ベランダウッドデッキの張り替え
一年半程前に、ベランダのウッドデッキを張り替えた。国産スギであったものをイタウバにリニュアル。スギ材自体は、ベランダに波板の屋根が設けられていた為に雨に打たれる端のほうに若干の腐蝕が見られた以外、実際に歩行する中央部には、痛みは無かった。設置年数(20年以上)からすると充分な寿命はであった。イタウバはハードウッドの一種で、滑らかな木肌を持ち、裸足で歩いてもササクレで怪我をする可能性が少ない。またその耐久性は、ハードウッドの中でも高く人気の木材である。
デッキ材の張り替えは、どちらかというとそれらを支えている鋼材の腐蝕部の交換が主目的であった。
ベランダのデッキ材は、40mm×40mmのL型アングルとスギ材根太で支えられていた。解体作業をしてみると鋼材の腐蝕はかなり進んでいて、一部は既に穴があいている。こうなってはデッキ材を支える強度は期待できない。
さて、ウッドデッキの張り替えの最終工程は、デッキ材と根太の締結である。ポイントは、各デッキ材のピッチの調整。そして、ビス打ちである。この 2つをいかに丁寧にやるかによって、出来上がりの美観が決まると言って良い。失敗は赦されない工程である。
巷で噂のネジ切れしないビス
巷のサイトでウッドデッキ製作について検索を掛けると、「錐込隊長」と言うビスが良いとの事。サイトの記載からそのまま引用すると「ネジ切れを起こしにくい」。
また、「錐込隊長」を実際に販売しているサイトを覗くと、一般的に使われるコーススレッドの場合、
- 木が堅いためビスが負けてネジの頭が切れる可能性があります!
- ネジ切れ起こすと後が大変です!
などと、不安を煽る記載事項が目立つ。何この脅し商法は、と勘ぐるものの、まあ確かにそうであるのかも知れないし、きっとそれは事実なのだろう。
デッキ張替時に打つビスの本数は計算上 600本を超えていた。これだけの数を撃つならばもしかしたら?と考えるのは当然の事で、すっかり臆病者となった自分が選んだのは、やはりこの「錐込隊長」。これを見つけた当初から、これを選んだら負けな気がしていたのだが、素直に今回はそれに従った。白旗バンザイ。
ネジ切れしない工夫とは?
さて、この「錐込隊長」なるビスは、コーススレッドと何が違うのか。詳細を見てみよう。下から上に向かって「錐込隊長」、「セルフドリリングクリュウ」、「コーススレッド」である。
セルフドリリングスクリュウは、鋼材に木を締結するときに使われるビスで、先端のドリル刃先で、木材を掘り進み、さらにはその下の鋼材に穴をあけ、下穴あけ・タップ立て・締結を一工程で行える便利なビス。特徴的なのは、先端のドリル刃先形状である。
一方の錐込隊長の先端も、一般のコーススレッドと異なり、セルフドリリングスクリュウ同様に刃先が付いている。つまり切削しながら木材を掘り進んでいくのだ。錐込隊長をインパクトドライバで打ち込むときに、細かな木くずが穴から上がってくるのはこの為だ。そして、ネジ切れを起こしにくい理由もしかり。打ち込む際の抵抗が少ないのだ。
そして、もう少し拡大。
先端の刃先は、ネジの谷径より太いことがわかる。谷径より大きな穴にネジを差し込むので、「斜面の原理」に照らし合わせると、接触面積は低下し、締付力が落ちることとなる。
一般的に、コーススレッド等のネジは固定する木材(根太ではなく、デッキ材の厚さ)の約2倍の長さが必要とされる。「錐込隊長」のこの形状と原理を見てきた結果、接触面積を増やすため、より長いサイズを選択する必要が生じる。すなわち、接触面積をネジの長さで補完するのだ。
そして、600本以上打ち込み終わった結果、もちろんネジ切れは一切なし。
「錐込隊長」の功績はやはりネジ切れが無かったこと。罪過は、通常のコーススレッドに比べて締付力が弱く、長めのサイズを選定しなければならないこと。長いサイズのビスは、一梱包あたりの入り目本数が少なく、コストアップにつながる。ことでしょうか。(ベランダウッドデッキの構造がわかりにくかったので、ここで下方からの写真を掲載。)
「功罪相償う」かと言うと、そうではなく、期待していたネジ切れがないことが達成出来ているので、ここは圧倒的功績が目立つ。はじめて挑んだウッドデッキ張り替え作業。イタウバの 高い耐久性も相まって、20年以上は保ってくれるだろう。
初めまして。
「斬込隊長」を検索しHPに出会いました。
イタウバでウッドデッキの張り替えを模索中の者です。
この機会にインパクトドライバーの購入を考えています。
そこで、イタウバの材に「斬込隊長」を使用した際、下穴加工は行なったか。
インパクトドライバーの性能(トルク)は如何程のものであったかを教えていただけると幸いです。
こんにちは
コメントありがとうございます。
以下参考になれば幸いです。
まず、自分が使用したイタウバは、20(厚さ)×120(幅)×3900mm(長さ)です。
そして使用した「斬込隊長」は、SUS410 4.5(径)×41mm(長さ)です。
下穴は、あけました。
使ったキリは、スターエム社の「ウッドデッキ用皿取錐」で、下穴径 3.5mm用の型番 58XW-3560です。
600本以上の孔をあけましたが、折れることなく購入した一本で最後まで開けきりました。
http://www.starminfo.com/jp/product/saraume/58xw.html
また、上のドリル刃は同時に皿取までこなすので、皿の深さを一定に保つため、同社のドリルストッパーを併用しました。(下記サイトの品番5005-100)
http://www.starminfo.com/jp/product/hojyogu/5005.html
皿取りの深さとサイズが一定になりますので、出来上がった際の見た目の仕上がり具合がなかなか良いです。
使用したインパクトドライバは、日立工機の WH12VEで、最大締付けトルクが、165N ・m(kgf・cm)の工具です。
http://www.hitachi-koki.co.jp/powertools/pro/drill/wh12ve/wh12ve.html
打撃数は、小・中・強・最強の4段階に切り替え出来ますが、下穴を開けているため、それほど強い打撃は必要無かったと記憶しています。(多分、小か中)
一通り全てのネジを打ち終えた後に、中もしくは強でマシ締めを行いました。多分、最強設定で締め付けると、ネジ頭が舐めます。
また、半年後に、さらに確認の意でマシ締め作業を行いましたが、ほとんどのネジは締め増しの必要がありませんでした。
ネジを打つ際は、初めは打撃数を控え、徐々に上げていくいことを心掛け、多分数本打ち込めばどの程度の強さで打てば良いか、感覚的にわかってくるかと思います。
以上、ご参考までに
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ご質問にはありませんが、板を順番に張っていく際、隙間を一定に揃えるため、L30 x30x30 t=3 を(長さ100mm程度に切断したものを 三本ほど)使いました。二年経った現在、板の収縮のため隙間は 6mm程度となっています。用いる板の幅にもよりますが、今でも板と板の間隔は一定に保たれ、隙間の寸法も良い具合となっています。こちらも参考までに
丁寧な説明ありがとうございます。
下穴、皿取は予定していました。下穴を開けさらにハイパワーなドライバーが必要か迷っていました。いかんせん硬さ分からない物ですから見当がつきませんでした。
また、隙間に関しても何かしらの当てものは考えていましたが3ミリにするか部材をケチるためにも5ミリにするか迷っていましたが、木材のやせを考えると、やはり3ミリですね。
他のページも楽しく参考にさせていただいています。
ありがとうございました。