傷だらけのダイニングテーブルを蘇らせたい
今回は、30年以上使い続けてきたダイニングテーブルの天板の塗り替えがテーマ。
深い切り傷は無いものの、擦り傷や塗装剥がれは無数にある。
でも、これだけ長く使っていながらガタは一切無し。
天板を塗り替えさえすれば、まだまだ使えるのだ。
古い塗料の剥がし作業
まずは紙やすり #120からスタート。
塗られていたのは油性ニスで、さすがに硬い。
手作業は困難で、サンダー必須である。
#120で塗膜を落とした後、#240 → #400 → #600でニス塗りの下拵え。
ここで砥の粉やシーラーを使うと後のニス塗布回数を減らすことが出来る。
ただ、手持ちの砥の粉の色が合わなかったこと、また、シーラーも買い忘れていたため、今回はニスのみで最後まで仕上げることになった。
で、最後まで仕上げてみてわかった。シーラーは絶対に塗布するべき……
塗り重ね回数をものすごく減らせると思う。
木目を生かすため透明クリヤーの水性ウレタンニスを使ってみる
最初は色付きのニスを使おうかと思っていたのだけど、せっかく綺麗な木目が出てきてくれたので、これを生かすべく透明クリヤーを使う事にした。
色付きではないので、真上にあるペンダント照明と相まって、部屋を明るくしてくれる。
脚と色合いが大きく異なってしまうが、そもそも脚は影に埋もれてしまうので、多分問題ないはず。
そもそも座っている間は脚を見ることは無いのだ。
ところで、旧来、ニスと言えばハチミツ色の油性ニスがスタンダードであった。
今の今まで、つい最近までこちらのテーブルも油性ニスを使う気満々であった。
で、木部用ニスのトップメーカーである和信ペイントの公式サイトを見てみると、やたらと水性ウレタンニスを推している。
“水性は塗膜の強度が弱い”との認識であったので、テーブルには使えないのではと思いきや、
日常的に使用するテーブルや椅子など、強度の要求される木部の塗装に最適です。
油性並みの強力な塗膜!ばつぐんの作業性と環境性能。
なんと、最近の水性ウレタンニスは油性並みの強度とな。ニオイも無く、水で薄めることが出来るらしい。
と言うわけで、水性ウレタンニスを早速使用してみる。
こちらは水性ウレタンニスを 2回塗った直後、硬化前の写真。
ツルテカだけど、まだまだ凹凸が消えていない。
刷毛はもちろん水性ニス用を使う。一面塗り終わった後に水道水で洗浄すれば再度使用できる。
ただし、日を置いて何度も使っていくと、水で洗い流したとはいえ刷毛先が硬くなってくる。刷毛が硬くなると、刷毛跡が目立つようになる。
なので、複数日に渡って塗装する際は、少なくとも最後の仕上げは新品の刷毛を使うのが吉。
お勧めは大塚刷毛製造の”ひよこ”。ホームセンターで大抵手に入る。価格も和信ペイント純正の刷毛に比べリーズナブル。
自分は、最初和信ペイント純正の 40㎜の刷毛を使っていたが、最後は”ひよこ”で仕上げた。
天板のように広い面積に塗る場合、刷毛のサイズは幅が広いほうが楽。今回は 50㎜を選んだ。50㎜だと水性ウレタンニス(300㎖)に付属する容器蓋に収まるのだ。
水性ウレタンニスを塗る → 乾燥させる → サンダー(#600)で削る。これを何度も繰り返す。
ちなみに今回は仕上げを含めると 8回塗った。
こちらは 3回水性ウレタンニスを塗り、乾かした後にサンダーで研磨したときの写真。(一部フェンスの影が映り込んでる)
白い筋の部分が凹だった部分。それ以外はニスを削り切ってしまっているように見えるが、これはヤスリ跡。曇ったように見えるだけで塗膜は残っている。
天板表面の凹凸の凹の部分に水性ウレタンニスが満たされ、これを繰り返すことで平坦になっていく。
天板のサイズは 120㎝ × 70㎝ = 0.84㎡。
購入した 300㎖の水性ウレタンニスはカタログを見ると 2回塗りで 3.5㎡が目安としている。計算上は 8回塗れる量となっている。
鏡面仕上げのへの道
目指すは鏡面。
鏡面仕上げへの道に近道はない。ただし、難しさは無く、兎に角手間と時間を要する。
表面の凹凸や刷毛跡を如何に無くすか。実は、これさえできていれば水性ウレタンニスは磨かずとも自然に鏡面に仕上がってくれる。
表面の凹凸をなくすには、水性ウレタンニスのセルフレベリングを適正に効かせることが必要で、それには水性ウレタンニスの粘度調整が重要となる。
粘度が高いと、刷毛跡が残ったまま固まってしまう。水で薄めると粘度は低下して平面になってくれるものの、乾燥する際に内部の水分が外に出ていく過程で目に見えない小さな孔が残ってしまい、白く濁った状態で硬化してしまう。
また、外気温の影響も大きく、気温が高いと硬化が早すぎてやはり刷毛跡が残ってしまう。
今は秋の初めで、外気温は 20℃前後。何度か塗りと研磨を繰り返し、水性ウレタンニスに対し、10%水を加える比率に落ち着いた。最後の仕上げもこの比率で塗った。
乾燥はとても重要で、綺麗に平面になったかと思っても、塗膜中の水分が抜けていく過程で塗膜が痩せてくる。わずかな塗膜の厚さの違いにより凹凸が目立つようになってしまう。前の塗膜が乾燥しきれていない場合、その影響も加算される。
水性ウレタンニスは一度塗るごとに十分に乾燥させる必要があるのだ。
カタログには 90分と書かれているが、自分は少なくとも次の研磨まで 乾燥に 3時間確保した。また、最後の仕上げは 3日間乾燥させた後に研磨し、その後塗布した。
水性ウレタンニスは硬化するとほぼウレタン樹脂になる。なので、磨きに使うコンパウンドはプラスチック用を使う。こちらは半練りタイプのコンパウンドで、粒度は #15000。
これを、車のワックス掛けに使っているポリッシャを使って磨きあげる。コンパウンドはそのまま使うのではなく、濡れたウエスで天板を拭き、水分が少しばかり残っている状態でコンパウンドを天板磨き面に点置きし、ポリッシャーを軽く押し当て磨いていく。
ちなみに、仕上げ塗装より 1週間後。十分硬化した後に作業した。
上の写真のポリッシャーが置いてある天板は、まだコンパウンドで磨いてない状態。このままでも十分に鏡面になっている。
で、コンパウンドで磨くとどうなるかと言うと、正直見た目はほぼ変化なし……
で、これが何を意味するかと言うと、#15,000のコンパウンドで磨いても表面光沢が変わらなかったことから、研磨せずともその程度の鏡面に仕上がっているという事。
ヤスリ掛けで力技で鏡面に仕上げる例が見られるが、そんなことはせずとも最終塗工後はそのままでOK
ただ、手触りは確かに異なり、コンパウンドを使う事でより滑らかになった。
で、これが何を意味するかと言うと、#15,000のコンパウンドで磨いても表面光沢が変わらなかったことから、研磨せずともその程度の鏡面に仕上がっているという事。
完成したのがこちら。
真っ平らで、上に置いたラチェットハンドルの文字もくっきりと鏡のように映り込む。