自部屋で刃物を研ぎたい。それも夜中に
一般家庭で刃物を研ぐ場所は、屋内に限って言えば台所や風呂場になるのだろうか。
ただ、用途が全く異なり、台所など普段あまりたたない場所での作業は、やはり落ち着かない。
台所で包丁以外の刃物を研ぐ際の、女房からのジト目も気になる。
「そこは私の場所よ」と目で訴えられること間違いなし。
やはり、小物を研ぐには最も落ち着ける自分の部屋が一番だ。
包丁のような刃渡りが長いものはともかく、小物の刃物に大げさな砥石台は必要ない。
特に、切出し小刀や肥後守のように、刃先がほぼ砥石の幅に収まる刃物は、こぢんまりとしたワークスペースで十分なはずである。
自分の部屋に設置できる小型の砥石台を作ってみた。
刃物を研ぐ台の周辺に金物はご法度
砥石台は市販品もあるが、、何故か金属パーツを使われている製品が多い。
木を削ったり、紙を切ったりする道具を研ぐ際、刃を傷つけるような金属物を近くには置くかないのが常識だと思っているのは自分だけだろうか。
使う時の事を、あまり考えずに商品化していると疑わざるを得ない。ちょっくら面を出していただき、OHANASHIをしたくなる。
この砥石台では、木材の各パーツの接続に 51mmのコーススレッドを使っているが、ビスの頭はすべて背面側になる。
砥ぎ易い角度に調節
台を斜めに切断しているのは、底板に水勾配を付けるため。角度は 15°。
勾配は必須ではないものの、斜めにカットしたほうがカッコいい。
などといい加減なことを言っているが、実は角度はものすごく重要。
台の上面。すなわち研ぎ高さはヘソの高さ。
そして角度はヘソの向く角度。
手に何も持たずに刃物を研ぐように前後に動かしてみてほしい。
手をヘソの高さ、ヘソの向く方向に動かす状態が最も安定した動きが出来るのがわかるはず。
台の角度は、底面の端の下に適当なスペーサー入れることで調節できる。
写真は、ゴムのブロックを 2段に重ねたもの。
この状態で使うことはなく、台ごとボックスコンテナに格納した状態で使用する。
研ぎ水受けを兼ねたボックスコンテナ内に固定
ボックスコンテナは、砥石台の収納ケースではなく、研ぎ水受けの役割を担っている。
砥石は、ヤスリみたいなもので、摩擦係数が高く、#2000以下の砥石であれば木材の上で動くことはない。
それより目の細かい砥石を使いたい場合は、薄く硬めのゴムシートを間に挟むことで、同様な固定力を得ることができる。
底板の長さをボックスコンテナの内寸よりほんの僅か長くする。台を押し入れることでボックスコンテナと一体化し、ガタは一切なくなる。
自分は、ボックスコンテナの下敷きとして大きめのカッターマットを使っている。ダンボールを使うこともある。いずれも研いでる最中に滑ることはない。
研ぎ水は、ボックスコンテナ内に流れ、周囲に飛び散ることは稀で、心配なら新聞紙や段ボールを手前と奥に敷けば良い。
研ぎ向かう方角は鬼の出る北東。丑三つ時までに研ぎを終え、枕刀は冨田修作 乱刃の切出し。
熟睡できること間違いなし。