玄人志向の ACアダプタ KRPW-AC120Wの腑分け。その回路構成を見てみる。

このサイトは元々自作 PC関連に特化して記事を書いて行くつもりで立ち上げたのだが、最近は何やら怪しげでな方向にに向かいつつあると感じる今日この頃。別に自作 PCに関する活動をやめてしまったわけではなく、一応以前と変わらずチマチマと弄りまくっている。ただ、最近記事にすることが少なくなってきたのは確か。

と言うことで、自作 PCに関するこのサイトの Keepaliveエコーリクエストとしての記事を発信。一応生きてます。

選択肢の少ないACアダプタ

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W パッケージPC用電源規格で、ATXを普通サイズとするならば、SFXや FlexATXは小型。さらに小型化を望む場合は ACアダプタとなる。省電力小型 PCを組む上で欠かせないパーツだ。

PC用電源にあっては、ブロンズ、シルバー、ゴールドそしてプラチナなど、高効率を詠った電源が注目され、ACアダプタ電源はその蚊帳の外ににある。また、元々ニッチな分野なため、昨今の自作 PC市場の低迷に伴い、製造するメーカー自体が少なくなってしまった。

独断であり偏見かもしれないが、今現在、DC-DC基板とセットで入手出来る ACアダプタは、picoPSUシリーズ、ここに紹介する玄人志向の KRPW-AC120W、そしてASKtechの NT-ZENOシリーズだろう。

picoPSUシリーズは、ATX24pinコネクタと一体となった省スペースな DC-DC基板が特徴。しかしながら、とても高価で、ACアダプタ本体を含めると、10,000円を優に超えてしまう。実際に購入するとなると明確な理由と勇気が必要だ。

例えば、このサイトでよく登場する ANTEC(アンテック)社の Mini-ITX用ケース ISK-110 VISAは、DC-DC基板とACアダプタ本体が付属し、10,000円程度で購入可能だ。ケースから DC-DC基板を取り出し流用すれば、picoPSUシリーズを購入するより安価となる。

結果、自分にとっての ACアダプタの価格は、この ISK-110 VISAの価格が一つの基準となっている。その基準を満たすのが、ここで記載する玄人志向の KRPW-AC120W(2016/04/03現在 6,000円程度)。ASKtechの NT-ZENOシリーズも候補に挙がるのだが、入手性に難がある。

さて、玄人志向の KRPW-AC120Wの実物はどんなものか。

玄人志向の ACアダプタの組み込みパーツ

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W 基板ACアダプタ用の DC-DC基盤には珍しく、本格的な大型ヒートシンクが付く。コンデンサは国産(ルビコン)の 105℃品。標準以上のグレードだ。

かなり前に、マザーボードに実装されたコンデンサの破損がやたらと生じた時期があった。それ以来 PC自作界隈ではアルミ電解コンデンサを避ける風潮となった。ただ、問題を起こしたのは、日本ではない海外製コンデンサ。

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W アルミ電解コンデンサこの ACアダプタに実装されているコンデンサは 105℃環境下での使用において 2,000時間以上の寿命を持つ。10℃下がれば寿命は 2倍に。20℃下がれば、4倍。さらに…。65℃環境下であれば、2,000時間 × 16倍 = 32,000時間(1,333日 = 3.7年)の寿命を持つ。実際には常にこのような温度下で運転するわけではないので、実用上問題とならない範囲である。

さらに、コンデンサはハンダ付けの初歩的技量があれば簡単に交換が出来てしまう。基板一枚分のコンデンサ購入費用は多分 500円以下。

ちなみに、家庭用 PCの遙か上の信頼性が求められる Nipronの産業用電源(より過酷な環境下において期待寿命 10年以上だったか)であっても、今現在アルミ電解タイプが使われている。

皆さんは固体コンデンサに拘るほう?拘らないほう?正直、自分はほんの少し拘るほう。低発熱長寿命の固体コンデンサのほうが、そりゃぁ良いに決まってる。

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W 基板背面両面基板。
3.3-5V出力用の MOSFETが 4個(IRL8113S)背面に実装されているので、ケース直付けの場合はこのチップの高さを考慮してゲタをはかせる必要がある。

背面には各部品実装位置と記号がしっかりとプリントされている。ここまで詳細な表記は最近ではお目に掛かれない。

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W 銘板製造元は Enhance社で、小型の電源には定評がある。

DC-DCコンバータ部 入出力仕様
DC入力 DC15-24V 12A
DC出力 +3.3V +5V +12V -12 +5vsb
最大出力電流 7A 7A 8A 0.2A 2A
最小出力電流 0A 0A 0A 0A 0A
最大出力電力 108W 2.4W 10W
最大総出力 120W

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W 出力配線のハンダ付けケース内配線する際にはかなりの力が加わる箇所。一部を除き、配線 1本づつのハンダ付け。そのおかげで強度は充分にある。赤色が +5V、黄色が +12V、橙色が 3.3V、緑色がPS-ON、青色が -12V、黒色が GND。

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W PWM コントローラ 5001Cコンデンサの手前左にあるチップ(5001C)が PWMコントローラ。奥のヒートシンクに張り付けられているのがスイッチング用 MOSFET(9575GP)。DC-DCコンバータ基板お馴染みの回路。500Cと 95575GPで ON/OFF時間の比(デューティ・サイクル)を制御し、コンデンサで平滑化し、所望の直流電圧を得る。使われているその他の部品とその配置は、多分 PWMコントローラのリファレンス通り。

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W PWM コントローラ 6227cazヒートシンクの真下に隠れているチップ(6227caz)が 3.3V-5V用のPWMコントローラ。MOSFETは基板裏に実装されている。裏面の MOSFETにヒートシンクが取り付けられていないのは降圧差が少ない為か。もしくは、あえて4つ実装し、1つ当たりの負荷を減らしている為か。

チョークコイルは合計 5ヶ。PICOシリーズとは異なり、大型のトロイダルコアが使われている。基板面に実装する小さなファライトコアもトロイダルコアもほとんど性能差は無い。違うのは大きさ。基板回路を追いかけて確認した訳ではないが、5種類の出力電圧毎に実装されているのだろう。このチョークコイルにより負荷変動耐性が上がる。




玄人志向の ACアダプタ KRPW-AC120Wの付属部品

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W ACアダプタ本体ACアダプタ本体。120Wクラスともなれば、それなりに重量感もあり、大きい。経験上、DC-DC基板より、こちらの AC-DCユニットのほうが故障率が高い。残念ながら、壊すこと覚悟でないと、中身は見ることが出来ない。カタログやパッケージ記載の数値と異なるが、表には ACアダプタ本体ケースに明記された数値を記載。

ACアダプタ部 入出力仕様
AC入力 AC100-240V 50/60Hz 1.6A(最大)
DC出力 +19V
最大出力電流 6.3A

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W ATX、SFXブラケットATX、SFX用の二枚のブラケットが付属。ケースに加工を施すことなく、簡単にACアダプタ化が出来る。

玄人志向 ACアダプタKRPW-AC120W DC-DC基板ブラケットそしてこちらが、DC-DC基板用ブラケット。ATX、SFX共用で、ケース側ブラケットにはネジ 2本で固定。下の写真は、基板を載せてみたところ。寸法精度は充分にあり、基板に無理な力が加わることはない。


大抵の人は、PCパーツを購入するとき、同じ性能、同じ価格であった場合は、製造メーカーで選ぶ。また、過去に痛い目に遭ったことのあるメーカー品は当分購入する気にならなくなる。この玄人志向 KRPW-AC120Wの製造元は Enhance。自分なりの経験だが、現在まで痛い目に遭ったことはない。とだけ言っておこう。

また、既存の PCケースに簡単に取り付けられるよう多数のブラケットが付いていることも高く評価したい。全部入りで、思った通りの性能が出れば、コストパフォーマンスはかなり高いと言える。

見た限り、回路構成は極めてオーソドックス。また、発熱する箇所にはしっかりとヒートシンクが設けられている。実は、このヒートシンクが付いていること自体が肝。ヒートシンクが取り付けられていると言うことは、その箇所が発熱部であること、冷却が必要なことを見た目で素人にわからせてくれる。問題なのは、発熱するにも拘わらず、製造メーカー側で何の対策もせず、ユーザー任せにしているような商品。ヒートシンク等が付いていなければ、通常は熱対策をする必要が無いものと認識するのが普通である。でも、実際には発熱するのだ。大きな電力を供給することが目的の電源は特に顕著な箇所だ。電子回路の部品実装は熱との戦いであり、それをおろそかにすると、著しくパーツ寿命を縮めることとなる。

製造終了の噂

2013年4月の発売開始後 5年が経過。2018年8月16日現在。製造終了の噂が出ている。既に大手通販サイトからは在庫が枯渇し、一部販売を継続しているサイトにおいては価格が上昇しつつある。

と言うことで、いつもの如く諸元をメモ。

仕様
型番 KRPW-AC120W
規格 ATX12V SFX12V
(取付穴位置及びコネクター)
電源容量 120W(定格)
入力 100V(90~126V)
50/60Hz 1.5A
本体寸法 150x57x86mm(ATX)
125x152x63.5mm(SFX-C)
149x73x35mm(ACアダプター)
PFC回路 ActivePFC搭載
保護回路 過負荷保護(OPP)
過電流保護(OCP)
過電圧保護(OVP)
低電圧保護(UVP)
短絡保護(SCP)
過温度保護(OTP)
備考 参考:出力電圧の正常誤差範囲
+3.3V:+3.14~+3.46V
+5V:+4.75~+5.25V
+12V:+11.4~+12.6V
-12V:-10.8~+13.2V
+5VSB:+4.75~+5.25V








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