ケガキ針3種の詳細レビュー

投稿者: | 2019/11/11

愛用のケガキ針達

愛用のケガキ針達

罫書とは、図面上の加工線を材料に写し取ること。材料加工は、ケガキがスタートなのだ。

紙に鉛筆で文字を書くのと異なり、相手は金属。表面を削り取り、傷を付けながら線を描いていく。そのため、大量で複雑な線を描く場合、かなり指に負担を掛ける。選定するうえで、疲れにくさはとても重要。

また、描かれたケガキ線の品質も同様で、自分は、細く、そして深いのが好み。

写真は愛用のケガキ針達。

ペンシル型より昔ながらのケガキ針

ケガキ針にはペンシルタイプもある。替え針まで準備しているメーカーもある。
ただ、仕事ならともかく、持ち歩くことのない DIY用途で使う限り、何十年と使って行ける道具。

鉄のアングル 鉄板、そして鉄ブロックなど数知れず罫書いてきたが、針先端の摩耗はほとんど見られない。
替え針の必要性を全く感じない。

ちなみに、今まで買い替えを必要と感じたのは、紛失したとき……

ケガキ針は針先端が命

愛用のケガキ針の先端

ワークに触れる針先端にそれぞれ特徴があり、先端の硬度や角度の差でケガキ線の出来具合が著しく異なる。

以下そのインプレッション。

新潟精機(SK)の並ケガキ針(両先端焼入) K型

新潟精機(SK)の並ケガキ針(両先端焼入) K型の先端

並の名が付けられていて、なんだか可哀想なケガキ針である。価格も安い。牛丼並盛り一杯と同程度に安い。

先端は、機械構造用炭素鋼の焼入れ。先端硬度は HRC55~60とカタログに明記されている。
機械構造用炭素鋼と難しそうな名称で記載されているが、良く目にする S45Cや S50Cはその代表格。すなわち汎用の炭素鋼である。

炭素鋼を空気中で焼入れすると、普通ならば黒く変色する。こちらは表面がニッケルメッキされていて、ぱっと見熱処理しているようには見えない。

鉄板へのケガキ作業には十分な硬度を持つ。が、使ってみた限りステンレスへのケガキには力不足である。相当な力を入れて押し付けないと、充分な深さのケガキ線は描けない。

新潟精機(SK)のチップ付ケガキ針 KW型

新潟精機(SK)のチップ付ケガキ針 KW型の先端

こちらは、同じ新潟精機(SK)の先端に超硬チップが付されているタイプ。先端の針の角度は 55°。大抵のケガキ針の先端角度は、60°弱で、それよりやや鋭い。

先端角度が広いタイプは、力の入れ加減の調整が楽である。安定した太さと深さのケガキ線が描ける。

価格は、最近の高級ラーメン程度。1000円弱である。曲針が付かないタイプもあるが、何故かこちらのほうが安価。

アルミや鉄、そしてステンレスまで、様々な種類の素材へケガキが行える。特に、鉄との相性は良く、使う素材が鉄メインの場合は、良い選択だと思う。

グリップは硫黄快削鋼。細くて自分は好みではない。力を入れづらく、長時間使用すると疲れる。ただ、ある意味万能なので、使う頻度は最も高い。

住友電工ハードメタルのケガキ針

住友電工ハードメタルのケガキ針先端

住友電工ハードメタルは超硬工具メーカーで、このケガキ針は先端に同社の超硬イゲタロイがはめ込まれている。先端角度は 30°と鋭い。
とてもレアなケガキ針で、これを使っている人を見たことが無い。コンシューマー向けではないため、仕事でそれ関係に関わっている人以外はネット経由の購入となる。ただ、価格は想像した程高くはなく、送料込みで約 1,500円程度。個人でも無理なく買える金額である。

はじめて手にして実際に使ってみると、線を書く際に引っ掛かりを感じた。

おかしいと感じ、先端を 15倍のルーペで拡大して見る。先端がマイナスドライバーの如く平べったくなっている。
砥石の側面を使って丸く整えてみた。すると、見違えるほど使いやすくなった。
自部屋用と、屋外の作業場物置に一つづつ、計 2本所有するが、どちらも同じ状態であった。

使ってみて、おかしいと感じたら、先端チェック必須。

けがき線は、けがき針をワークに対し約 60°傾けて引くのが一般的だが、このケガキ針は 30°の先端角度なため、より寝かせて引く必要がある。適正な傾き加減は 45°前後であろうか。

本格的な超硬で、且つ先端角度が鋭角なので、硬い材料へのケガキは得意である。ステンレスへのケガキはこれを使うと楽で気持ち良く引ける。

住友電工ハードメタルのケガキ針の付属ケース

写真は付属する専用ケース。ケガキ針は先端が鋭く、刃物の部類なので、これは有り難い。

グリップは鉛筆をやや細くした六角断面で、転がりを防止している。そして持ちやすい。

ところで結局どれがおすすめなのか

どれか一本と言われれば、新潟精機(SK)のチップ付ケガキ針 KW型。万能である。コストパフォーマンスは最高である。
ネットでの評価点数が低いのは、形から来る第一印象から来るものなのか。使っている自分としては、とても素直で良い商品と感じているのだが……

新潟精機(SK)の並ケガキ針(両先端焼入) K型はアルミなどの非鉄金属材料へのケガキにはとても具合が良い。
ただ、元々が KW型を一時的に紛失した際に緊急手段としてホームセンターへ駆け込み購入したもの。後に K型が見つかったためお役御免状態にある。

住友電工ハードメタルのケガキ針の購入の動機は、単純に針先端角度 30°に興味があったから。衝動買いとも言う。
手に持つ時の傾き加減など、慣れが必要だが、ここに挙げた 3種の中では最も綺麗なケガキ線が得られる。
ステンレスを扱う機会が多い人は、買え揃えておいて損はしないはず。





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