レビューを書く上で、出来るだけ辛辣に、もしくはいたずらっぽく悪辣に。そんなどちらかの記事が書きたくて、時々足掻いたりもする。
足掻いていくうちに、品々を使っていくうちに、
最終的には、「何コレ、案外悪くないじゃん」
と、大抵は中途半端で面白味のない結論に落ち着いてしまうため、辛辣でも悪辣でも無い退屈な記事がまた一つ増える。
そこそこ旺盛な好奇心により、何かにつけ突き動かされる気持ちは湧き出てくるものの、一方で、突き動かされた何かをきちんと言葉で表現出来ず、そのうち、その何かが実際のところ何であるのかを考えるのをあきらめ、時と共に感覚的なその何かを忘れてしまう。
そんな肝心な何かが語られていない記事に一体どんな価値があるのだろうか?言っては何だが、そんな人間にレビューされる品々は不幸である。
ただ、こうして自分の手元にあり、記事に書かれた事実は、突き動かされた気持ちが湧き出た結果であり、「何コレ、案外悪くないじゃん」であることは間違いない。不幸であり、迷惑と感じるかも知れないが、ご容赦願いたい。
そして、今回その矢面に立つのは、WILDSWANS(ワイルドスワンズ)の鞄ドラッカー(DRUCKER)。
光の当たり方で雰囲気が変わる
色はチョコ。何やら間抜けな写真写りです。ドラッカーは、持ち手を立たせ、上半身をペタンコにつぶし、全体を納めた写真でないと間抜け面になる。簡易的に閉じるためのホックが一つ付いているが、普段使う際は、ホックで閉めることなくオープンなまま使ったほうが良い。ホックで閉じると、ホック周り皺跡が付く。
革の染め色を写真で表現するのは難しい。なので、日光に一部を当てて撮った写真と、日陰で撮った写真の両方を掲載。全く違う品に見えるが、同じ品である。異なるのは表か裏かの違いのみ。(2つ下の写真を見てわかる通り、実物の表裏の色の違いは全くと言って良いほどありません。光の当て方でここまで見え方、写り方が異なります。)
WILDSWANS(ワイルドスワンズ)は財布が有名(自分の中では)。でも、バリエーションは少ないが、鞄も扱っているのだ。ドラッカーに使われる皮革は WILDSWANS定番のマシュア社(Tannery Masure) サドルプルアップ。WILDSWANS(ワイルドスワンズ)がそのサドルプルアップを用いて造った最初の鞄がこのドラッカー(DRUCKER)。
時々銀座 C.O.Uに出向いて店中ウィンドウショッピングする。何度か通ってきた中で、何となく、鞄のほうが、斑のない安定した皮革の部位が使われているように思う。財布に使われている皮革がよろしくないと言う意味ではない。WILDSWANS(ワイルドスワンズ)は、皮革製品を作るメーカーの中にあって、最も斑の無い皮革を使っている企業の一つである。それであって、”財布などの小物”<<”鞄”、と感ずる。多分、WILDSWANS(ワイルドスワンズ)はもっと鞄を売りたいのだろう。その為の良品生産。
Wildswans(ワイルドスワンズ)らしい重厚さ
WILDSWANS(ワイルドスワンズ)と言えば、厚手の皮革と Rを描いた真っ黒なコバ。その片辺が伺える箇所。
と思いきや、コバが丸くない。コバが綺麗に磨かれていない。まあ、ベルトのコバは金属バックルの内側と擦れ合うので、すぐに色は剥げてくる。だからかな?とも考えたのだが、持ち手のコバ部分も同じような仕上げであった。
財布などの小物を作る職人さんとは別の系統なのだろうと想像してみたり。WILDSWANS(ワイルドスワンズ)のその美しい仕上げのコバは、高く評されてきた。出来るなら、その良き伝統は鞄にも生かしてほしかった。
であっても、WILDSWANS(ワイルドスワンズ)である。ハンドルの付け根とか、両サイドの絞りストラップはこれでもかと言うくらいに肉厚で、WILDSWANS(ワイルドスワンズ)らしい、逞しさや重厚さを感じることができる。
見掛けによらず軽さも特徴の一つ
次はサイズの比較。手持ちのパパスショルダーを並べてみた。それほど違わないような気がしないでもないが、単純に W×H×Dでの容積比は 2.8倍以上である。マチが 160mmあるので、直径 80mmの1リットル入りペットボトルが 2本寝かせて入れることが出来る。間違いなくフルサイズのトートバッグである。
少々驚いたのは、その軽さ。普段、万双のビジネス鞄を持ち歩いてるからか、それと比較するととても軽い。重たい?(多分万双のビジネス鞄は平均的な重さ)鞄だと 100m毎に、左右持ち手を変えたり肩に掛け直したり。ドラッカー(DRUCKER)はそんな儀式を要しない快適さが得られる。見た目より 2割は軽く、それは間違いなく実感できる。
ビジネス用途に使えるか?
仕事に使える鞄か否か。自分の目安としては、A4サイズの書類が入ること。こちらは、コクヨのバッグインバッグ BizrAckを重ね合わせたものと、実際に入れてみた写真。こうして見ると、立体的な A4書類収納ケースなどは入らない。
つまり、A4サイズの書類は入らないこともない。しかし、両サイドに靨があるため、大量にとは行かない。
この鞄は仕事に使えるかと問われた時の答えとしては、使えないこともない。との表現になるのだろうか。
オフでの使用は言わずもがな。多分、快適です。
動画を撮ってみた。購入後一日使用。極めて短時間の乾拭き、ブラッシングを一回。クリーム未使用。
(動画撮影日:2016/05/21 1280 X 720 プログレッシブ ビットレート 1Mbps H264 ファイルサイズ 8.04MB)
ところで、この鞄。購入して家に持ち帰って軽く乾拭きしてたところ、糸の解れが確認された。翌日店舗に持ち込んで修理依頼。やっかいな箇所なので結構な時間が掛かるかと思いきや、翌々日には綺麗に仕上がってた。銀座C.O.U、恐るべき対応。そう言えば、パパスショルダー購入した際も、同じように糸の解れが、、。こちらも神戸との往復+1日で修理完了した記憶が。
この業界の修理対応ってこれが平常なのだろうか?こちらは別に怒ったりしてないのだが、店員さんは平謝り。もちろん保証期間内なので無償修理。
つい最近、PC部品修理を依頼した際は、平気で 1ヶ月待ち、修理受付までに 30分は状況確認のための事情聴取。どうせ使い方が悪いのだろうと店員さんの勘ぐる聴取態度。それに比べると、まさに神対応。
WILDSWANS、銀座C.O.U age