H-Frame mini(IW-CA02ITX)はデザイン重視。そうデザイン重視なのだ。小さい箱の中に高性能てんこ盛りなど求めてはいけない。静音性も求めてはいけない。あくまでデザインなのだ!
して、このケース、側面パネルがガラスであるため、中身が丸見え。中の配線やら、取り付けたクーラー、メモリー、果ては冷却ファンさえも見えてしまう。
逆に言えば、これらを美しくまとめれば、このケースの「美?」が更に際立つこととなる。
さて、どう料理してやろうか!
と、言うは易し。
このケース、裏配線は出来るものの、ケース専用のケーブルが既に組み込まれていて、これらを換えるのはかなり手間が掛かる。加えて、表側も配線を隠す場所が無い。しかたなく、配線替えは将来の宿題とした。(いきなり放棄。オイッw)
最初、HN-L9i の冷却ファンをヒカリモノに換えてみたが、その光るファンばかりが目立つことに、、。逆に光らせたため、配線の不出来が目立ってしまう。考えたあげく、今回はクーラーを交換してみることにした。
このケースに改造せずに組み込めるクーラーは高さ 67mm までのもの。ここに着目。67mm 以下のクーラーの代表と言えば、サイズ製 SAMUEL17 とか、Thermalright製 AXP-100 あたりなのだが、共にファンがクーラー表面に取り付けるタイプとなり、NH-L9i と同じ運命となる。ここでは、クーラー背面にファンを装着できる Noctua 製の NH-L12 を選んでみた。クーラーの背面に光るファンを取り付けることで、ファンそのものが目立つことなく、ケース内部全体を淡く光らせることが出来るのだ。と予想。
組 込 編
クーラー上面に 120mm ファンを組み付けることが出来るが、今回は高さに制限があるため、取り外すことに。クーラー高さは 66mm。ギリギリ側面パネルに接触しない。
こちらはNH-L9i が取り付けられた H77M-ITX。普通のケースなら、特段問題無い組み方。
こちらはNH-L12 を組み込んだ状態。クーラー上面の面積は実に 1.78 倍になる。そのため、目障りだった配線の一部も隠すことが出来る。ファンも、クーラー背面に隠れてしまう。
色々テストするために、NH-L12 に付属 92mm ファンを組み付けた写真。配線をどうにかしないと・・・
クーラー性能比較編
さて、組み込むことは出来たものの、実際のクーラーとしての性能は如何に。ファンはマザーボード側へ風が吹き出す方向に組んだものだが、側面ガラスパネルとの間隔は 1mm しかない。しっかり風を吸い込み、フィンを冷却してくれるだろうかがとても心配。なので、実際に OCCT でシバいてみた。
- 【CPU】 Intel® Core™ i5-3570T
- 【MOTHER BOAD】 Asrock H77M-ITX
NH-L9i を組み込んだ時の OCCT 結果。温度は約 68 ℃(室温 27 ℃)。
NH-L12 を組み込んだ時の結果。温度は約 60 ℃(室温 27 ℃)。
クーラー + ファン | アイドル時 | OCCT負荷時 | 負荷時FAN |
NH-L9i + RDL9025SBK-PWM | 34 ℃ | 68 ℃ | 2150 rpm |
NH-L12 + NF-B9 | 33 ℃ | 60 ℃ | 1600 rpm |
ヒートシンクのサイズが大きいため、交換後の方がより冷却されているようだ。負荷時は、ケース上面より生暖かいエアが出ている。
H-Frame mini に NH-L12 を組み込み、クーラー背面から漏れるような淡い光を発するPCが一応出来た。見た目は格段にアップ。
ファンの回転数も抑えられ、静音化にも貢献。あとは、配線その他もろもろ細かいところを仕上げて、完成か。
配線と LED ファン取付け編
24pin 電源ケーブルと、12V4pin の延長ケーブルを準備。他はケース付属のケーブルを使用。延長ケーブルを使用したため、無駄なケーブルは全てケース背面側に押し込む、押し込む、押し込む。そして出来たのがこれ。
※光り具合がよくわかるように、部屋を暗くして撮影してます。
裏配線を目一杯駆使。
まあ、その為に、裏側は・・・・察してください(笑)。フロントパネルからの USB3.0 接続ケーブルだけは、長さが足りなくて表から配線。
クーラーと側面ガラスパネルとの隙間。それぞれ、正面から見た場合、上面から見た場合、1mm + α ほど。
実際に光らせてみると・・。ファン正面から撮影。クーラーのフィンの間から真っ直ぐ光が到達するため、ファンの形状がよくわかる。直接光るファンを設置した場合に比べ、フィンを通しているので、全くと言って良いほど眩しくない。
斜め下から撮影。
クーラーのフィンの間から真っ直ぐ光が到達せず、フィンに反射ながら光が漏れる。
斜め上からさらに角度を付けて撮影。フィンに反射した光が漏れるように浮き上がる。光はこちら側へ直接達しない。光源は乱反射により、ぼやけたように発光して見える。
とりあえず、一部手抜きがあるものの、見た目アップ作業は終了。今後も、色々と改造していく予定。(アクリルパネルに、クーラーヒートシンク部分だけ穴をあけ、冷却アップとか)。まあ、いつになることやら・・・
試作アクリルサイドパネル取付け編
(2013/08/07追記)いつになることやらが、今日きた。試作アクリルサイドパネルが届いた。
H-Frame mini(IW-CA02ITX)は、デザインが気に入って購入した。それにしても、最悪のエアフローである。この構造だと、トップフロータイプの CPU クーラーを選定することになるのだが、サイドパネルに吸気口が無いために、外気を積極的に取り入れることが困難なのだ。結果、ケース内部で暖かい空気が循環することになる。どんなに高性能なクーラーを取り付けようとも、冷えにくいのだ。
これを防ぐには、別途ケース内外で空気を入れ替えるためのファンを追加で取り付けるか、サイドパネルに穴を開ける位しかない。
前者としては、PCI スロットを利用する冷却ファンの追加取り付けが考えられる。しかし、NH-L12 を取り付けているので、ヒートパイプが邪魔をして取り付け不可。
となれば、もう一つの方法を試すしかない。
ケースに定規を当て、寸法出し、図面起こし、アクリル加工屋さんに発注、お金を払い(材料費、加工費で 1400 円弱、送料合わせて 2000 円 チョイ)、あとはひたすら待つばかりと思いきや、発注翌日に発送・・・早すぎ(笑
出来上がって組み込んだのがこれ
アクリル板の厚さは 2mm、アクリルは割れやすいので、厚さ 2mm 以上推奨。透明度は若干落ちるが、CD/DVD/BDのディスクの材料として使われるポリカーボネイトもお勧め。少しばかり衝撃に強くなる。
尚、この 2mm の厚さのアクリル板の場合、サイドパネルの六角スペーサーに長さ 15mm を用いることで、クーラーとアクリルサイドパネルが全く段差の無いフラットな状態で組み付けられる
クーラーとの隙間は、1mm + α を確保
にしても、アクリルはホコリが付着しやすい、、
さらに、ケース表面にクーラーがむき出しになったことから、こんなことも出来る。
なんと、NH-L12 にもう一つファンを取り付けることが出来るのだ
丁度、ファンの厚さ分だけ、ケースから飛び出る。NH-L12 は条件が良ければ、TDP95W までの CPU が冷やせるらしい。見てみると、エアフローは悪くなさそう
型名末尾に、省電力仕様の証である T とか S とかが付かない CPU も冷却出来るのではなかろうか。
光らせてみると・・・。ヘソだしルック、、。青い光がブレードに反射して、ファンが立体的に青く浮き出る。
試作アクリルサイドパネル性能チェック
さて、アクリルサイドパネルを取り付けたところで、肝心な性能チェックといきたい。いつも通り、OCCT による負荷テストだ。
- 【CPU】 Intel® Core™ i5-3570T
- 【MOTHER BOAD】 Asrock H77M-ITX
- 【COOLER】 Noctua NH-L12
- 【CPU FAN】 SY9225SL12VBL(光る鎌風の風 92x92x25mm)1000~2800rpm
- 【MEM】 DDR3 4GB×2枚
- 【DRIVE】 SYSTEM:Plextor PX-128M5P、DATA:Toshiba MQ01ABD100 1Tbyte
- 【TDP】 45W
- 【条件】 CPU FAN 回転数は 1300rpm に固定
- 【室温】 27℃
- 【特記事項】 3 つ目の試験では、Corsair AF120 1100rpm(固定) をクーラー正面に追加
まずは、ケース付属のガラスサイドパネルを取り付けた状態で OCCT 負荷。ファンは内側の 92mm のみ。最大温度は 65℃。負荷掛け開始直後から徐々に温度が上がり、24 分後に 65℃ に達する。
OCCT の system 温度を見てみると、負荷掛け開始 24 分後に 50℃ にも達していた。負荷掛け終わったあとに、system 温度近くまでは一気に下がっているが、それ以降はなかなか下がってくれない。ケース内のエアの温度以下には CPU 温度は落ちはしないのだ。
外気とケース内のエアの置換が無いケース内循環、窒息ケースの典型的な症状。クーラーを掛けていない真夏の密室で、長時間エンコードをさせる場合は注意を要する
ケースの内と外とのエアの置換が起こりにくく、徐々にケース内温度が上昇。それにつれて、CPU 温度も上昇。ケース内温度が低下しなければ、CPU 温度も下がりにくい。
穴のあいたアクリルサイドパネルを取り付けた時の OCCT 負荷。ファンは上と同じく内側の 92mm 1 基のみ。最大温度は 50℃
安定。負荷を掛け続けても、一定以上に上昇する気配が全くない。
OCCT の system 温度を見てみると、常に 38℃ で安定。先の結果に比べると、格段に改善されている。CPU 冷却には、この程度で充分だ
窓を付けるとかなり様相が変わる。ケース内に積極的にエアを取り入れることが出来る
外気を取り入れた分、必ずケース内のエアは外に出て行ってくれるのだ。よって、ケース内の温度上昇が抑えられる。クーラーヒートシンクに直接外気を送り込めるので、CPU も冷える。
穴のあいたアクリルサイドパネルを取り付け、さらに外側にファンを追加した時の OCCT 負荷
ファンは、内側の 92mm と外側の 120mm の計 2 基となる。最大温度は 47℃。安定。当然のことながら負荷を掛け続けても、一定以上に上昇する気配が全くない。
OCCT の system 温度を見てみると、常に 32℃ でこちらも安定。system 温度のセンサーの場所がどこにあるかわからないが、マザーボードは冷えているようだ
多分、ヒートシンク下のメモリにも風は供給されているはず
外側にファンを取り付けると、理想的なエアフローとなる
循環することなく、100% フレッシュエアをケース内に取り込める。
メモリ、チップセット、その他、マザーボード上の部品を万遍なく冷却してくれる。多分、NH-L12 を使う構成に限っては、ATX、Micro-ATXを含め、どんなPCケースよりも冷えるのではないか
OCCT は、そのグラフから様々なことを読み取ることが出来る。最大 CPU 温度や、負荷掛けたときの温度の上昇具合に目が行きがちだが、負荷掛ける前、掛けた後に適当なインターバルを取ることで、システム全体の特性が見えてくる。と言うことで、サイドパネル窓化はかなり効果があることがわかった。
それにしても、いじくり甲斐のあるケースだ。パネルが単純な板の積み重ねなので、色々と出来ちゃう。アクリルなら、多数のカラー板が選択出来る。クーラーヒートシンク部分に抜き文字を入れたりも出来る。革クラフト出来る人は、周囲にステッチを入れた厚なめし革製サイドパネルなんかも作れちゃうかもしれない。
っと、まだまだ続くぜ H-Frame mini(IW-CA02ITX)改造
とりあえず、ここまで読んでいただいた人に、実機採寸に基づく穴無しサイドパネル図面をご提供。空気吸入口の穴加工等はお手持ちの H-Frame mini(IW-CA02ITX)に合わせて記入を。図面上、四隅の穴は、呼び径 3mm のネジに合わせてあるが、より厚いアクリル板を使う場合は多少遊びを設けるため、少しばかり広げたほうが良い場合がある。(3.4mm → 3.6mm とか)
さあ、青/白、赤/黒のカラバリ発売など待つ必要など無い!自分で作っちゃえ!
PS. ・・・・・・今回、新たに発覚したこと。
サイドパネル 2 枚とガラスパネルを重ね合わせてみたら、ビックリ。ねじ穴位置が微妙に位置づれ。サイドパネルに限っては、かなり工作精度は悪いようだ・・・・・・。ちなみに、作ったアクリルパネルは、サイドパネルではなく、スペーサが立てられている内側のフレームから寸法取りしたので無問題。
(2013/08/22追記)さて、最後にいくつかのアクリルパネル加工例を紹介
手前はファンの出っ張りを目立たなくするため、両サイドにアルミの取手を取り付けた透明アクリルパネル
奥は、IN win のロゴ抜き加工を施したパネル。色は、濃い赤のカーマイン。抜いたロゴ部分は、エア取り入れ口を兼ねる。共に 3mm 厚。
取手を付けることにより、ケースにガッシリ感が出て、逞しくなった。取手はタカチ電気工業製の OH-140S。ファンの出っ張りも違和感が無くなった・・・と思う
濃い赤と言っても、半透明であるため、ケース内は見える。エアの取り入れ口としては小さく見えるかも知れないが、窓無しとの差は歴然。温度もそれなりに低く抑えられる
内側の LED ファンの光がロゴから漏れ出す。ロゴはスキャナで読み取った後、AUTOCAD もしくはイラストレータでトレースし、データをパネル注文時に添付すればそのままレーザー加工で抜いてくれる。正直、ここまで綺麗に抜いていただけるとは思っていなかった。アクリル加工屋さんに敬礼!