × 横幅 355mmと 面積にして 72.5%を占めるかなり大型のフィルターが組み込まれている。集塵の主役であるフィルターは大きいほど良いのだ。
JIS規格において、『定格風量で粒径が0.3 µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター』(JIS Z 8122)
市販されている空気清浄機の中には HEPAではない独自のフィルターが組み込まれた製品がある。ただし、HEPAを名乗れないのは名乗れないだけの理由があり、自分は選択肢から真っ先に外している。
プレフィルターの項でも触れたが、空気清浄機のフィルター寿命として 10年間交換不要をカタログに記載しているメーカーが増えている。
ここで一つ疑問が生じる。
果たして 10年後においても交換用フィルターは本当に手に入れることができるのか。
家電公取協(全国家庭電気製品公正取引協議会)の会員は、補修用性能部品(製品の機能を維持するために必要な部品)の供給期間(製造が打ち切られてからの年限)を取扱説明書に記載しなければならない義務があり、空気清浄機の部品保有期間は 6年。
6年を超過するとフィルターを購入できなくなるのかと心配されるかも知れないが、フィルター類に限って、部品保有期間を超えた保有を取扱説明書へ記載しているメーカーもある。
ちなみに、三菱電機の MA-PV90Aの取扱説明書には、以下のような記載があった。
三菱電機 MA-PV90A:
当社は、この空気清浄機の消耗部品を製造打切り後 10年保有しています。
長期間使用することが前提の商品なので、フィルターの入手性は事前にチェックしておきたい。
活性炭がたっぷり入った消臭フィルター
世の中にある脱臭用途のフィルターのほとんどは活性炭。吸着物の再放出が極めて少ないことが特徴で、空気清浄機にも好んで使われている。
一方で、他に代替がないので差別化が図りにくいパーツとなっている。
こちらのフィルターは洗浄が可能で、そのことで他社との差別化を図ろうとしている。
ただし、水洗浄で本当に復活してくれるのかやや怪しさを感じざるを得ない。
様々な空気清浄機メーカーが、活性炭フィルター以外に消臭効果を上げるための追加技術を組込んでいる。実際のところ、消臭に関してはそんなものを組込むよりも、活性炭を増量したほうが余程効果があるわけで、そうした独自の追加技術を組込むのは他社と差別化を図りたいから、宣伝文句が欲しいから。に他ならない。
自分はそんな風に思っている。
低騒音・大風量のシロッコファン
三菱電機の工業用を含めた換気扇シェアはトップを誇り 50%以上と言われている。製造は中津川製作所。この中津川製作所は同社内で風の中津川と呼ばれるほどのファンに関するスペシャリスト達が集まっていて、このファンの設計技術は、同社の他製作所で製造される空調機器にも生かされている。
住居空間に設置する機器の運転音の大きさはとても重要で、風量と騒音の相反する特性をバランスよく保つのが技術者の腕の見せ所。
例えば、MA-PV90Aの風量「中」は 5.0㎥/min。パナソニックのF-PXC50の最大風量「ターボ」5.1㎥/minにほぼ匹敵する。一方それぞれの騒音は43dbと 52dbである。圧倒的に MA-PV90Aが小さいのだ。
取説いらずの操作性とモニター
運転の操作は機器の上面に集中している。
白地の太い黒文字なので視認性は良好。
センサーで検知したニオイやダストの濃度は、正面のランプで表示される。
操作ボタンやモニタリングランプの位置は無難な配置で、空気清浄機としては極めて標準的と言ってよい。
ニオイ、PM2.5そしてホコリの濃度表示
ダスト・ホコリセンサーは、正面に向かって本体下側に。ニオイセンサーはモニターランプの左側にある。
センサーは、パナソニック F-PXC50と比較すると、感度はやや鈍目?
と言うか、実際には感知はしているのだけど、ランプが点灯するまであえて時間を掛けるような制御をしているように思える。
パナソニックの F-PXC50の目の前で座布団を床に叩きつけると即座に反応し、一気にファン回転数が上昇する。一方、三菱電機の MA-PV90Aは、回転数は上がるには上がるのだけど、粘り強くと言うか、のんびりと言うか、そうした一気に立ち上がるような動作はしない。
どちらが良いか好みの分かれるところであるが、ちょっとしたことでやたらと騒音をまき散らされるより、なるべく回転数を低く維持しつつ集塵してくれる三菱電機の MA-PV90Aのほうが家庭用としては好感が持てる。
ちなみに、三菱電機の MA-PV90Aはセンサー感度を変えることが出来る。ニオイやダスト濃度に対する感度をさらに鈍く出来る。
取扱説明書いらずの簡単操作
各機能はボタンそれぞれに割り当てられていて、一つのボタンに複数の機能を割り当てるような配置はしていない。取扱説明書読まずに操作が行えるほどわかりやすい。
自分の場合、普段は「自動運転:標準」「スマートサーチ:ON」で、ダストが舞うような状況になった場合に限り「手動運転:中もしくは強」を使っている。
三菱電機 MA-PV90Aについての自分用メモ
以下は、自分用メモです。
三菱電機 MA-PV90A 諸元データ
形名 | MA-PV90A | |
---|---|---|
価格(税別) | 88,000円 | |
電源 | 単相100V(50-60Hz) | |
空気清浄機能 | 清浄時間 | 8畳 7分 |
適用床面積の目安 | 〜42畳(69m²) | |
集じん方式 | 除菌HEPAフィルター | |
脱臭方式 | ナノテクプラチナ触媒+洗える特殊活性炭フィルター | |
おそうじメカ | ○ | |
他の仕様 | センサー | ニオイ、高感度ダスト/ホコリ |
運転モード | 自動[標準、おやすみ] 手動[強、中、弱] |
|
風量(m³/分) | 強9.0、中5.0、弱1.7 | |
消費電力(W) | 強88、中20、弱6 | |
運転音(dB) | 強55、中43、弱22 | |
外形寸法 高さ×幅×奥行 | 547×425×244mm | |
質量 | 9.8kg | |
電源コード | 1.8m | |
色 | シルバー(S) | |
消耗部品 | フィルターセット | MAPR-863HFT |
除菌HEPAフィルター | M25 282 349H | |
活性炭フィルター | M25 277 349 |
ダストボックスお手入れランプのリセット方法
- ダストボックスのゴミを捨てる
- ダストボックスを取付ける
- 吸込みパネルを取付ける
- 電源プラグを差込み、ダストボックスるお手入れランプを「ピッ」と音がするまで押し続ける(約 1秒)
フィルター交換と交換ランプのリセット方法
運転を「切」にして電源プラグを引抜き、送風ファンが停止したことを確認。
- ダストボックスのゴミを捨てる
- HEPAフィルター・活性炭フィルターをはずして交換する
- 吸込みパネルを取付ける
- 電源プラグを差込み、フィルター交換ランプを「ピッ、ピピッ」と音がするまで押し続ける(約 3秒)
その他の手入れ
- 1ヶ月に一度、吸込みパネルを取り外し、ニオイセンサー部分のホコリを掃除機で吸い取る
- 6ヶ月に一度、ダスト/ホコリセンサーのカバーを外し、乾いた綿棒でレンズを清掃する
- 吹き出し口からニオイがするとき、活性炭フィルター、ナノテクプラチナ触媒を取り外し、水またはぬるま湯に 1時間漬け置き洗いしたのち、 6時間風通しの良い場所で陰干しする
ダスト/ホコリセンサーの感度調整方法
- 運転「切」の時に、スマートサーチボタンを 2秒以内に 3回押す
- 標準感度に切り替わった時「ピッ」と鳴り、「スマートサーチランプ」が点滅
- 高感度に切り替わった時「ピピッ」と鳴り、「スマートサーチランプ」が点灯