配線の基本は圧着端子による接続
もちろん、スリーブや閉端子を使う事もあるが、出来上がったものは後付感が拭えない。
さらに言えば、美しくない。配線替えをするには、切断せざるを得ない。
圧着端子を使うデメリットもある。大抵は中継端子台を設置する必要がある。ただ、後々のメンテナンスを考えれば断然圧着端子が良い。
最近は、圧着不要のワンタッチコネクターを目にする機会が増えてきた。これを使うと配線に要する時間が数分の一になる。
そのため、シーケンサ(PLC)のI/O接続や、多くのリレーを組み込んだ制御盤にはかなりの率で使われている。
とても有用なパーツであるのだが、ものすごく高価。
なので、一般人で、且つ DIY中心な自分には羨むのみで食指が全く動かない。
裸圧着端子と圧着工具
こちらは丸形裸圧着端子。由緒正しい昔からある端子。長い歴史から鑑みて信頼性は最も高い。
絶縁キャップとセットで取付ける。大抵のビニルキャップは、定格電圧 600V。
裸圧着端子・裸圧着スリーブ用の圧着工具には JISマーク付きの製品がある。この P-726には JISマークがつかない。つかない理由は、0.5のダイスを設けられており、0.5のダイス自体がJIS規格(C9711)からは外れるためである。
対応サイズは、0.3,0.5,1.25,2 ㎟。自分は0.3や0.5の細いサイズの電線を圧着端子で処理する機会が多いため、こちらを選んだ。ラチェットによる成形確認機構が付くので、1.25,2 ㎟に限って言えば JIS規格品同等の圧着力を得られるもとと考える。
絶縁被覆付圧着端子と圧着工具
絶縁被覆付圧着端子は、裸圧着端子に絶縁キャップがあらかじめ取り付けられている圧着端子。
この絶縁被覆部の色は、標準色として黄、赤そして青がある。これらは太さにより色分けされており、1.25㎟が赤、2.0㎟が青である。JISには無いが、0.3㎟は通常黄色が使用される。
裸圧着端子の場合、電線・配線色にビニルキャップの色を合わせられ見た目は綺麗に見える。
芯線部と絶縁被覆部の 2箇所を同時に圧着するため、ダイスは 2列になっている。
ダイス形状は、工具メーカー毎に異なり、このホーザンの P-743は芯線部はほぼ平ら、絶縁被覆部は菱形である。
圧着の仕上がり
ところで、絶縁被覆付き圧着端子の圧着工具には JIS規格が存在しない。
工具メーカーの工具設計の自由度が増す一方、存在しないために工具の善し悪しが顕著になる。
なので、確実に圧着してくれる工具を選びたい。
写真は、左が裸圧着端子をホーザン製の P-726で圧着したもの。右が絶縁被覆圧着端子を同じくホーザン製 P-743で圧着したもの。真ん中は、絶縁被覆圧着端子を圧着した後に端子の絶縁被覆を取り除いてみたもの。
写真を見てわかるとおり、裸圧着端子と絶縁被覆を取り除いた絶縁被覆付き圧着端子の中身は同じものであった。
左と真ん中を比較すると、左の方は圧着部の局所が陥没しているのに対し、真ん中の方は陥没は無く、ほぼ平らである。被覆越しに圧着することを強いられるため、被覆を破壊しないようにこのような圧着の仕上げとなる。
電線を確実に圧着すると言う本来の目的からすれば、裸圧着端子 + ビニルキャップに軍配が上がる。圧着状態が確認できるのも良い。安価なのが尚更良い。