物置を整理していたら、こんなのが出てきた。マキタの電子ハンドグラインダ GD0800C。忘れていた何か。多分、保有している工具の中で最も使用頻度が少ないツール。そして、これからも・・。
ベランダの鉄骨交換作業をしている時に、溶接失敗個所が見つかった。塗装途中で気づき、その修復を目的に購入した。既に持っていたエアリューターだと、オイルミスト飛び、その後の仕上げ塗装に支障を来す。電動だと、その心配が無い。確か、そんな理由で購入した記憶がある。
実際に使ってみると、とても使いづらい。理由は、その大きさと重量に尽きる。
エアリューターと比較すると、3倍は重い。そのため、刃物先端を切削対象に押し付ける際のコントロールがとても難しいのだ。
用途は異なるが、今使っているディスクグラインダーは日立の G10VH。重量は 1.6kgである。つまりこのハンドグラインダーと同じ重量の工具で先端数ミリの刃物を、手で持ちながら微細に動かすことを強いられる。至難の業。
オイルミストの心配が無いので、木工にも使えるかなと、少しぜいたくな可変速タイプ。でも、実際には、常に最大回転数で使用(笑)。ゆっくり削るためには、回転数を落として使う方が良い?などと考えることなかれ。回転数を落として使おうものなら、キックバック間違いなし。
例えば、ディスクグラインダーと同じ程度の回転数(10,000r.p.m前後)で切削しようとしても、トルクコントロールが利かない電動工具では思うように削れない。これは刃物径が小さいので、先端刃物の周速が圧倒的に遅いためだ。つまり、無駄な機能。
安価で種類が多い 3mmシャンク刃物用に別途コレットを追加で購入したが、これも間違いであった。この大きさと重量の工具に、3mmシャンクの刃物は細すぎる。金属(アングル等)を削ろうものなら、面白いように、超硬刃物の軸がパキパキと折れてくれやがる。正直、危険極まりない。
一般的な超硬ロータリーバー。上が 6mmシャンク、下二つが 3mmシャンク。一番下の球形刃は、このハンドグラインダーでは使う気になれない。即破断。
工具市場の中で、電動工具メーカーの競合は、同じ電動工具メーカーである。そしてそれとは別にエア工具メーカーがある。このハンドグラインダーが想定する用途では、エアリューターの方が圧倒的に使いやすい。しかしながら、競合する電動工具メーカーとしては、少なからずその代替ツールの準備だけはしておきたい。そうしないと、エアリューターを多用する需要先は、その他のツールもエア工具に置き換わってしまうからだ。多分、そんな理由で生まれたのがこの工具。ある意味、電動工具メーカーの意地のみによって作られた製品と言えよう。
エア工具のようなトルク調整もできず、元来無理な用途に向けて開発された商品なので、製品としての実用完成度は低い。
当分は使う予定の無いこのツール、本日を以て天井裏倉庫に移動することとなった・・・。
これだけだと、ただの愚痴になってしまうので、エア工具と電動工具の特徴を簡単にまとめてみた。
エア工具の特徴
- 小型軽量
- 過負荷に強い(過負荷でも工具損傷がほぼ無い)
- エア源が必要
- 潤滑油が必要(ワークへ付着、環境・雰囲気悪化)
電動工具の特徴
- 高効率
- 整流子モーター内で火花発生(爆発物雰囲気で使用不可)
- 電源が必要
- 過負荷により容易に損傷
手工具の特徴
- 筋力強化
- ダイエット効果
- 安価
- 疲れる
- 動力源の必要なし
- 低効率
- 無謀