HiKOKIの電子ディスクグラインダー
金属の研削に欠かせない工具。切断にも使えたりする。
通常の製品は、回転数一定のものであるのに対し、こちらの電子ディスクグラインダーは可変速機能が付く。
可変速機能が付くと、何が良いかと言えば、回転数を落とすことで、研削面の発熱を低減できる。
で、低減できると何が良いかと言えば、研磨に使えること。ポリッシャー代わりに使えるのだ。
研削、切断に加え、研磨にも使うため、手持ちの電動工具の中での出番は圧倒的で、多分、1もしくは2位の使用頻度である。
ディスクグラインダーのホイルカバーとワッシャ取り外し
出番が多い分、消耗も激しいと思い、購入 4年目の今回、メンテナンスすることにした。
切削、研削機器は、最も汚れる工具の一つ。買ったばかりの頃は、使い終わった後に溶剤を使って拭き取りもした。
けれど、拭っては汚しの繰り返しとなり、また汚れが完全に落ち切ることもなく、いつの頃からか、拭くこともせずに放置。
そうするとこのザマァになる。
ディスクグラインダーのギヤカバーの取り外し。開けてみてビックリ
かなり酷使してきたため、中身はもの凄いことになっているのではと、ビクビクしつつ蓋を開けてみる。
期待は裏切られた。
全くと言ってよいほど、グリスの減りものなく、ギヤの歯の消耗もない。
歯車は銀色ではないので、砲金製。
ディスクグラインダーのギヤカバー内清掃
このまま見なかったことにして蓋を閉めようかと思いもしたが、ここまで来たらグリス交換くらいはするべく、さらに分解。
こちらは、ギヤカバーを外し、カバー内部を清掃した時の写真。
良く見るとギヤカバー側にもまともな軸受が付いているのがわかる。ピニオンもナットで固定されている。ベベルギアとピニオンの位置がしっかりと定まり、ギアの摩耗と騒音を低減しているのだ。
こうしてバラしてみると良くわかる。
ベアリングや軸径も大きく、仕事に使える堅牢な製品であることがうかがえる。
ディスクグラインダーのグリス交換
グリスの入れ替えで悩むのが、グリスの種類と量。
グリスの選定
一言でグリスと言ってもいくつか種類がある。ディスクグラインダーにはどのグリスを使えばよいのか。
メーカーはグリス交換をユーザー側で実施することを前提としておらず、取扱説明書には指定グリスの記載は無い。
なので、自己の責任に於いて分解し、自己の責任に於いてグリス交換することとなる。
で、少しであるが調べてみた。
- グリスには硬さを表すちょう度がある
- グリスには増ちょう剤の種類により「金属石けん系」と「非石けん系」がある
- 分解した結果、純正はモリブデングリスが使われている
- グリスの塗布量は発熱量と寿命に影響する
まずはちょう度について
ちょう度の選定には二つの項目を考慮する必要がある。
- 使用速度
高速⇒ちょう度が大きいもの(軟らかいグリス)
低速⇒ちょう度が小さいもの(硬いグリス) - 使用負荷
高負荷⇒ちょう度が小さいもの(硬いグリス)
低負荷⇒ちょう度が大きいもの(軟らかいグリス)
ディスクグラインダーはどれに該当するかと言うと、
高速、時々高負荷
そんな訳で、自分は下の表中のちょう度「1」を選定。
もちろん、使い方によっても変わる。30分間負荷を与えっぱなしな使い方であれば、もっと硬めのグリスを選定すべきで、また、周囲温度によって変えても良い。
ちょう度番号(No.) | 000 | 00 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
硬さ | 半流動 | 軟 | やや軟 | 普通 | やや硬 | 硬 | とても硬い |
グリスの種類について
増ちょう剤はグリスの耐熱性、耐水性、せん断特性に強い影響を与えるもので、極簡単に次の表にまとめてみた。
純正がモリブデングリースを採用しているので、少なくともそれ以上のグレードのグリスを選定したい。
DIYの場合、グリス交換の頻度は少ない。ボール盤や他の電動工具等にも使えるものなので、自分は奮発して「ウレアグリス」を選定。多分、ウレアグリスは長寿命なので、グリスに限って言えば 10年以上メンテナンスフリーとなる。
ただし、ウレアグリスにも様々な種類があり、なるべく国産の信頼できるメーカーの製品を選びたい。
増ちょう剤 | 長所 | 短所 | |
---|---|---|---|
石 け ん 系 |
カルシウム石けん(カップグリス) | 安価 | 耐熱性不良 |
リチウム石けん | 万能 | 特になし | |
リチウム石けん(モリブデングリス) | 初期剪断性、万能 | 特になし | |
非 石 け ん 系 |
ウレア | 耐熱性と耐水性、長寿命 | 高価 |
グリスの量はいか程に
グリスは少なからず、多からず。分解した際のグリスの量を参考に、この位のものにした。
この位のものはどの位かと言うと、深さはピニオンが隠れる程度。面積にしてギヤケースの半分程度。
少なすぎると歯を痛めるし寿命を縮める。多過ぎれば、熱で粘度の下がったグリスが漏れ出す。
4年目とは言え、仕事で使っているわけではないので、思っていたより中身は綺麗な状態だった。ベアリングの交換まで行おうとしてた覚悟が無駄になった。回転もスムースで異音など皆無である。拍子抜けである。
ちなみに、稼働時間の目安であるカーボンブラシの消耗度合いをチェックしたところ、新品の3/5程度の短さになっていた。
分解してグリスアップしたい気持ちが良く分かります。
ギァァァァァーンととんでもない大きな金属音が鳴り響きますもんね。
多分持ってる電化製品の中で一番音がデカいです。
きっととんでもなく金属同士がぶつかり合いこすれ合っているんだろうな、ベアリングなんかグリスなくなってゴリゴリなんだろうな、とついつい想像しちゃう音ですよね。
自分も最近不安になってサンダー(グラインダー)のグリスアップを検索したらこのページに当たりました。
で、実際に同じような人が分解して内部写真を公開してくれて安心しました。
全然大丈夫なんですね。
安心しました。
音が変わるまではグリスアップは遠慮します。
ありがとうございました。