微小抵抗測定に必須な4線ケルビンテストリード
4線ケルビンテストリードは 2線による抵抗値測定に比較して、測定器と被測定物間のリード線の抵抗をキャンセルできるので、より正確な抵抗値が測定できる。
で、この 4線ケルビンテストリードを実際購入するとなると構造の割に高価であることにビックリ。
ネット通販などで販売されているノーブランド品を除き、軒並み1万円を超えていて、おいそれとは購入できない。
そのため、ミノムシクリップを持つリード線4本を以て代替している人も少なくない。
こちらはトリオであり、ケンウッドであったテクシオ・テクノロジーの 4線テストリード GTL-108A。
テクシオ・テクノロジーは、オシロスコープやデジタルマルチメータ、ジェネレータやアナライザなどの電子・電気計測機器メーカーで、GTL-108Aはオプションパーツとして販売されている。価格は税抜きで 5千円台。
5千円台で購入できると記載したが、そもそもバナナプラグとミノムシクリップ 4セットあれば 500円掛けずに自作できてしまう代物なので、これでも決して安いとは言えない。
コストダウンと譲れないもの
4線ケルビンテストリードの要は何といってもクリップ部分の出来具合。
クリップ先端の強度とかみ合いは特に重要で、十分な品質でない場合、被測定物のリードを傷めることになる。
華奢に見えるが、先端を指で曲げようとしてもビクともせず、樹脂でしっかりとモールドされている。
リード線の分岐部分や金属端子への接続部分は熱収縮チューブが用いられていて、1万円を超える他社製品に比較するとプアな印象を受ける。
ただし、実際に使用するに当たって問題が発生することは無い。
とりあえず、要であるクリップ部分はそこらのメーカー品並みあるいはそれ以上に丈夫に出来ていて好感が持てるレベルにある。
4線ケルビンクリップテストリードが必要な理由
こちらは、安定化電源の電流値校正に使っている 50mΩの金属板シャント抵抗器。
校正に使うので、限りなく正確な抵抗値測定が必要で、こうした電流検出シャント抵抗の測定に 4線テストリードは欠かせないものとなっている。
何の対策もせずにそのまま2線テストリードを使って測定(SENSE側の端子をはずしている)すると、50mΩであるはずの抵抗値が、ここでは 150mΩが表示されている。
理由は明確で、テストリードそのものの抵抗を含めて測定してしまっているためだ。
抵抗器を取り外し、テストリードの抵抗値を測定してみると、100mΩ。
すなわち、微小な抵抗値を測定するときは、テストリードの抵抗値が無視できないのだ。
4線式テストリードを用いて測定したのがこちら。メーカー公称値である 50mΩの抵抗値が正しく表示される。
4線式テストリードのプローブ先端を短絡させてテストリードの抵抗値の計測を試みるも、テストリードの抵抗がキャンセルされ、しっかり 0Ωが示される。
ゼロ表示は中々に気持ちのいいもので、なんにせよ、名の知れたメーカーであるテクシオが販売するにしては安価な部類であり、ノーブランド品とは一線を画す品質の 4線テストリード GTL-108Aは悪くない買い物であった。