築45年の我が家のスレート屋根の修繕

投稿者: | 2020/06/13

築 45年のスレート屋根の劣化具合

劣化したスレート屋根

今住んでる家は 1975年製。約 45年前に建てられた木造住宅。自分の両親が建てたものである。

かなりの年数が経過するが、台風や地震にもめげず、何とか住むには不自由しない程度の劣化に留まってくれている。
ただし、それは目に見える範囲での話。

屋根の劣化を確認する機会は中々に無い。

たまたま雨樋の掃除をする際に覗いてみて気付く。コケだらけである。軒先の痛みが激しい。
ただ、素人がそれを見て、どの程度の劣化なのかは判断も出来なかった。

通常、素人目で劣化が確認できた時は、専門家に見てもらうのが良い。でも自分の場合、建物の少々の不具合・劣化については DIYで対処してきたため、今の今までリフォーム業者と知り合う機会が全くなかった。

それから約 1年が経過した今年の冬。ピンポ~~ン。屋根の修繕いかがっすか~?
運命の刻は来た。

葺き替えか、重ね葺き(カバー工法)か、それとも塗装で済ますか

屋根の修繕方法にはいくつかあって、大抵の業者は再塗装を勧めてくる。
費用的に最も安く、外観上の効果がわかりやすいからだ。雨漏りの発生など、不具合が見られない限り、最初から高額な葺き替えを勧めてくることはまず無い。

屋根再塗装は本当に有効なのか

今回 飛込営業で来た業者さんも、例に漏れずまずは再塗装を提案してきた。

見積書をチェックし、費用的な負担が少ない再塗装工事でまずは済まそうと契約締結。
足場を組んで、さあ工事と言う段階で、屋根に登った工事業者から連絡がきた。

「塗装だけでは修繕は無理」

軒先の痛みが激しく、いつ雨漏りが発生してもおかしくない状況とのこと。
約 1年前、自分も実際に見たことがあるので、やはりそうであったかと、今さらな見解。

工事内容の検討の仕直しである。

最も、スレート屋根の再塗装による修繕には疑問を持っていたので、工事が開始される前に気づいて良かったと今は思っている。
塗装は、スレート屋根材の保護であり、それによる若干の延命が目的であって、雨漏り予防には貢献してくれないのだ。

塗装工事の請負契約が締結済なので、工事業者からすればそのまま工事を進めてしまっても良かったはず。正直で良心的な業者なのだろう。

耐震性能が低い古い家はカバー工法が使えない

寄棟屋根の屋根裏

我が家は、四方に傾斜を持つ寄棟屋根。

天井裏は、構造用合板を母屋の間に何枚か釘で打ち付け、簡易な物置代わりにしている。構造用合板なので、補強にも一役買ってくれていると思う。
建物の上部は重くすると耐震性能が極端に落ちるので、この場所に収納出来るのは空箱などの軽い荷物のみだ。

天井から降りてくる折り畳み式の梯子でを使って天井裏へ登ると大棟と下がり棟の交差する部分が見えてくる。

何しろ 45年前の建物である。耐震金具など一切取り付けられていない。
新たな喜ばしくない発見。そのうち金具で補強する……多分、一年後。

カバー工法の場合、既存のスレート屋根材の上に防水シートを張り、その上にガルバリウム鋼板製の屋根材を張っていく。

ガルバリウム鋼板はとても薄く軽いものだが、それでも 5.7kg/㎡(JFE鋼板株式会社データ引用)程度である。
30坪程度の屋根全面に敷き詰めていくと 600kg前後となり、それは軽自動車 1台分。

すなわち、このような古い家の屋根を修復する際は、屋根重量が増すカバー工法は採用できないのだ。

ちなみに、スレート屋根は、17.5kg/㎡(JFE鋼板株式会社データ引用)で、同様に 30坪の屋根に敷き詰めると1,800kg。いやはやものすごい重量である。

構造材を取りはずす葺き替え工事は採用できない

耐震性能における屋根の重量軽減はとても効果的で、スレート屋根からガルバリウム鋼板への葺き替えはとても良い選択だと思う。

ならば、今回は葺き替えが良いのではと思われるかも知れないが、天井裏の屋根の構造を見て、それは断念した。そもそもお金が掛かりすぎる。

葺き替えは、屋根の野地板まで剥がして、新たな屋根を載せるのだが、この家は、野地板である構造用合板が構造の一部を担っているようで垂木が細くスパンも長い。

強度を保つための構造材は、安易に取り外してしまうと家そのものが歪んで、外壁が剥がれたりヒビが入ってしまう。
そんな訳で残念ながら、この家ではカバー工法も葺き替えも採用が難しい。

スレート屋根材のみを撤去した葺き替え工事(アスベスト含有屋根材の処分)

劣化したスレート屋根の撤去

どうしたものかと一日思案に耽る。
屋根を今以上に重くせず、且つ野地板を外さない方法は無いものかと、その翌日も思案に耽る。

耽ったあげくに考え付いたのが、重いスレート屋根材«のみ»を撤去し、その上から構造用合板は張り合わせ、最後にガルバニウム鋼板屋根材を取付ける方法。

スレート屋根材の重量は、17.5kg/㎡。これに対し、ガルバリウム鋼板は 5.7kg/㎡である。構造用合板 910(幅) x 1820(長さ) x 12mm(厚さ)の重量は約 12kgで、1㎡当たり 7.3kg/㎡、ルーフィング(防水シート)は約 1kg/㎡である。

すなわち、ガルバリウム鋼板の下に構造用合板を敷き詰めたとしても、既存のスレート屋根材よりも軽くなるのだ。

この方法の利点は、

  • 既存スレート屋根より軽くなる。
  • 構造材である野地板を外さなくてすむ。
  • 遮音性(雨音対策)が上がる。
  • 古いアスベスト含有スレート屋根材を処分できる。
  • 構造用合板を重ね合わせるため屋根下地の強度が上がる。
  • 緩勾配の屋根でも施工できる。

施工可能な条件として、既存野地板の痛みが少ないこと。
なお、痛みが激しい野地板のみを交換する手はあると思う。

古いスレート屋根材はアスベストを含んでいて、法律に則った廃棄処理が必要。廃棄費用は高額だが、なるべく自分の代で措置することをお勧めする。後世に残すものではない。

施工工程

上は、既存スレート屋根材を取り外している写真。
それ以降の工程を記録として残しておく。

謎の防水シート?ビニールハウス

スレート屋根材の撤去後

スレート屋根材を取り外してみてビックリ。
我が家は、ビニールハウスであった。

45年前とは言え、既にルーフィング材は世に出回っていたはずなのだが、ご覧の通りである。

ビニールを剥いでも良かったのだが、野地板の痛みも思ってたほどではなく、廃材を増やしたくなかったので、このビニールの上から構造用合板を重ね合わせることにした。
ただし、結露防止のため、本来は取り除くべきもの。湿気が抜けにくくなり新しく重ね合わせた下地材が傷みやすくなる。

構造用合板の貼り合わせ

屋根に構造用合板を打ち付ける

JAS 1級 厚さ 12mmの構造用合板は強度アップに貢献する。

貼り合わせ工事中に、室内から音を聞いてみる。
シュコーン、シュコーンと音がするのはネイルガン(釘打ち機)である。一方キュイーンガガガガガッガッの音はインパクトドライバ。

釘のみで打ち付ける施工業者がいるが、すべてとは言わないまでも、一部はビスを使用すべきだと思う。
今回の施工業者は当たりらしく、しっかりとインパクトドライバの音がしっかりと聞こえた。

ルーフィング(防水シート)

屋根にアスファルトルーフィングを張り付ける

ルーフィング(防水シート)は、カバー工法だと凹凸のある既存屋根材の上に張る。
そのため、写真のように下地と一体化したような平面にはならないのだ。

波打つことが無いので、重ね掛け部分からの雨水侵入リスクを大幅に低減してくれる。

使ったルーフィング材は、田島ルーフィング社の PカラーEX+。安価な割に寿命は長め。
グレードとしては、中の下。あるいは下の上。上に被さる屋根材よりもある意味重要なので、金額的な余裕があれば、よりグレードの高いルーフィング材をお勧めする。

アスファルトルーフィングには JIS A 6005 アスファルトルーフィング940ARK規格がある。一方、改質アスファルトルーフィングには JIS規格が存在しない。
一般社団法人日本防水材料協会(JWMA)アスファルト防水部会による独自の規格が存在し、こちらは、「改質アスファルトルーフィング下葺き材」ARK-04s適合品。

見積金額を叩きに叩いた割に頑張ってくれたと思う。特に指定したわけではないが、普通は何も言わないと下の下にされてしまう。

ガルバリウム鋼板の装着。そして完成

ガルバリウム鋼板屋根の打ち付け

使用した屋根材はニチハの「超高耐久 横暖ルーフ S」特殊なものではなく、極々スタンダードな製品。

ガルバリウム鋼板を使った屋根の施工ポイントは、まずはしっかりとした下地であること。軒先からの雨水侵入を防止した水切り構造であること。

ちなみに今回使用した軒先部分は、特注品である。構造用合板を 2枚重ね合わせた形状に合わせて板金してもらった。

屋根工事の最後の仕上げは棟板の取り付けである。
棟板金の内側の下地には、最近樹脂製が使われるケースが多いと聞く。一方で、樹脂製の棟板の交換時の写真を見ると、ビスあるいは釘穴部分から割れてしまっているのを多く見かける。

今回使用したのは、樹脂製ではなく、防腐剤加圧注入加工の杉で、薄緑色である。

塩害地区でない限り、25年以上の寿命を持つ。
生活するうえで心配事が一つ減った。これから本格的な梅雨シーズンに突入する。雨の日、かかって来い!




築45年の我が家のスレート屋根の修繕」への3件のフィードバック

  1. N.H.

    はじめまして、ナカムラと申します。
    我が家も「築45年のスレート屋根」で、まさに今「ガルバのカバー工法」で見積り中なのですが、「下地の強度不足」という懸念を知り、どうしたモノかと思案していたトコロでした。大変参考になりました。
    図々しいお願いですが、もし差し支えなければ、施工屋根面積と総工事費用を教えて頂ければ、大変有り難いです。

    返信
    1. futsutsukamono

      ナカムラ様、こんばんは。

      概算は次の通りです。

      記事の工事では、面積が約80m2で、27,500円/m2となります。
      (内訳:既存屋根解体、処分費、下地合板、アスファルトルーフィング、ガルバ金属屋根、棟カバー他)
      通常のガルバニウム鋼板カバー工法の費用 に既存屋根解体工事費用とスレート屋根材等処分費、そして12mm構造用合板材料費が加わったような見積書になっていました。

      既存屋根解体工事と処分費で、約300,000円掛かりますが、スレートを取り除いた分屋根が軽くなりますし、12mm構造用合板を重ね合わせるので強度も上がります。300,000円の価値があるものと考え、この工法で工事をお願いしました。

      この他、足場(メッシュシート)費用として約250,000円掛かっています。
      また、軒桶交換費用は除いています。

      以上、ご参考まで。

      返信
  2. ナカムラ

    丁寧なご返信を頂き有り難うございます。大変参考になりました。
    当方の場合、のべ床面積は約31坪も家なのですが、大屋根(2階部)が小さく、1階部分の屋根が広いため、軒や傾斜を加えると、屋根面積が140平米という見積もりになりました。同様の葺き替え工事ですと、税込みで400万円を超えてしまう計算です。
    足場が必要な工事なので、同時に外壁塗装や樋とテラス屋根(ポリカ)の全交換もやりたいと考えているので、コスト面で葺き替えは厳しい状況です。
    一応、屋根裏を点検して貰ったトコロ、見える範囲では野地板の酷い傷みはないので、墨を出して、野地板の下の垂木に長い特殊ビスでガルバを固定するカバー工法を勧められています。

    返信

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