ボール盤作業に必須な道具
KIRAのボール盤 KND-8と組み合わせて使っているのは、ナベヤの中型ボール盤用ベタバイスA型 BETA-A75。口巾は 75mm。
写真は 40mmの角形鋼に穴をあけようとしている風景。KIRAのボール盤 KND-8にとってはやや大きすぎるワークであるが、正確な位置に綺麗な穴をあけるにはボール盤を使うしかない。一応、サポートローラでワークは支えてはいるものの無理を承知で使わざるを得ない。
仕方がないのだ。DIYでは、手持ちで揃えられる工具・道具には限界があって、こうしたことは少なからずある……
あけようとしている穴が小さく、ドリル刃先端のチゼルエッジより大きな径のポンチを打てるのなら、いきなり本加工に望むこととなる。だが、今回あけようとしてるのは M8貫通穴。なので下穴をあける。本来センタードリルを使うべき所を M4の刃で代用。
DIYは、あくまで趣味なので自分が納得してさえしていればどんな方法を使って作業しても良い。DIYは自由なのだ。ただし、こと安全の確保については、この限りではない。労働安全衛生法ナニソレと無視しても全く問題ないが、やはり最優先すべきは安全の確保。そしてボール盤を使う際の安全の確保に最も有効だと思うのは、バイスの使用。
ナベヤの中型ボール盤用ベタバイスA型の特徴
ボール盤に用いられるバイスにはいくつか種類があって、一般的にはベタバイスとヤンキーバイス。ヤンキーバイスはマシンバイスの範疇と言っても良いが、一応ボール盤専用の製品である。ただし、DIY用のボール盤には、専らベタバイスが使われる。
自分が使っているボール盤に組み込まれているモーターは 0.2kW。馬のちから換算で 1/4馬力である。たかが 1/4と言えど、侮る事なかれ、加工作業途中の有事の際、馬の足一本分に相当するパワーは、人間の腕では到底抗うことは出来ない。凶暴なパワーである。
バイスは、ワークの大小に関わらず使用することをお勧めする。
と言うことで、ボール盤用バイスについて、まずは自分が使っているナベヤの中型ボール盤用ベタバイスA型 BETA-A75の構造を見ながら紹介してみる。
バイスをひっくり返したこちらは裏側。
ボール盤バイスにとって、この底面の平面度は重要で、歪んでいると傾いたりガタが発生し、非常に扱いづらいものとなる。
工作機械のガイドと同様ボール盤用バイスを選ぶ上で最も重視すべきポイント。
手回しハンドルを回すと、音もなくスルスルと可動体が動く。
当然の事ながら台形ネジが使われ、ネジの加工も満足する出来。ネジの加工精度は、バイスの寿命に大きな影響を与える部位で、粗悪な材質を使っていたり、加工精度が甘いとネジの寿命は著しく短くなる。
可動体は中央の溝の案内によりガタもなく真っ直ぐ前後に移動する。
貫通穴の加工作業の際に、ドリルの穴あけ位置に溝が来ていないと貫通した瞬間にこの溝を傷つけてしまう。一方、何に増しても傷つけたくない箇所でもある。
KIRAのボール盤 KND-8にピッタリサイズのバイス
KIRA ボール盤 KND-8のテーブルに載せてみると合わせたようにサイズはピッタリ。テーブルのバイス固定用の長穴とバイス側のボルト挿入穴の間隔が 116mmと全く同じで固定も問題無い。
バイスの重量は 3.1kg。バイス・万力は大は小を兼ねると言われるが、あまりに重たいと、テーブルが重量に耐えられずおじぎしてしまう。より堅牢な大型のマシンバイスを載せるなど沙汰の外である。そうした意味でも、このボール盤にはこのサイズが丁度良い。
ボール盤へのバイス固定方法
KIRAのボール盤取扱説明書等には、バイスはテーブルにボルトで固定するよう記載されている。
しかしながら、X-Yテーブルを備えいないボール盤の場合は、穴開け位置をワークを固定したバイスを手で動かし微調整しながら合わせなければならないず、完全に固定する方法は現実的ではない。
例えば、精密ボール盤バイスであるヤンキーバイスの小型のものには、ボルトで固定するような構造は設けられてもいない。
とは言え、大型のワークを何の固定もせずに穴開け加工を行うのはやはり危険である。少なくとも 1箇所は軽くでよいので固定することをお勧めする。もちろん、取扱説明書通りに完全固定するほうがさらに安全であり、その方法を否定するものではない。
バイスを固定するボルト穴は長穴ではく、片側から挿入するタイプ。長穴タイプよりもバイスの固定-取り外しが楽である。
バイスをテーブルに固定する必要があると言うことは、大型のワークを扱うとか、それなりに危険を伴う作業であると言うこと。このボルト取り付け部は充分な強度が確保されていなければならず、ナベヤのそれは、破損することなどありえない位の厚さとなっている。
ボール盤を扱う上での注意事項
労働安全衛生規則第111条には、
「ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない」
との記載がある。
これは意外と知られてないこと。
また、切り屑を掃除する際は、ボール盤のキリを完全に停止させた後、手袋を着用し行うのが正しい作業の仕方である。
結局、ボール盤と組み合わせるバイスを選ぶ上で重要な事は、高い精度が必要な箇所はそうした加工が施された部品で組まれ、且つバイス本体が堅牢であること、そして何よりボール盤に合ったサイズであることに尽きる。と、ここまで書いてナンダソレ、ツマラナイと正直思う。なんせその理由はあたりまえすぎる事であったから、、