冨田修の小刀と言えば乱刃仕上げ
播州三木 富田鑿製作所 故 冨田 修氏作 乱刃（みだれば）仕上。地金と柄は錬鉄。鋼は白紙。
上の写真の刀に見ることができる刃紋のような波模様が付されている作品が乱刃仕上げで、冨田修が造る刃物に多く見られる。
鑿鍛冶が本職だったらしいが、自分の中で、冨田修の刃物と言えば乱刃仕上げ。小刀に限って言えば、直刃（すぐは）を見たことが無い。
乱刃仕上げの刃物達
このタイプの刃物は肥後守が有名だが、「肥後守」 ／ 「肥後守定かね駒」は永尾かね駒製作所の登録商標になっているため、肥後小刀と製品ケースには記載されている。
とても実用的な商品だと思っているのだが、研ぎの技術が未熟なため怖くて使っていない。
鑑賞用に堪え得る商品なのでしばらく使う気はない。
こちらは剣型の肥後小刀。
このタイプの小刀は、研ぐのが非常に難しく、自分が研ぐと、いつのまにか切っ先に近い Rが付いている部分の厚さ方向の膨らみが無くなってしまう。
地金に黒い点や筋があるのは錬鉄の証拠。
こちらも観賞用に買いおいていたもの。
冨田の刻印
冨田氏により作られた刃物には、「冨田」の刻印が入っている場合と入っていないものが存在する。
ほとんどの商品には刻印されており、手持ち 3本のうち 2本は刻印入りだった。
量産品の肥後守とは一味違う
こちらは肥後守ナイフの正当な系譜に連なる商品。直刃である。
明治27年ごろに発案されたこの万能小刀は、売れに売れたが、一方で模造品も大量に出回った。
その対策として明治43年「肥後守」の名称を商標が登録され、以後「肥後守」は三木洋刀製造業者組合の組合員だけが使用できることに制限された。
なお、カッターの普及により、以降廃業する業者が後を絶たず、今現在、永尾かね駒製作所だけがその商標を使用できる。
刃物研ぎの練習にはもってこい。そもそもダンボール開封用途など、とても実用的なので買いの一本である。