軽さは正義。EF70-200mm F4L IS USM。
このレンズの最大の利点は、軽さ。
携行性は? と言うと、インナーズーム/インナーフォーカスなため胴が長く、サイズ的には決して小さいとは言えない。ただし、細い。
思えば自分も昔は猛者だった。
学生時代に、肉体労働ばかりのアルバイトをしていたため、筋力はそこそこ。上背もそれなり。
どちらかと言えば恵まれた体格を持っていたので、大きく重いレンズを背負ってもそれほど苦にはならなかった。例えば、遠征と称して、リュックに入りきれないくらい大きな天体望遠鏡と赤道儀を担いで山登りなどもした。
だがしかし、年々そういった遠征の回数は減り続け、今年に至っては未だゼロである。
また、遠征などと大それた撮影旅行以外でも、携行するレンズ本数は減ってきている。
体力の減退?
これはいかんと、一週間腕立て伏せと腹筋で体を鍛える。
にもかかわらず、やはり重たい荷物を持つことに抵抗を感じる。ムムム。体力、筋力と言うよりも気合い的な何か。それとも歳なのか……
と言うことで、仕方なく普段使いの望遠側のメインズームレンズを F2.8からこちらの F4に変えてみた。
軽さは正義であった。
別に持っている広角ズームレンズより軽い事についさっき気付いた。これなら標準ズームと持ち合わせても、何とかショルダーバッグに入れて歩ける。何しろ EF70-200mm F2.8L IS Ⅱ USMときたら、リュックに入れて背負うと平地でも登山をしているが如く前屈みとなる。ショルダーバッグでは、たすき掛けにしようが持ち歩く気にはなれない重さ。
F4は、猛者卒業後に使いたくなる良レンズであった。
EF70-200mm F4L IS USMから、より明るい EF70-200mm F2.8L IS Ⅱ USMへステップアップし、売ってしまわれる人もいると思うが、出来ることならそのまま保有し続けることをお勧めする。
望遠側テレ端を伸長したいときの助っ人。エクステンダー EF1.4×Ⅲ
さて、こちらはキヤノンのエクステンダー EF1.4×Ⅲ。持ち歩くレンズ本体が軽くなった分、鞄に入れておいても良いかなと思って購入したもの。主に望遠側テレ端を伸ばしたいときに使うレンズオプションで、以前から気になっていたし、欲しくもあった製品。
被写体までの距離があり、レンズの長さがわずかに足りない。苦しゅうない近う寄れと心の中で呟くも、被写体はそんな事は意に介さず、その場に静止。諦めて撮るのをやめるか、一応撮影して、持ち帰った後にトリミング。撮った際から期待などしていないのだが、案の定不満だらけの写真に仕上がる。よくあるケースである。
自分は既に猛者ではなくなってしまったようなので、長いレンズをもう一本持ち歩く気は失せてしまっている。そんな人に役立つ小物がこれ。この種のレンズオプションは、キヤノンだとエクステンダー、ニコンやソニーならテレコンバーター、ペンタックスはリアコンバーターと言う名称で発売されている。
小さいながらも、実は 3群 7枚ものレンズが投入されている。重さはなんと 225g。重い望遠レンズとカメラボディの間を取り持ち、支えることになるので、強度も重量もそこそこにある。
実はエクステンダーは、焦点距離を伸長させるのではなく、マスターレンズで得られた像を 1.4倍もしくは 2倍に拡大している。そのため、最短撮影距離もメインのレンズと同等だし、ズーム特性も引き継ぐ。
普段から撮り慣れてるレンズに装着して違和感が少ないのはその為だ。
AFについてはどうだろう。カタログには EF1.4×Ⅲ使用時はAF速度が約半分になると書かれている。少なくとも
EOS 5D Mark Ⅳでは、装着前後で比較して AF速度の違いはそれ程感じられない。一方、 EOS 6Dだと元々が 迷子アビリティを持つ AF精度と速度なのでそれがさらに悪化しているのを感じざるを得ない。特に 低照度においては EOS 5D Mark IVと EOS 6Dでは AF性能に大きな違いがあり、暗いエリアでエクステンダーを装着した時の撮影ではその差がより顕著となる。
しかしながら、十分な光量がある中、静止した被写体であれば、装着時の有効 F値の 1段低下と AF速度半減のデメリットはあるものの、EOS 6Dであろうと問題無く AFは使える。
装着してみたらボディカラーが異なっていた
実際にレンズに装着してみた。レンズ本体とエクステンダーの塗装色が若干異なる。若干どころかかなり異なる。
何年か前に、白レンズのボディカラーがクリーム色に近い白から、より白に近い白へと変わった。エクステンダーもⅢ型となって新色へ変更されてしまったためだ。
総括(インプレッション)
まずはEF70-200mm F4L IS USMの肝心の写りについて。F2.8のレンズの明るさは撮影の自由度を向上させてくれる。F4を使ってみて、この意味を改めて認識させてくれた。一方で、F4であっても明るい中での撮影では妥協も納得もできるレベルの画質が得られる。もちろんん、目を凝らし F2.8無垢の画像と比べれば解像が甘い事が確認出来てしまう。でもそれはあくまで並べて比べればの話である。
この画質の差とフットーワークの良さのどちらかを取るかと言えば、少し前であれば前者、今であれば後者となる。時が経てば人は変わる。とりあえず今の自分は、画質はさておき、そんな事より軽さが正義の立場である。同じ焦点距離の異なる明るさを持つレンズを複数持つことの意味は滅多にないのだが、この 70-200mmは別である。
続いて、今回同時レビューのエクステンダー EF1.4×Ⅲについて。
EF70-200mm F4L IS USMとの組み合わせは抜群であった。例えば、エクステンダーを取り付ける前の望遠側テレ端 200mmで撮影した画像と、エクステンダーを取り付け、同じく 200mm相当で撮影した画像を比較してどちらかを見分けるのは困難である。画界の中心から端の端まで、テレ端というハンデがあるにせよ、コントラストの低下もなく、それだけ解像している。もちろん、エクステンダーはマスターレンズで得られた像を拡大しているので、ある意味 EF70-200mm F4L IS USMそのものが優秀なレンズとも言える。
ちなみに、この組み合わせで望遠側テレ端 280mm相当のレンズとなるが、これが、単焦点 300mmの代替となるかと言うと、決してそのようなことはなく、その間にはあまりにも高く大きな壁が立ちはだかる。万能にはなりえず、過信は禁物である。本気で撮りたいときは素直に単焦を持ちだそう。