遮音・制振型静音PCの作り方。ゲーム用途以外でそこそこ高性能な万能型

遮音・制振によるPCの静音化

PCケース SilverStone RAVEN SST-RV04B-W外観5年前に組んだ普段使いの PCの調子が悪く、新たに組むことを友人に打ち明けたところ、未使用の PCケースを譲っていただけることになった。費用は、その場の飲み代……
そして届いたのが、この SilverStone RAVEN SST-RV04B-W。発売は2013年。5年前に組んだ PCを入れ替えるのに、5年前のケースを使うと言うのは、何とも複雑な思いである。が、そんなことより、まさかこんな PCケースが届くとは思いも寄らなかった。そう言えば、譲っていただけるケースがどんなものなのか聞いていなかった……

そもそも、この SST-RV04B-Wは RAVENの名を冠しているが RAVENに非ず。煙突構造ではないのだ。RAVENで煙突構造を持たないケースは、この SST-RV04B-Wのみで、不評だったため、この次に発売された RAVENは元に戻り煙突構造が再び採用された。そんな訳で、SST-RV04B-Wは RAVENファンだけでなく、SilverStoneにとっても、あまり良い印象を持たない PCケースなのだ。

そんないわくを持つこのケースは、当然今回作ろうと考えていた普段使いの万能 PCとはかけ離れたコンセプトの元に生まれたもの。
発熱するパーツを力技で冷やす作りだ。

届いた箱を開けてみれば、やはり不評であったその通りの出来映えであった。大きい割にそれに見合った材料が使われおらず剛性不足。加えて大きな騒音と振動を放つ直径 180mmの吸気ファンが 2個も取り付けられている。爆音である。
そんなことから、今回少々強引とも言える手を使い、好き勝手弄って、自分好みに仕上げてみた。

目指すのは、ゲーム用途以外でそこそこ高性能な静音PC

PCを静音化するには様々な方法があるが、あまり静音化に気を使っていない PCケースを使う場合は、限界があり、大抵は満足出来る静かさは得られない。
この PCケースが正にそれであった。

今回は静音化の中でも比較的手間が掛かると言われる遮音と制振の手法を用い、PCケースそのものを改造し組み上げた。

以下はその製作過程。

長文となってしまったため、珍しく簡単な目次を付けてみたり。

一番の騒音源180mmファンを交換。ブラケットは4.5mm厚の鉄板

PCケース SilverStone RAVEN SST-RV04B-W前面ファンこのケースの一番の騒音源が 180mm径の 2個のファン。
取り外して持ってみると異様に重たい。羽の厚さは 3mmはありそう。大きく重たい羽根を駆動するため、ファン一つ当たりの最大消費電力は 5.4Wと大きい。始動トルクが必要な為だ。

120mm×3個に換装するためのブラケットが付属するが、柔なプラスチック製である。そのため、ファンのブラケットから作り直すことにした。

PCケース SilverStone RAVEN SST-RV04B-Wの前面ファンブラケット自作材料は 4.5mm厚の鉄板。キャンプで使うバーベキュー用の鉄板を作った際の余り。以降、この鉄板材料を鉄板先生と呼ばせていただく。

4.5mm程度の厚さなら、ジグソーで切り出せる。後はグラインダーで仕上げ、ボール盤で穴をあけ、タップでネジを切るだけ。そう、それだけ。てか、もの凄く苦労した……

ファンは 140mm径に換装。ファンの仕様を一応メモっとく。

換装ファン諸元
メーカー/型式 Noctua/NF-A14 ULN SilverStone/SST-AP181
サイズ 140 (L) x140(W) x25 (H)mm 180 (L) x 180 (W) x 32(H)mm
回転数 650/800 rpm 600/900/1200 rpm
流量 66.4/79.8 m³/h 65/100/130 CFM
静圧 0.42/0.69 mmH₂O 0.9/1.6/2.45 mmH₂O
ノイズレベル 11.9 dB(A) 17/25/34 dB(A)
最大消費電力 0.48 W 5.4 W
平均故障時間 > 150.000 h 16,000 h

穴をくり抜いたとはいえ 4.5mm厚の鉄板である。これだけで 1.5kg近い。0.48Wのモーター 2つ程度のエネルギーでは、この重さの鉄板先生を振動させることなど出来はしない。

PCケース RAVEN SST-RV04B-Wの自作前面ファンブラケット取り付けブラケットはケースの外側から取り付け、ファンはケース内側に組み込んだ。このほうが、騒音源であるファンが耳から遠くなり、同時に熱源に近くなるからだ。

不要な穴は鉄板で蓋をして遮音

PCケース RAVEN SST-RV04B-Wバルクヘッドの穴このケース、なぜここに穴があいているのか。前面ファンからこの穴に掛けては熱源が存在しない。つまり前面から吸気したエアは、何の仕事もせずにここから外へ出て行くこととなる。謎である。

穴のサイズも問題で、ケース背面パネルの開口部と比較し無視出来ない面積である。
電源配線の取り出し口として開けてあるのか、あるいはもしかしたら SLIを組んだ際、2番目の VGAカードから出る熱を排出する為のものなのか。ただ、いずれにせよ今回は必要の無い穴である。

ここはやはり鉄板先生に出張ってもらおう。

ここを通過していたエアは別のストリームラインに乗せ、別の場所で除熱という仕事をしてもらことにした。


鉄は比重があり、アルミやガラスに比べて遮音性が高い。

遮音性能を表す数値の一つに音響透過損失がある。音響透過損失は壁など遮音物へ向かう入射音と壁を抜けて出ていく透過音との差を表す数値で、大きい程遮音性が高い。

\[
TL=音響透過損失\left(dB\right)\\
f= 周波数\left(Hz\right)\\
M=面密度\left(kg/m^2\right)\\
TL=20\times\log\left(\frac{f\times M}{131.8}\right)-10\times\log\Biggl(\ln\Bigl(1+ \bigl(\frac{f\times M}{131.8}\bigr)^2\Bigr)\Biggr)
\]

計算した値をプロットしてみた。

PCケース素材の音響透過損失

鉄板1mmを基準にすると、同じ遮音性能を得るには、ガラスなら 3.3mm、アルミニウムなら 3.0mmの厚さが必要となる。4.5mmであらせられる鉄板先生の遮音性能はこの数値を乗じた値となる。鉄板先生のすごさがおわかりいただけるだろうか。特にその重さたるや、重さの凄さたるや(ry

音響透過損失の各種素材の鉄板1mm相当の厚さ
密度(kg/mm³) 1mm鉄板相当厚さ(mm)
鉄 – SPHC 7860 1
アルミニウム 2700 3
ガラス 2500 3.3
ポリエチレン 1100 7

人の音の可聴範囲は 20Hz-20000Hz(20KHz)と言われている。だから何?と言われそうなので、具体例を挙げてみる。

PCの騒音源の代表であるファンの風切り音の回転数を変えたときの音圧はどの程度になるか計算してみた。

\[
ΔdB=音圧レベル差\\
N1=基準となるファン回転数\\
N2=比較する回転数\\
ΔdB=50\times\log\left(\frac{N2}{N1}\right)
\]

ファン回転数を変えたときの音圧差
FAN回転数 500rpmを基準とした音圧レベル差
500rpm
800rpm 10dB
1200rpm 19dB
2000rpm 30dB

Noctua製の NF-A14 ULN 800rpmのカタログ騒音値は 11.9dB(Aスケール特性)。同じ形状の NF-A14 PWM 1500rpmのカタログ騒音値は 24.6dB(Aスケール特性)。計算値である 25.6dBに比べやや低いものの単純な式でありながらよく一致している。
目安としては十分だ。一応言っておくが、あくまでファンの風切り音を対象とした式であり、軸・その他から発生する音は考慮されていない。

4.5mmの鉄板は、1mmの鉄板に対し、100Hz以上の周波数で 10dB以上の透過損失に差を付けている。100Hzと言えば、ウーハースピーカーのカットオフに使用されている付近の周波数で、どちらかと言うと耳よりも体で感じる音の領域だ。
つまり、比較的耳に入りやすい音の領域において、4.5mm鉄板先生は、1mm鉄板よりも表の一つ上の段にまで音圧を低減できる能力を持っていると言える。

ただし、遮音性能が高い材料で壁を作ったからそのまま音が低減されることはなく、例えば、高い防音性を備えたサッシを部屋に取り付けても、その窓を少しでも開けてしまえばそこから音は漏れてくる。ケースの気密性は静かさに対し重要なファクターとなる。

今回は、大きな穴を埋める = 気密性の向上。となるので効果は高い。実際、ケース内部の CPUクーラー冷却ファンや VGAカード冷却ファンの駆動音の上面からの漏れは格段に小さくなっている。

PCケース RAVEN SST-RV04B-Wバルクヘッドの穴を塞ぐブラケット鉄板はネジ(N4 × 7本)でしっかりとケースに固定した。
ケース固定ネジとは別にいくつかのネジが見えるが、実は下に 2.5inchの SSDと HDDをぶら下げているのだ。

また、穴を埋めたこの空間は配線整理用のスペースとしての活用の他、パッケージトレイとして機能する。修復ディスクやら、BIOSを格納した USBメモリーなどを入れようかと思っている。
なお、ケース側面パネルを外すことなく、上蓋のみ外せるよう改造してある。

PCケース RAVEN SST-RV04B-Wバルクヘッドの穴を塞ぐブラケットの裏にSSDとHDDをぶら下げる鉄板ブラケットの下に 2本のアルミフラットバーをネジ止めし、その面に二つのドライブを取り付けている。アルミフラットバーを介したのは、塗料が剥がれ、HDD基板に落ちるのを防ぐためである。また、2本のフラットバーの間を風が通り抜けるので、多少なりともドライブの冷却に貢献してくれることも期待した。

2.5インチと言えど、HDDは振動と音を発するパーツ。しかし、分厚い鉄板先生により、それらは完全に遮断されている。耳を澄まして近づけても、HDDの動作音は一切聞こえてくることはない。

ちなみに、左側の SSDはシステム用、右の HDDはバックアップ用。

PCケース RAVEN SST-RV04B-W 5インチオープンベイの穴5インチオープンベイの蓋は強化プラスチック製。そしてこの部分に対しても遮音性かつ剛性アップを謀る。

最近は 5インチオープンベイに取り付けるパーツの種類が少なくなり、ベイそのものを排除した PCケースが増えている。自分も最近は使う必要性を感じない。封印しても何ら問題無い。

PCケース RAVEN SST-RV04B-W 5インチオープンベイに長尾製作所 5インチベイ用フロントクーラー2段 SS-NFR5CL02を取り付ける取り付けるのは 長尾製作所 5インチベイ用フロントクーラー2段 SS-NFR5CL02。材質は 1mm厚の鉄板。ものすごく堅牢に出来ていて、剛性アップにも役立ってくれる。

PCケース RAVEN SST-RV04B-W 5インチオープンベイの穴を塞ぐ付属する 80mmファンと専用マウンタは使わない。もちろん、ファン用の穴は金属板で塞いで遮音する。

アクリルを鉄板に換えて遮音

PCケース RAVEN SST-RV04B-Wの側面アクリルに代わり鉄板をケース側面に埋め込む迷いに迷ったあげく敢行した改造箇所である。PC内部が外から見えなくなってしまった……

側面パネルを透過して出る CPUクーラー冷却ファンと VGA冷却ファンの騒音を鉄板で遮音する。元のアクリルパネルの厚さは 3mm。これを 3.2mmの鉄板先生に入れ替えた。

写真は鉄板周囲 4辺をグラインダーで削り寸法を合わせている場面。削ってははめ込んで寸法チェックを何度か繰り返す。この後、裏と面の両面を研磨し塗装。今回は色は塗らずクリアで仕上げる。クリアのみを使った塗装は錆止め効果が皆無なので注意を。コーヒー吹き溢し厳禁である。

この部分の遮音効果は絶大で、側面から出て行こうとしていた音はこれでほぼ遮断される。出来上がって騒音を確認したが、正直ここまで厚い鉄板を使う必要は無かったと感じている。ただ、そんなことは予めわかるはずも無く、取り敢えず手加減抜きの全力全開で事に当たった。鉄板の重さは 2.8kg……

アクリルを固定していたネジ類をそのまま利用したので、強度的に若干の不安がある。問題が発生するようであれば、ボルトナットで固定し直す予定。鉄板はその重さ故苦労するが、重さ故効果が高い。

結構な広さを持つ平坦な面が出来たが、痛 PCの如くステッカーなどを貼る気はない。
が、将来のことは誰もわからない。

振動源は、重量物で制振

PCケース RAVEN SST-RV04B-Wに鉄板を取り付け制振するPCケースの内部に置くオブジェと言えば、フィギュアである。かねてより PC内部にはフィギュアを置くための専用スペースが必要と考えていた。
この PCケースの広々とした内部は打って付けであった。と言うことで、このチャンスを生かすことにした。将来的にここには壮大なステージが建てられる予定である。
一応、ステージが完成するまで、仮ではあるが HDDドライブ置き場としてこのスペースを活用する。

HDD由来の振動の制振が目的ならばスポンジやゴムシートが適しているのだが、もちろん今回は鉄板先生においでいただく。
2kgオーバーの鉄板先生は、3.5インチ HDDが発する振動にも微動だにしない。するはずがないのだ。
ただし、HDDを単に置くだけでは振動は抑えられない、固定が必要である。何度も言うが、とりあえず仮置き。

4.5mm鉄板先生の取り付けは、元から開けられていた 2.5インチドライブの取り付け穴を利用した。M3を使うこととなるが、穴の数(12箇所)が多く、たとえ M3でもネジ全体の合計断面積を考えれば強度的には問題無い。

もともと、ケースのこのボトム面は、面積が広い割にリブ補強が一切されておらず、振動面で不安があった。鉄板を設置するのは剛性アップの効果も狙っている。

組み込みパーツ色々。そして熱源の確認

自作PC SST-RV04B-W内部PCの代表的な騒音源の一つに冷却ファンがある。冷却ファンはその名の通り発熱した組み込んだパーツを冷却するもので、そのファンの配置や回転数を決めるためには、発熱するパーツがどの位置にあって、どの程度の熱量を持つ部品なのかを十分に把握しておく必要がある。

一通りパーツを組み込み完成に近づいてきた。ただし、試運転したところいくつか不安要素が見受けられた。ここで自分用メモも兼ねて組み込んだパーツを紹介しておく。

ケース内ボトムに降臨したるは蘭子

自作PCケース内の神崎蘭子 アイドルマスター シンデレラガールズ フィギュア最初に言っておこう。PC内部の全体写真のボトムには、センチュリー 裸族のビキニ HDD用スタンドキットが置かれているが、これは仮の姿である。最終的には、煌びやかなステージを背景にこちらのビキニ姿の神崎蘭子が鎮座奉る予定である。

まあ、先の話だ。

予想以上に高い消費電力だったi7-8700

CPUはi7-8700、クーラーはNoctua製NH-U12S組み込んだ CPUは I7-8700(non-K)。実はこの CPUの消費電力が予想以上に高かった。以下は OCCTを使ったストレステストした際のワットチェッカー読取値。

ところでメモリの挿し位置が間違ってるのにこの写真を見て気がついた、、後日きちんと挿し直したので突っ込まないように。

OCCT負荷試験時の消費電力(ワットチェッカー読み)
消費電力
アイドル 29W
TBオフ(3.2GHz)連続 88W
TBオン(3.8GHz)連続 110W
TBオン(4.6GHz)短時間最大 158W

Intelの TDPは、TBオフを基準にしているが、追加でパーツを組み込んでいるとは言え 88Wと高い。

TBオンにした場合は、110Wにもなる。果たして、Noctua製 NH-U12Sで冷やしきれるだろうか。後述。

廉価版マザーボードASUSの PRIME B360-PLUS

マザーボードは、ASUSの PRIME B360-PLUS。B360チップセットを積んだ廉価ボードだ。
発売当初の初期 BIOSでは、i7-8700は検証済 CPUリストには載っておらず、BIOSのバージョンが 0401になってはじめて使用可能になった。

いずれにせよ、予想だにしなかった CPUの消費電力の高さが確認されてしまった今、廉価版マザーの貧弱な VRMに対し、若干の不安が残る。

メモリ選定はQVLとにらめっ子。Panram社製のW4U2666PS-16G

メモリーは Panram社製の16GB 2枚組 W4U2666PS-16G。初めて使うメーカーのメモリーだ。最近はメモリーが高騰し且つ品薄状態。なんとこの 2枚組セットは CPUよりも高価。そんな価格がここしばらく維持されているので冒険もしづらい。

ところで、発売されたばかりのマザーボードは動作情報も少なく、メモリ-など相性と呼ばれる問題の可能性があるパーツに対しては、どうしても QVL(Qualified Vendor List(認証ベンダーリスト))に頼らざるを得ない。
今回その表をじっくり観察して選んだのがこのメモリー。一応、4枚挿しても動作し、搭載メモリチップメーカーが公開されていて入手し易いものを選んだ。
今のところ、メーカー公称データ通りに動作してくれている。

メモリー選びで厄介なのは、同じメーカー、同じ型番にも関わらず、バージョンの違う製品が発売されていて、そのバージョンによって動作条件が異なることだ。あらかじめバージョンが確認出来れば良いのだが、開封が必要な為、その手立てはまず無いと言って良い。

ガチャである。

Intel Optane SSD 800P(58GB)で何か変わるか

自作PC搭載パーツ。玄人志向 GF-GT1030-E2GB/LPとIntel Optane SSD 800P(58GB)静音・省電力に欠かせない 2.5インチ HDDを多用する自分にとって目からウロコのパーツであった。

2.5インチ HDDは一昔前の 3.5インチ HDD並の速度となった。とは言っても、PCを操作している中で最もストレスを感じるパーツ。そのストレスを軽減してくるのが Optaneメモリーだ。データドライブのキャッシュとして設定している。快適そのものである。写真画像の読み出しなぞ瞬時に終わる。

実はあまりにも快適なので、一時ファイル置き場用にもう一枚(118GB)購入してしまった。

ちなみに、データドライブのキャッシュ機能は、PRIME B360-PLUSの場合 BIOSのバージョン 0602以降のサポートとなる。

マルチモニタ用にGeForce GT 1030のVGAカード

PCIe 3.0/2.0 x16スロットに刺さっているのは、玄人志向 GF-GT1030-E2GB/LP。マルチモニタ出力用に装着した。
CPU内蔵 GPUに対し数倍の処理能力を持ち、本当に軽いゲームなら動作してくれる。
ちなみに、このカードを挿すことで、アイドル時の消費電力は 4W上昇する。TDP 30Wなので機能、性能の割に省電力だ。シングルモニタで使うにしても、CPU内蔵 GPUの動作を BIOSで切ってしまい、このカードをメインに使うのも悪くない考えである。

ただし、最も安価な VGAカードとは言え今の時期はそれなりに高価である。数年前であればこのクラスの VGAカードは 5000円程度で購入できた。

苦手な配線をどう仕上げるか

PCケース RAVEN SST-RV04B-Wの配線方法ついでに配線状況も晒しておく。

PCケース内の配線は大の苦手。
と言うのも、大抵は余った配線の格納を断念し、SATAと USB3.0ケーブル以外は適当な長さに全て切断し、改めてコネクタを半田付けする。今までのやり方はこうだった。もの凄く煩雑な作業である。

PCケース RAVEN SST-RV04B-Wのパッケージトレイ内の配線今回も、その覚悟はしていたのだが、各ケーブルを仮配線してみると、計ったようにピッタリの長さであった。電源から引き出されるケーブルの長さは ミドルタワーケースを想定してるのだと改めて理解する。また、配線が余ったとしても、このクラスのサイズの PCケースだと格納する場所に困らない。広さは正義か。

と言うことで、それ程苦労せずに配線出来た訳だが、仕上げはご覧のあり様で、逆に手抜き丸出しとなってしまった。美しさよりメンテナンス性を優先したと言うことで納得している。

PCケースの配線。インシュロックタイのマウントベースの活用マザーボードトレイの裏側に配線する際、インシュロックを使うのが一般的である。この PCケースもそれを前提にマザーボードプレートの背面にはインシュロックを固定するスルーホールが数多く設けられている。ただし、実際に仮配線してみるとその位置が悪い。

結局、元から付いているスルーホール 9箇所のうち、使ったのは 2箇所だけである。代わりに使ったのがこのインシュロックタイのマウントベース。普通使うのは裏面がシールになっているタイプだが、今回はより確実に固定出来るネジ止めタイプを使った。

時を経て、ケースの蓋を外してみたら、マウントベースが外れてぶら下がっていた……と言う状況に過去に何度も出会っているからだ。

PCケースの配線。インシュロックタイのマウントベース取り付けネジネジ止めタイプを使う場合、マザーボード側に飛び出るネジ頭がマザーボードと接触しショートするのが心配だ。でも、低頭ネジを使うことでそれは回避出来る。使ったネジは M3×6mmで、緩み防止ナイロン付きナットで締め上げた。ちなみにネジ頭の厚さは 1.3mmである。

正圧PCケースのホコリ対策

将来、ケース内にはフィギュア設置の為のステージを構築する予定である。幸いなことに RAVEN SST-RV04B-Wは正圧設計で、ケース内部に出来るだけホコリが入らないようなエアフローシステムを採用している。

そして今回、ホコリの侵入を極限まで減らすため、ファンは前面の 2つだけにした。建築基準法上の第二種換気と同じく、排気ファンを取り付けない完全正圧だ。

[Get Picture]こちらは以前組んだ M-ATXの PCで、前面 180mm吸気ファン、背面に 120mm排気ファンを設置した正圧ケース。一見、ホコリの侵入が無いように思えるが、排気ファン周辺の背面パネル開口部より侵入しまくる。何故かと言うと、吸気ファンの前に取り付けているシート状のエアコンフィルターの交換をサボっていたからだ。前面から吸気しなくなるので、排気ファンはその周辺の穴という穴から吸気し出す。前面フィルターが目詰まりを起こしている段階で、正圧ケースでは無くなっているのだ。

正圧PCケースのホコリ対策として家庭用クーラーフィルタを利用したさて、ケース内に入ってくるエアは全て前面ファンを通過することとなるため、ファンを通過するエアからホコリを取り除いてあげれば基本的にケース内へのホコリの侵入はない。イレギュラーな状況を除いてはそうなるずだ。

RAVEN SST-RV04B-Wには、着脱式フロントグリルが装着されていて、防塵フィルタが貼り付けられている。ただ、ホコリの侵入が万全かと言うと、やはりその目が粗く、細かなホコリは侵入してくる。
と言うことで、今回色々と試してみた。

まずは、エアコン用フィルタ。PCのホコリ侵入対策の定番と言って良い。

フィルタの取り付けは、適当なサイズに切り取ったフィルタをフロントグリルの内側に被せ、ファンへの捲き込み防止を目的に同じく適当に切り取った金網を上に被せる。フロントグリル両サイドの耳部分にアルミフラットバーを重ね合わせた上で、スライドグリップで挟み込むだけ。ほぼワンタッチ交換が可能な優れものとなった。この時点で、かなり良いものが出来たと喜びつつ、さて試運転。

爆音である。

アレ?ナゼ?シート状のフィルタを付けるだけで爆音発生。
ファンの吸入側の障害物は、騒音の原因となることは知っていたが、ここまで変わるとは……。とりあえず不採用……

正圧PCケースのホコリ対策として空気清浄機フィルタを利用した次に試したのは、空気清浄機用フィルタ。HEPAフィルタである。HEPAフィルタは 0.1ミクロン程度のホコリを除去出来る高性能フィルタ。フィルタの膜は 吸気面積を稼ぐため、wwwwwwwww状に折り込んである。これがうまく機能すれば、万全なホコリ対策となり、且つ空気清浄機能付き PCとなること間違いなし。そんな期待を胸に抱き、いざ試運転。

爆音であるwwwwww

ここで、爆音の原因がわかった。ファンとフィルタの間が負圧になっていて、その空間のエアを上と下のファンで取り合いをしているためであった。負圧エリアからエア吸い込もうとしているので、羽根に高い負荷が掛かっているのだ。また、フロントグリルとケースの間にわずかな隙間があり、その狭い隙間からエアを取り込んでしまっていていることも確認された。これも騒音源である。

これを防ぐには、上と下のファンの間にセパレータを設けると共に、隙間を埋めること……だが、追加加工がかなり面倒……

そもそも、この HEPAフィルタは圧力損失が高すぎて、ほしい流量が得られない。
ちなみに発する騒音そのものは先のシート状フィルタを装着した時より小さい。フィルタが音を吸収してくれているようだ。

正圧PCケースのホコリ対策として自動車用エアコンフィルタを利用したPCを組んでいるのか、はたまた空気清浄機を作ろうとしているのか正直わからなくなってきた。

で、最終的に辿り付いたのがこちら。自動車用エアコンフィルタである。ホンダのフィット用でパーツナンバーは 08R79-SAA-000A。フィルタサイズは、179mm×183mm×29mm。これを 2枚上下に並べてフロントグリルに収める。すると純正パーツが如くサイズがピッタリ。厚さも丁度良く鉄板先生に完全密着してくれる。セパレータの設置や隙間を埋める手間も省け、一石数鳥である。何よりフィルター交換が楽であるのが嬉しい。

自動車用エアコンフィルターは本格的な空気清浄機のフィルタに比べるとホコリの除去能力は落ちるが、それでも今回購入したこれは 1ミクロン以上のホコリを除去してくれる。
1ミクロンと言えば、少し古い掃除機では吸い取れないくらい小さな粒子(吸い取ってもそのまま排出)である。
そして 3回目の正直と言う言葉を信じ、一方で、ガッカリすることを覚悟して試運転開始。

爆音はしない♪ 静かである。

風量は格段に落ちているが HEPAフィルター程ではない。
ところでこの PCの場合、フィルタ無しだと前面の 2つのファンの回転数を 300rpmで回してあげればケース内全体を十分に冷却出来るエアの流量が得られることがわかっている。(後述のストレステスト等を参照)
このフィルタを装着した場合、どの程度のファン回転数が必要かをファンコンを繋いで色々と試した結果、650rpm以上であれば同等以上の流量が得られることがわかった。

フィルタが音を吸収してくれるので、650rpmであっても静音の範疇に収まってくれている。

感覚的であるが、具体的に言うと、650rpmで回転させフィルター無しと有りとでは、間違いなくフィルター有りの方が低騒音である。また、300rpmフィルター無しと 650rpmフィルター有りとでは、比較は難しく、300rpmフィルター無しはわずかだが軸音が聞こえる程度の騒音が。一方、650rpmフィルター有りは軸音は聞こえないが、低い風切り音が発生する。多分、音圧的には 650rpmフィルター有りの方が大きいと思うのだが、音の周波数成分のピークが低いため、耳障りな音ではない。

パーツの冷却とエアフロー

パーツの組み込みも終わり、後は細かな設定を詰ることになる。
発熱するパーツの位置と大まかな発熱量が把握出来れば、次にこれらをどのように冷やすかを考える。その際、闇雲に冷却ファンの上げたりすれば、静音 PCとして成り立たず、また、稼働条件を見誤れば温度が上昇することもある。

大抵、これらは実際に稼働させ、要部の温度を計測し、得られたデータを解析し決定することになる。

OCCTストレステストでCPUクーラーの冷え具合を確認

CPUクーラー NH-U12S,虎徹 Mark II,NH-D15SのOCCTストレステスト時のCPU温度-CPU冷却ファン回転数グラフNoctuaの NH-U12Sの他、NH-D15Sとサイズの虎徹 Mark IIを追加で準備した。そして OCCTストレスを敢行。

CPUクーラー冷却ファンの回転数を段階的に変え、その段階毎に 1時間の連続負荷を掛けたときの CPU温度をプロットしたのが上のグラフ。

着目すべき点は 2つ。
NH-D15Sの圧倒的性能。あたりまえである…
特に低回転領域において圧倒的な差を付けている。静音 PCを作るコツは、冷却性能の高いクーラーを選ぶ事。と言う基本的な考え方からすれば、かなり魅力的な性能である。
そしてもう一つは、サイズの CPUクーラー 虎徹 Mark IIのコストパフォーマンスの高さだろうか。

虎徹 Mark IIのテストデータが 652rpmではじまっているのは、ファンコンでなぜかそれ以上下がらなかったため。ファンコンとの相性なのか、ファンに組み込まれたモーターが壊れているのか、はたまたそう言った仕様なのか。
低回転領域で NH-U12Sと比べてどちらが冷えるのか。もの凄く気になるところであるが、ここは敢えて標準で付属するファンをそのまま使用し計測した。

ついでに言えば、虎徹 Mark IIは、周辺パーツを併せて冷却してくれていた。
この PCには、CPUと VGAカードの間に Intelの Optaneメモリーが刺さっている。虎徹 Mark IIを装着した際は、ファン回転数が低い状態からそのメモリーに風が当たり冷却してくれていた。

稼働中の Optaneメモリーの温度は、虎徹 Mark IIが 33℃。NH-U12Sが 51℃。NH-D15Sは 44℃。
これは、ヒートシンクの側面が、Noctua製クーラーがほぼ塞がれているのに対し、虎徹 Mark IIが開放状態だからだ。とても魅力的な追加機能である。

虎徹 Mark IIの宣伝っぽくなってしまったので、ここで虎徹 Mark IIの欠点を一つ。虎徹 Mark IIの付属する 冷却ファンはどの回転領域に於いても無視出来ない大きさの軸音が発生する。静音を望む場合は、ファン交換が必須となる。

ところで、グラフを見る限り、各クーラーともある回転数以降は CPU温度が下がりにくくなっているのが確認できる。ファン回転数を回転羽根の周速に換算し、横軸に周速、縦軸に CPU温度をプロットしたグラフを描いてみた。ここではそれを示さないが、周速が 6m/sec以上になると どのクーラーも CPU温度の下がり方が鈍くなる傾向となった。この件については後述。

ケース前面ファンの適正回転数を調査

自作PC。Noctua NH-D15SでCPU i7-8700を冷却する結局、Noctua製 NH-D15Sの圧倒的性能を垣間見てしまったため CPUクーラーをそれに変えた。以降は交換後の話となる。

ケース前面の吸気ファンは 2個とも 650rpmで固定している。マザーボードの温度は OCCTグラフから読み取った結果、室温 25℃の時 CPU冷却ファン回転数全ての領域で 27℃で安定していた。

マザーボードの温度がほぼ一定であると言うことは、ケース内平均温度も一定に保たれているものと考えられる。
一般に、PCケース内の温度など、システム全体の温度をコントロールするには、その系に送り込むエアの流量で制御できる。

\[
ケース内上昇温度=\frac{ケース内機器発熱量}{空気の比重量×空気の比熱×吸排気風量}
\]

ただ、なぜ 650rpmと言う中途半端な回転数?と疑問に思うかも知れないので、補足説明。使用している Noctua製ファン NF-A14 ULNの定格回転数は 800rpm。Low-Noise Adaptor (L.N.A.)を取り付けることで、650rpm。つまりこの 2つの回転数からしか選べなかったから……

CPU冷却ファンの適正回転数を調査

先にも触れたが、CPU冷却ファン回転数が 800rpm以上の場合は、CPU温度はそれより低い回転数で見られたような 下がり方はしてくれない。あるところからとてもなだらかな下がり方になる。

熱伝達の式によれば、ストレステストのような CPUの発熱量が一定で、ヒートシンクの面積が変化しない場合、CPUの温度低減は熱伝達率により決まる。

\[
熱の移動量=伝熱面積\times熱伝達率\times\left(T1-T2\right)…熱伝達式\\
CPU発熱量=ヒートシンク面積\times熱伝達率\times\left(T1-T2\right)
\]
\[
→ T1-T2=\frac{CPU発熱量}{ヒートシンク面積\times熱伝達率}
\]

熱伝達率は、空冷ヒートシンクを使った場合、フィン間を流れるエアの流速に依存する係数で、流速が変化すると、層流、乱流で異なり、次の式により求めることが出来る。

\[
層流平均熱伝達率\\
h=3.86\times\left(\frac{V}{L}\right)^\frac{1}{2}\\
→ h∝V^\frac{1}{2}
\]

\[
乱流平均熱伝達率\\
h=6\times\left(\frac{V}{L^\frac{1}{4}}\right)^\frac{4}{5}\\
→ h∝V^\frac{4}{5}
\]

層流の場合は流速の 0.5乗(1/2乗)、乱流の場合は 0.8乗(4/5乗)に比例する。それぞれの乗数は 1に満たないため、ファン回転数を上げ、エアの流速を増しても温度はリニアに下がってはくれないのだ。グラフに見られる現象は、多分これが原因。

本当にそうなのだろうかと疑い、少々試してみた。

一つは、ヒートシンク後段の背圧の影響。
ヒートシンクとケース背面の間で圧力が上昇し、その影響で流速が上がっていないのではと疑ってみた。
ケースの側面パネルを取り外し背圧を低減したところで、1,247rpmを維持したまま OCCTストレステストを実施したが、CPU温度は、パネル取り外し前と変わらず 49℃であった。

もう一つは、吸気流量が不足している可能性。
吸気流量が十分では無く、フィン間を通過する流速が落ちているのではないかと疑ってみた。
ケース前面ファンのフィルターを取り去り、吸気流量を増やして OCCTストレステストを実施。結果変わらず CPU温度は 49℃であった。

あらためて、熱伝達率(あるいは言い換えて熱抵抗)によるものと推察する。

ところで、NH-D15Sはもう一つファンを増設出来るが、上の考えからすると増設しても風量的には過多となる。CPUの温度低減はほとんど望めず、メリットがあるとすれば、より低回転でファンを回せることだろうか。
ただし、700rpm前後のファン 1基と、より低い回転数で稼働するファン 2基で比較した場合、静音化への寄与はかなり乏しいものになることは容易に想像できる。

Intelの公開データから、i7-8700の発熱に適したファン回転数を求める

少々話が逸れてしまった。話を戻そう。
Intelは、それぞれの CPUに対し、サーマル・ソリューション仕様を公開している。i7-8700の場合、代表的な数値は次の通りだ。

PCG(i7-8700) TTV TDP MAX TTV Tcase TjMAX
2015C 65W 71.4℃ 100℃

ここで、TjMaxは、サーマルスロットル等の CPUコアを保護する動作温度の基準値。MAX TTV Tcaseは、 Tcaseの最大温度で、各 PCG毎にグラフや計算式が公開されている。

ちなみに、i7-8700の MAX TTV Tcaseは次の計算式とグラフである。

\[
TcaseMAX=0.41\times 消費電力 + 44.5
\]

Intel i7-8700の TcaseMAX線図i7-8700の TDP 65Wをこの式に代入すると、71.15となる。Intelの場合、動作環境の周囲温度を 40℃としているのが一般的で、すなわち、取り付けられた CPUクーラーに対し、周囲温度 40℃で、CPUの消費電力 65Wの時、71.5℃以下の冷却を要求していることを意味する。

今回は、この Tcaseの値を使って、CPU冷却ファンの適正な回転数を求めてみた。
OCCTストレステストを実施した時の周囲温度は、25℃で、これを室温 40℃。すなわちプラス 15℃となったと想定し、先の OCCTストレステストのグラフ(CPU温度 25+15=55℃の時のファン回転数)から最低回転数を読み取る。
NH-U12Sであれば、825rpm以上、虎徹 Mark IIであれば 780rpm以上、そして NH-D15Sであれば 610rpm以上の回転数でファンを回す必要があることがわかる。

と言うことで、この PCの場合、CPUクーラーに NH-D15Sを使った場合、CPU冷却ファンは 1基。ファン回転数は 610rpm以上、800rpm以下が適正な状態と言えそうだ。
この範囲の運転であれば、真夏に高負荷で稼働(クーラー未稼働の部屋で、室温 40℃を想定)させても 70℃を下回ることが予想され、安心できる。

NH-U12Sや虎徹 Mark IIを使う際は、825rpmあるいは 780rpm以上でファンを回したとしても、温度の低下は緩やかとなるため、追加で PCIや PCIeスロットに拡張カードを挿した場合など、新たな発熱源を増やした場合は注意を要する。

なお、細かいことだが、TDP 65Wは、TBオフの状態を基準とした数値である。OCCTストレステスト時は、TBが効いてより多くの電力を消費させた上での CPU温度である。本来であればより詳細に調査する必要があるのだが、安全サイドの設定値となるため、今回はこれで打ち切った。

—7月22日追記—
参考データ、オフセット:-0.12V、CPUファン回転数:750rpm、CPU内蔵グラフィック:BIOSでオフ

H265エンコード時のマザーボードとCPUの温度(室温37℃)
M/B温度 CPU温度 CPU-package消費電力
TBオフ 39℃ 54℃ 40W
TBオン 39℃ 66℃ 65W
OCCT時のマザーボードとCPUの温度(室温37℃)
M/B温度 CPU温度 CPU-package消費電力
TBオン 39℃ 59℃ 54W

H265エンコードのほうが 同じ CPU負荷 100%であっても、OCCTより電力負荷が高い。
当然、負荷を掛けてる際のVcore電圧も若干エンコードしているときの方が高く、なぜかCPUの動作周波数も 3.9GHzと 3.8GHzと差があった。このあたりは M/Bと CPUがどんな制御をしているかは謎。

正圧ケースのエアフローを考える

自作PC SST-RV04B-Wのエアフロー図はケース内のファンの位置を示し、エアフローを考えるためのモデルである。SST-RV04B-Wはマザーボード倒立型のケースなのでもの凄く違和感がある。作業中、時々首を90度あるいはそれ以上傾げながら観察してみたり。最終的には、組み上げて行く中で何とか慣れた。

さて、ケースファンの回転数は 650rpm固定、CPUクーラー冷却ファン回転数は 610rpmから 800rpmの間で、静音化のため出来うる限り低く抑えたい。
そうした各ファンの稼働設定を最終的に確定するのが、今から検証するエアフローの考え方だ。

排気ファンの無い正圧ケースにでの CPU冷却ファンの役割を考えてみよう。
吸気ファンと排気ファンが共にある場合、大抵は CPU冷却ファンは CPU冷却にだけ気を使っていれば良い。一方、排気ファンが無い場合は、CPUの冷却の他、CPUクーラーの背面から吐出されたエアをさらにケースから排出する役割をも担う。

CPU冷却ファン回転数の変化によるケースからの排気状況表は、ケース背面の排出口を上から A、B、C、Dの 4つの区画に分け、それぞれの区画から出るエアを手の平や指を当て、その温度と風量を感覚的に観察した結果である。

軸流ファンは、低回転の時は排出エアは円周方向に広がり、回転が上がるにしたがって直進性が強くなる。このPCの場合、C区画の吐出温度見る限り、800rpm前後がその境目となっているようだ。
また、520rpm以下では、CPU冷却ファンの吐出流量が少ないため、C区画からの吐出が弱くなっている。ケース背面からエアを排出する役割を果たしていないためだ。D区画からの流量が落ちていないのは、前面吸気ファンからの吸気エアが CPUクーラーのヒートシンク下をそのまま通り抜けているからだ。温度も低い。

一方、900rpmを超えてくると、吸入する力が強いため、A及び B区画より排出されていたエアを CPUクーラー冷却ファンが奪いはじめている。

さらに 1,247rpmで運転した場合、ケース前面からのエア供給量では間に合わず、一部はケース背面からエアを吸引している。CPUクーラー冷却ファンが排気ファンとして機能しているのだ。この場合、正圧ケースとして設計したにも関わらず、ホコリの侵入を許すことになる。

ケース背面から吸引する現象は、CPUクーラー冷却ファンを高速回転させたときにだけ起きるわけではない。前面のフィルターが目詰まりを起こし、圧力損失が高まったときもこのような状況に陥る。CPU冷却ファンがケース内部にあるにも拘わらず、吸気と排気ファンの一人二役を演じてしまうのだ。

理想は、背面の各排気口から同等な速度でエアが排出される状態。表中で言えば、CPU冷却ファン回転数が 604rpmから 830rpmの範囲である。

604rpmで OCCTストレステストを行ったときの CPU温度は先のグラフから 55℃。830rpm時では 52℃。どちらも真夏の最高室温を 40℃と想定した場合、CPU温度は 70℃を下回ってくれると予想される。
なので、今回とりあえず CPU冷却ファンの回転数は四季を通じて 600rpmで稼働させてみようと思う。なお、マザーボードのファンコントロール機能を使い、600rpmから830rpmの間で CPU温度を基準に可変させても良い。自分は、PCの健康状態を音で確認したいので、固定にしようと思っている。

吸音材の利用

厚さ40mmの吸音材をPCケースのボトムに敷き詰めて静音化ケースのボトムに吸音材を敷き詰めてみた。
吸音が目的で敷き詰めたわけはなく、どちらかというとエアフローの改善である。吸音材を敷き詰めた空間は、前面下段のファンから吐出されるエアの流路となっていた。ただし、ケース背面に至るまでの間に冷却すべきパーツは無かった。無駄な空間である。つまり、あえてこの空間を埋めることで、より多くのエアを CPUクーラーへ振り向けられることを期待したものだ。なので、別に吸音材を使う必要は無かった。

さて、吸音材を吸音材として使う事の話である。前向きな話ではないので、読み飛ばしてもらって良い。

過去に、相当な種類と数の吸音材を PCを静音化するために試してきた。ただ、結局どれもこれも目立った効果はなく、今では PCの静音化に対しては役立たず。のレッテルを貼ってしまっている。

吸音材は確実に吸音の効果はあるのだが、PCケース内部に張り詰めても期待する効果は得られない。と言うのが今のところの自分の結論だ。

吸音材の性能評価指標として、吸音率が良く使われる。吸音率は次の式で表され、0と1の間の値となる。式を見ると何となく自分が思っている指標とは異なる。

\[
α=吸音率\\
Ii=入射音のエネルギー\\
Ir=反射音のエネルギー\\
Ia=吸収音のエネルギー\\
It=透過音のエネルギー\\
※ただし、Ii=Ir+Ia+It\\
α=\frac{Ia+It}{Ii}=\frac{Ii-Ir}{Ii}=1-\frac{Ir}{Ii}
\]

例えば、音を全て反射する壁があったとしよう。すると、α=1-(Ir/Ii)より、吸音率は 0となる。これは何となく理解出来る。

気になるのは α=(Ia+It)/Iiの式。Ia(吸収音のエネルギー)、It(透過音のエネルギー)どちらが高くても吸音率は上がるのだ。

全ての音を通過してしまうような壁があったとしよう。α=(Ia+It)/Iiの式で、Ia=0、It=Iiなので、吸音率は最大値である 1となる。単なる空気と等価である。
音を一切吸収せず透過し、反射さえしなければ、吸音率は高くなる。謎である。吸音率、しいては吸音材を信じていない理由はここにある。吸音材は音を透過させるのだ。

カタログで吸音率を指標にしている吸音材は自分にしてみれば、音を反射させない材料を意味する。多分そうだのだろう。そして、自分は吸収率と吸音率を履き違えているのだろう。

そもそも、音を反射させないことを目的とした材料である。PCケース内で、もしそれが高い威力を発揮したからと言っていったいどんな効果が得られると言うのだろうか。

別に自分は PCケース内部を静かにしたいのではない。ケースから漏れ出す音の量を低減したいのだ。

吸音ではなく、吸収率を計測するのはとても難しいらしく、世に出ている様々な吸音材でこれを明確にデータとして表記している製品はまず無い。
そんなわけで、人の噂や実際に手に取った時の感触で選んで購入してみたものの、未だ確実に効果があると言える吸音材に出会えていない。そろそろ吸音材に何かを期待するのを止めようかと思っている。

以上、単なる愚痴でした。悪しからず。

完成後の何か

少々ボリューム多めの記事を書いたので、後書き的な何かを書こうかと思ったが、取りやめ。ガラでは無かったことを思い出した。

組み終わって、不満点を簡潔に少しだけ

  • 電源が五月蠅い。想定以上に遮音が効き、それほど目立つはずのない電源ファンが耳に付くようになった。
  • 重たい。総重量24.5kgは、労働基準法には重量物運搬についての規定で女性は持ち上げてはいけない重さ。
  • ケース背面の排気口から漏れる音が五月蠅い。

こんなところだろうか。あとは想定内。




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