ガン鉄部材でプルームテックのスタンド兼ペーパーウェイトを自作。仕上げはコンロで炙って水色に着色

プルームテック純正スタンドは軽すぎて不安定

Tスロットナット生材でプルームテックスタンドを自作加熱式タバコのプルームテック公式サイトを見たら、そこで販売されているアクセサリがものすごいことになっていた。バリエーションが多いのもそうだが、最も驚いたのは、十万円もするケースが売られていたこと。まあ、世の中財布一つに何十万円も掛ける人がいることを考えると、今更であるのかもしれない。

ところで、その中で自分も一つほしいと思ったのが一点あった。鉛筆立てのようにも見えるし、歯ブラシ立てにも見えるプルームテック専用スタンド。38mm × 38mm × 38mmの正六面体で、材質は木である。

この程度であれば自作出来ると、早速ウッドデッキを組んだ際の根太の余りをカットして作ってみた。材質はイタウバである。さて、作ったはよいが、どうにも安定性に欠ける。

軽すぎるのだ。

イタウバの気乾比重は 0.93で、決して軽い木材ではない。差し込み穴を無視したところで、単純に 38mm × 38mm × 38mmの正六面体の重量を計算すると、51g。
公式サイトで販売されているスタンドの木材は、ニヤトー(気乾比重 0.72)とウォルナット(気乾比重 0.63)。これらはイタウバよりもさらに軽く、それぞれ、40gと 35g(ともに穴は無視し正六面体として単純計算)である。ちなみに、同じサイズのアルミニウム(比重 2.70)だと、148g。鉄(比重 7.85)だと 431gだ。

と言うことで、ここはやはり金属、それもガン鉄で作るっきゃないと決心し、部材として選んで購入したのが写真の«Tスロットナット»の生材。材質は S45C。底面寸法は 38mm × 38.2mm。高は 25.4mmで重量は 239gある。
«Tスロットナット»とは何ぞやとの質問に対し、本題ではないのでここでは敢えて答えを省く。

この母材の材料費は 700円弱。多分単純な六面体であれば半額以下で購入出来るはず。

斜めに穴を孔けるのは難しいので部材をくさび型に削る

Tスロットナット生材でプルームテックスタンドを自作 エッジ型に底面をカット単純に真ん中に穴を孔けて終わりでも良かったのだが、巷に売られているスタンドのほとんどが、斜め刺しとなっている。初めはこれを真似ようと思ったが、そもそも金属に斜めに穴を孔ける術を持っていなかった。木材であればどうと言うことはない作業。でも金属でこれをやろうとするとドリルのキリを破損したり、最悪ボール盤そのものを壊してしまう恐れがある。

仕方なく、ハンドグラインダーで底面を斜めに削り、部材そのものをくさび型に成型することにした。
電動とは言え手工具であるハンドグラインダーで平面研削するのはかなり難しく、こっちを削ったら、あっちが盛り上がる。あっちを削ったらこっちが盛り上がるを何度か繰り返すこととなり、結局予定していた以上に削る羽目となり、若干平べったくなってしまった。この段階での重量は 170g。ただ、この形状であっても重心が低く、また木製やアルミ製に比べ圧倒的な重量を持つため安定感は抜群である。

写真は、表面を #150の紙ヤスリで仕上げたところ。以降、#240、#320、#400そして #600まで手作業で表面を磨いた。

上面中心にあるのは、穴孔け位置を示すポンチ孔。斜めに削り終わるまで穴孔け深さが確定できなかったため、くさび型に成形する前に打刻だけしておいた。

穴あけ、そしてやはり仕上げは鏡面にしたい

Tスロットナット生材でプルームテックスタンドを自作 鏡面仕上げと穴あけまず 手持ちのキリ 6.3mmを使って貫通穴を孔けた。6.3mmのサイズには特に意味は無く、プルームテック本体を挿し込んで、底を抜けなければ良い。穴を貫通させる理由は、穴の底にゴミや水分が貯まらないようにするため。貫通していない穴に水分(例えばコーヒーを溢すとか、ジュースを溢すとか、紅茶を溢すとか)が貯まると長時間蒸発せずにその場に留まってしまい即穴の底が錆びてしまう。

つづいてプルームテックを挿し込む穴を孔ける。プルームテックの直径をノギスで測ると 9.3mm。こちらは 9.5mmのキリを使うことにした。木材と違い、経年による寸法変化はほぼ無いに等しく、ギリギリのサイズであっても問題は発生しない。

穴の仕上げは面取りだけで済まそう。と考えていたが、少々ノッペラとし過ぎる感があったため、わずかばかりのザグリを加えた。このほうが差し込みし易い。
とりあえず穴加工終了。

つづいて鏡面仕上げ。
鏡面仕上げに近道は無い。フェルトに研磨材を塗布してとにかく磨く。赤棒、白棒そして青棒・・・とにかく磨く。

写真では、乾電池の写り込みがボケているように見えるが、これは像にピントが合っていないためである。実際には写り込みの像はくっきりはっきりでまさに鏡面となっている。

ちなみに、研磨剤を使った磨き作業よりも、その前段階の紙ヤスリによる研削作業のほうが時間を要する。表面の小さなピンホールもどきが消えるまで削る必要があり、特に最初の #150は、休憩も含め一時間近く掛かった…

ガスコンロで炙り、表面を酸化させて色を付ける

Tスロットナット生材でプルームテックスタンドを自作 コンロで焼いて酸化皮膜で色を付ける鏡面仕上げで完了しても良かったが、そのままだとやたらと指紋跡や汚れが目立ってしまう。今回は、着色することにした。
ただ、せっかく鏡面にまで磨いたので塗料で色づけしてしまっては意味がない。と言うことで、表面を酸化させ膜被覆することによる光干渉膜で色を出すことにした。

酸化皮膜による着色は、皮膜そのものに色が付いているわけではなく、膜の表面で反射された光と、膜の底面で反射する光が互いに干渉を起こし、ある波長を持つ光の色が強調される光干渉を原理としたものだ。膜の厚さにより干渉する光の波長が異なることから、この膜の厚さを調節することで様々な色を出すことが出来る。

また、色の付いた顔料を塗布した場合と異なり、見る角度により見かけ上の膜厚が変化し、色そのものや色の濃さがリアルに変わる。光干渉の原理を利用した着色の特徴だ。

この着色方法はチタンが有名である。が、実は鉄やステンレスでも可能。

チタンや鉄、そしてスレンレスなどは、加熱すると表面に酸化皮膜が形成される。チタンの場合は皮膜がほぼ透明でとても鮮やかな色相いとなる。鉄の場合、生成される酸化物は四酸化三鉄(Fe3O4)で、色は黒だが、1㎛にも満たない薄膜なため、光は通過してくれる。
付け足しておくと、この四酸化三鉄(Fe3O4)はとても緻密な皮膜で、赤錆防止になる。

鉄の着色方法は簡単で、家庭用コンロで炙るだけ。

家にあるコンロ台の 3口のうち一番奥の一番小さなコンロの真ん中にこの材料を置いて火を付け待つこと 5分程。鉄の表面がシャンパンゴールドに色づき出す。
鉄の場合、皮膜が厚くなるにしたがって、シャンパンゴールド ⇒ 赤紫 ⇒ 紫 ⇒ 青 ⇒ 水色へと移り変わっていく。

好みの色になったところで取り出し、水に漬けて色づけは完成。今回は水色まで変色したところで取り出した。コンロで炙っただけなので、本格的な焼き入れにまでに至ってないと思われるが、念のためオーブンで温度200℃の下、30分程度加熱して焼き戻しをするのが望ましい。

やや色むらがあるものの、上面は均一に色づいている。
ポイントは、十分に脱脂すること。炙る前に母材をアルコールや中性洗剤で洗い、以降は指で触れずにピンセット等を使ってコンロの上に置く。脂が付いていると皮膜にムラが出来てしまうのだ。
写真で確認出来る側面のミミズの這り跡は、後に指で擦ったら消えてくれた。コンロの炎が直接当たっていた角の部分は、いたしかた無く色むらが発生している。ただ、専用の炉を使って無いにも拘わらず案外綺麗に出来上がってくれたと思う。

元々鏡面に仕上げているので、多少の色むらは面に反射する像に紛れてしまい、載せている写真程には目立たない。また、敢えて色むらを作り出し、よりオリジナリティを出すのも面白いかもしれない。
ちなみに、酸化皮膜は薄く、青棒で磨けば簡単に削り取ることが出来る。好みの色が出なかった場合は再チャレンジが可能だ。

今回のこの一度しか試していないが、加熱し初めのシャンパンゴールドや、後半の水色であれば均一に色づかせることは難しくない。一方、途中の紫や(濃い)青を保ったまま均一にするのは極めて困難。シャンパンゴールドから水色まで、紋様の如くムラが出来る。何らかのノウハウがあるのかも知れないと思う反面、家庭用コンロの限界とも思って見たり。

オリジナルプルームテックスタンド兼ペーパーウェイトの完成

プルームテックスタンドを自作実際のところ、たかがスタンドなので、適当な大きさと重さのある金属であれば、穴を孔けるだけで完成してしまう。色々と細工してしまうのは、手元に工具があるため。持っていると、それを使いたくなる。

何かを作るのも楽しいが、工具を使う事自体が楽しい。

ちなみに、完成するまでに丸一日掛かった。手作業主体だったため、筋肉痛が甚だしい…
丸一日掛けて作ってみたものの、形やら色やら荒削りな箇所が多数見受けられる。アシンメトリーではなく、下手くそ丸出し。
いい歳こいたオッサンの精一杯がこれ。でも単なるこれは、自分にとってはアーティファクトに見えなくもない。

とりあえず、スタンドの用途だけでなく、ペーパーウェイトにも丁度良い重さに仕上がったし
それと、穴径を10.5mmにすれば、万年筆 スーベレーン M400用ペン挿しとしても悪くない気がしてきた。そのうち作る。次はもう少し頑張る。


一ヶ月程経過したら、この水色がどのように変化していくのか経年変化を記載予定。もしかしたら真っ赤に錆びているかもしれないし…油断禁物。





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