産業用スイッチング電源をファンとアルミプレートを使って冷却。電子工作用電源へ改造

スイッチング電源が熱い

TDKラムダのマルチ出力スイッチング電源 JWT100を使って汎用パワーサプライを作る電子工作に欠かせないユニットが電源。
以前は、電源そのものを回路を組んで自作していたものだが、今は専ら市販のスイッチング電源を活用している。自作の電源は安く作ろうと思えば、驚くほど安価で作れてしまう。ただし、一時的な利用ではなく、恒久的に稼働させようとすると安全回路等を実装しなければならない。そうなると思った程安くは作れないのだ。

加えて信頼性の問題もある。自分で設計した回路にイマイチ自信が持てないのだ。ほぼ間違いなくこれで良いだろうと実際に組み込んで見たら煙がががが……
まあ、設計も悪い。使い方も悪い。電圧調整ボリュームツマミに手が滑って触れてしまったり、より簡易なセレクタ方式の電源を作ったは良いが、温度ドリフトしていつの間にか電圧低下とか。
こと自作電源については過去にかなりの回数、痛い目に遭っている。

そんな訳で、電源だけは市販品を利用している。市販電源を使うのは邪道だと言われるのはもちろん覚悟の上。

最近主に使っているのは、24VDC電源ユニット。このユニットの出力側にレギュレータ回路を加え、様々な DC電圧を取り出している。
ただ、以前使っていた電源ユニットが使わずに放置されているのがチラホラ。家庭内ジャンク品である。中には新品同様な品もあるわけで、今回使うスイッチング電源ユニットもその一つ。

市販の産業用スイッチング電源は、自然空冷を前提に作られている。冷却ファンなど駆動するパーツは故障の原因となるためなるべく使用したくないからだ。本来、電子工作用の電源として使うにしても、そのまま自然空冷の状態で使いたいところだが、実際に使ってみると恐ろしく熱くなる。冷却プレートとして機能するアルミ製シャーシは手で触れない程にまで温度上昇する。正直、趣味の電子工作で、この電源ユニットを床や机の上に置いて使う気にはなれない。

そんな訳で、アルミプレートの上に載せ、且つ冷却ファンを取り付けて安全に使えるように組み立ててみた。まな板である。

使ったスイッチング電源はTDKラムダ製JWT100。追加搭載バーツなど

TDKラムダのマルチ出力スイッチング電源 JWT100を使って汎用パワーサプライを作る(接続部品)使ったアルミプレートは、藤田金属の「解凍エコちゃん」。サイズは、300mm×185mm、板厚は 4.0mm。このプレートは以前にも HDDの冷却プレートとして利用したことがある。

使用した AC-DCコンバータは、TDKラムダ製の JWT100-522/Aで、+5VDC、+12VDCそして-12VDCのマルチ出力タイプ。パンチングパネルで覆われているユニットがそれだ。

汎用電源ユニットとして使いたいため、追加でいくつかのパーツを載せた。

取り出す DC電源は +5VDCと +12VDC。それぞれのラインにガラス管ヒューズを組み込む。

このマルチ出力のスイッチング電源の場合、クロスレギュレーションの関係から +12VDC単体で使用する際にも、+5VDC側の最小電流値以上の負荷を掛けてあげる必要がある。金色のメタルクラッド抵抗器(シャーシマウント抵抗器)はその為のもの。

右側の小さな基板は、MOS-FETが組み込まれた理想ダイオード。TDKラムダ純正の RP-60-20。+12VDC側に接続してある。
通常の使用ではまず必要の無い回路。スイッチング電源本体の +12VDC側に過電圧保護機能が無いのと、DCモーターをこの +12DC出力で駆動する際の保険である。

電源ユニット入出力

TDKラムダのマルチ出力スイッチング電源 JWT100を使って汎用パワーサプライを作る(電源ユニット入出力)スイッチング電源本体の入出力端子部。(※この写真を見て、電源端子台への AC入力の配線接続が逆になっていることに気がついた……)

赤-黒が +5VDC、黄-黒が +12VDC、赤-白が 100VAC。弱電・計装配線の配線色はこれと言った決まりはなく、千差万別。見慣れている PC電源ケーブルの配色に合わせてみた。
配線は出来る限りツイスト。ケーブルは HIVの 2㎣。

AC電源入力側サーキットプロテクタとDC電源出力端子台

TDKラムダのマルチ出力スイッチング電源 JWT100を使って汎用パワーサプライを作る(入出力端子)100VAC入力側には、サーキットプロテクタを取り付けている。ただし、この使い方は正しくない。遮断器はボックス内に取り付けるべき。まあ、実験用の仮設機器として見てしまえば許容出来る。
スイッチング電源本体内部には、3.15Aの保護ヒューズが組み込まれているが、入切スイッチを兼ねて取り付けたものだ。

DC出力は、4連の中継端子台。写真は、HDD駆動用に SATA電源コネクタを取り付けた時のもの。端子台方式なので、基本電源容量が許す限り何でも接続できる。

冷却ファン電源も、+12VDC端子から供給している。

冷却能力と使い勝手

24時間連続で負荷を掛け運転してみた。

とりあえず、スイッチング電源のシャーシのどの位置に触れても火傷をすることはない程度まで温度は下がってくれた。長時間触ってられる。

最も熱くなるのは、メタルクラッド抵抗器(シャーシマウント抵抗器)。
25W 5Ωに対し、+5Vの電圧を掛け、単純計算で、電流は 1A。消費電力は 5Wである。この抵抗器はその名の通り、シャーシにネジ止めし、シャーシに熱を逃がすことを前提に作られている。シャーシに取り付けず、空中に浮かせた状態で電流を流した時、場合によっては、抵抗器表面の温度は 150℃を超える。

アルミプレートに直づけし、且つファンで冷却することで、手で触れることさえ出来なかった抵抗器の表面温度は、お風呂の湯温プラスアルファ程度にまで低減してくれた。

台座のアルミプレートは、室温27℃で、40~45℃程度だろうか。ほんのりと暖かい。

結果として、この装置のどこを触れても熱的には安全が確保されたと言える。家庭内ジャンク品が蘇った。

ただ、本音を言えば、台座のアルミプレートがここまで暖かくなるとは予想外。正直、人肌以下の温度で収まってくれることを期待していた。
メタルクラッド抵抗器(シャーシマウント抵抗器)の発熱もあるが、スイッチング電源 JWT100が現行品とは言え、TDKラムダ以前、すなわち合併前のデンセイ・ラムダであった頃の古い設計で、今時の電源とは異なり、効率が 72%と低いせいもある。ただし、安定性や寿命に関しては一級品。当時のフラッグシップ電源である。

産業用電源の効率

産業用電源 TDKラムダのマルチ出力スイッチング電源 JWT100と市販のPC用電源の効率を比較してみた。産業用電源全般に言えることではなく、あくまで JWT100としての比較である。

表は、産業用電源 TDKラムダ JWT100と PC用電源 玄人志向 KRPW-PT500W/92+ REV2.0それぞれに、自作した HDD冷却プレート(HDD 2台 + 12cmファン 1基)を接続したときのワットチェッカー読み消費電力。

電源効率比較(ワットチェッカー読み消費電力)
スタンバイ時 HDD2台接続時
TDKラムダ JWT100 20 W 29 W
玄人志向 KRPW-PT500W/92+ REV2.0
PLATINUM取得
0.4 W 11.5 W

※ スタンバイ時→JWT100 冷却ファン1基+5Ω抵抗器、
KRPW-PT500W/92+ 電源内蔵冷却ファン1基
※ HDD2台→JWT100 冷却ファン1基+HDD冷却ファン1基+5Ω抵抗器、
KRPW-PT500W/92+ 電源内蔵冷却ファン1基+HDD冷却ファン1基

玄人志向 KRPW-PT500W/92+のスタンバイ時の消費電力 0.4Wは、ほぼ電源内部の冷却ファンによる負荷。

TDKラムダ JWT100のスタンバイ時の消費電力は、メタルクラッド抵抗器(シャーシマウント抵抗器)が消費する 5Wと冷却ファン、そしてそれ以外。それ以外がかなり高く、おおむね 18W+の消費がある。
HDDプレートを接続すると、若干効率が上がる為か、スタンバイ時に消費していたそれ以外の消費電力も下がるようだ。一般的には、ある程度までの負荷を掛けた方が、軽負荷時より効率は上がる。とは言え、20Wはかなり大きい。
電源のスタンバイ時の消費電力は、ほぼ 100%熱に変換される。単体使用での発熱の原因はこれも一因。

ちなみに、この約 20Wの差を電力料金に換算すると、おおむね 400円/月、4,800円/年。

最近の PC電源の効率の良さが引き立つ結果となった。

TDKラムダのAC-DCコンバータJWT100-522/A

TDKラムダのマルチ出力スイッチング電源 JWT100-522/Aパンチングメタルのフレームカバーは、そのものがノイズ対策となる。

室温 40℃以下であれば、24時間 365日連続で 15年ほど稼働出来る寿命を期待できる。それも自然空冷のファンレスでだ。

TDKラムダのマルチ出力スイッチング電源 JWT100-522/Aの内部内部はかなりゆったりした部品配置。
ちなみに、内部に組み込まれた各部品単体を個人レベルで購入すると、電源ユニットの定価は兎も角、実購入価格を超える。







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